青空偏光と偏光虹の研究

       (含、世界晴天数値マップの作成と偏光測定器の開発)


 カメラマン、釣り人、ウィンドウショッピングをする人、おしゃれな人が使う偏光フィルターや偏光めがね、誰でも偏光の知識がありそうだ。しかし、青空偏光が何処からくるのか、強いのか弱いのか詳細を知る人は皆無にちかい。原因は解説書が皆無なのだ。いわんや、青空の偏光虹を知る人は一人も居ない。辞書に偏光虹の言葉すらない。研究する価値がありそうだ。


序章:偏光虹について
1章:青空偏光と偏光虹の物理理論
2章:偏光虹の写真各種
3章:偏光虹の朝、昼、夜の1日変化
4章:偏光虹の晴れ、雨、曇りの天気変化
5章:偏光虹の春夏秋冬の季節変化
6章:ミツバチアイ偏光測定器の作成
7章:偏光虹の興味ある話題
8章:偏光虹の教材
9章:円偏光膜の物理
10章:上空偏光虹
11章:偏光度の理論と実測
12章:晴天数値マップの作成
13章:太陽の位置、日の出、日の入り、南中高度
14章:青空レイリー散乱の全貌
15章:空気の透明度・視程
16章:雲粒・チリのミー散乱
17章:地平線距離と空気層の厚み計算
18章:世界一空気のクリーンな地方
19章:青い山脈の空中透視
20章:魚眼レンズによる全天偏光マップの観測
21章:色偏光の全貌
22章:太陽光の日射量と透過率
 終章:今後の問題点を展望する
付録:
参照文献リスト


     
  



   
序章:青空偏光と偏光虹について

山座同定:山で位置を知る研究。登山者や渡り鳥が活用している。
星座同定:星で位置を知る研究。昔の船乗りや渡り鳥が活用している。
磁座同定:磁場で位置を知る研究。登山者や渡り鳥が活用している。
偏座同定:偏光で位置を知る研究。ミツバチが活用している。

 私は61歳から65歳まで5年間、遠方に見える山を観測し、山の位置や名前を調べ、山座同定の理論や諸方法を考案し、研究を続けた。山座同定した山の最終確認のため、しばしば、山に登った。その際、車の窓の外に青空が赤、黄、緑、青に輝く虹を偶然初観測した。H12年にまとめた、人生に役立つ物理、の本の中で写真と説明文を示した。山の研究は静岡県の遠山大研究と題して解説本と写真集の2冊の本にまとめた。今回は青空が赤、黄に輝く不思議な現象は青空の偏光が原因であることが判明したので、自然界の偏光の研究を開始した。

1.偏光の可視化:セロハン膜と偏光メガネを通うすと偏光に色がつく。色偏光である。目に見えない偏光の可視化が可能である。赤、黄、緑、青が並んだ色偏光を偏光虹と呼ぶ。偏光は何処に有るのか調べた。青空のほか、ガラスや水面反射光、液晶画面からくる光は偏光している。

2.ミツバチは偏光が見える。偏光分布で位置が分かる。偏光をナビないし羅針盤がわりに利用している。ミツが見つかるとミツバチダンスでミツの有りかを仲間に知らせる。ミツバチは偏光の物理博士である。

3.人間も色偏光で容易に偏光を見ることができる。偏光が見えるセロハン膜と偏光メガネをミツバチアイと呼べばよい。ミツバチアイを武器に世界一の偏光虹風景作家を目指して、最高に美しい偏光虹を探すことにした。

4.青空偏光:青空の色偏光を朝昼晩の一日変化、また、晴れ・曇り・霞の天気変化、また、春夏秋冬の季節変化を調べている。すると、青空は快晴時、偏光が強く、朝晩、青のほか赤黄緑に強く色づくことが分かった。その美しさに驚嘆した。曇りの日には偏光が弱く、偏光は色づかない。

5.反射偏光:ガラス面、湖面、道路の水だまり、道路のアスファルト、石だたみ、等の反射光は偏光している。偏光が強い時、ビックリするような美しい偏光虹が観測できる。

6.液晶画面:液晶には3種類ある。偏光の振動方向が異なるものがある。同様に色偏光が見られる。偏光が干渉すれば色偏光干渉縞が見える。

7.無色の偏光:目に見えない。慣れれば見える人もいるらしい。しかし、白黒の明暗で偏光の有無が容易に分かる。



1章:青空偏光と偏光虹の物理理論

学習1:偏光:
 光は横波である。それゆえ進行方向に垂直に振動している。縄跳びを早く振動させた時や蛇がくねくね蛇行して進む姿を思い浮かべればよい。自然光の振動はあらゆる方向に向いている。偏光はある特定の方向に向き、偏っている。直線偏光と呼ぶ。振動方向が回転している偏光を円偏光と言う。振幅が変化するものは楕円偏光と言う。
学習2:偏光分光、色偏光と偏光虹および色偏光干渉縞:
 ある方向に振動している偏光がセロハン膜等の屈折率異方性をもつ膜を通過すると偏光面が変化する。その変化は光の色、波長で異なる。偏光メガネを通過すると色偏光が得られる。赤、黄、緑、青の並んだ色偏光を偏光虹と呼ぶ。偏光が干渉すると色偏光干渉縞を示す。偏光していない自然光は色づかない。
学習3:レイリー散乱、空は青い:
太陽光は赤、黄、緑、青が混ざり、白い色をしている。太陽光が空気分子に当たると電子散乱される。電子は軽いの高い固有振動数をもつ。振動数の高い青い光はよく散乱する。そのため空は青い。散乱される光量は波長の4乗に反比例する。0.4ミクロンの波長を持つ青は0.7ミクロンの波長をもつ赤に比べて9.4倍、約10倍強く散乱される。
学習4:朝焼け、夕焼けは赤い:
 空気は青を強く散乱する。そのため空は青い。朝晩、太陽光が地平線の彼方から長い空気層(約空気の厚みの42倍)を通過してくると青は強く散乱されて減衰する。すると残りの光は赤の強い光となる。その赤い光が雲に当たると雲は赤く輝き美しい朝焼けや夕焼けが見られる。つまり、赤い太陽光は青の抜け殻である。
学習5:青空の偏光は90度方向で偏光する:
 青空偏光は何処にできるのであろうか。太陽から90度方向に偏光ができる。幅はプラスマイナス30度くらいである。太陽方向や太陽を背にする方向では偏光はできない。天気の悪い雨や曇りの日は水滴のため偏光はできない。
学習6:偏光虹ができる方向:
 青空の偏光虹は天気が良くて青空の偏光が強い時、太陽から90度方向にできる。色鮮やかな偏光虹が見える。むろん適当なセロハン膜と偏光メガネが要る。天気の悪い時には偏光が弱く、偏光虹は観測できない。
学習7:美しい偏光虹が観測できる時間:
 昼間にできる偏光虹は青が強い。青空に青の虹ができても無意味である。そのため美しい偏光虹は期待できない。朝晩にできる偏光虹は太陽光が長い空気層を通過して青が抜けるので赤、黄、緑の強い偏光虹が期待できる。ビックリするような美しい偏光虹が見られる。
学習8:反射光の偏光虹:
 ガラス面等に垂直に反射する光は偏光しない。屈折率で決まるある角度(ブリュースター角)で入射する反射光は完全偏光する。強い反射偏光ができる時、美しい偏光虹を見ることができる。
学習9:ミツバチアイ:
 ミツバチの目は8枚の偏光膜が円周上に並んでいる。偏光が入ると、各偏光膜には異なる信号ができるので偏光の向きや強さを知ることができる。太陽は偏光の向きと直角方向なので太陽の方向も分かる。ミツバチは太陽高度と偏光分布から自分の位置を知ることができる。ミツが見つかるとミツバチダンスでミツの有りかを仲間に知らせることができる。偏光をナビに利用できる。
学習10:偏光の向きと太陽の位置:
 光は横波である。太陽からくる光は進行方向に垂直に振動している。90度散乱で目に入る光は視線方向に垂直に振動している。そのため偏光は太陽からくる垂直面と目線に垂直面の交線方向に振動している。朝晩は太陽は水平方向にある。90度散乱でくる光は山際で見た場合、上下の垂直方向に向いていることが分かる。昼間は太陽は真上にいるので90度方向は山際に近い方向である。太陽からくる進行方向と目線に入る方向の両者に垂直な方向は水平方に向いている。
学習11:宝石の如く美しく輝く偏光虹の教材:
 ゴミとして捨てられるセロハン膜等の包み紙は偏光を当てると美しい色に輝く。セロハン膜等は偏光を色分けする。何故セロハン膜が美しい虹色に輝くのか考えてみたい。まず、偏光膜で強い偏光を当てることができる。セロハン膜は膜の厚みや角度を変えると異なる色に輝く。そのため、例えばセロハン膜で折り鶴を作ると、セロハン膜の厚みや角度が多種多様であり、そのため色とりどりの色偏光ができる。また、セロハン膜の表面も宝石様になめらかである。そのため、セロハンで作った教材は宝石の如く美しく輝く。偏光が当たらなければセロハン膜は無色である。偏光はセロハンを宝石の如く輝かせる魔法の光である。
学習12:ミツバチアイのアイデア商品:
 ミツバチの眼と同様に、偏光方向が45度づつ異なる8枚の偏光膜を円周上に配置する。ある方向に振動する偏光が入射すると、各偏光膜には強度の異なる信号ができ異なる明暗の模様ができる。ミツバチアイにセロハン膜をはると、各偏光膜は異なる色に色づく。色の強さで偏光の強さ、色模様で偏光の振動方向と太陽方向が分かる。また、自然界の偏光を探すことができる。偏光の可視化ができ、偏光ビュワー、偏光リサ−チャーができる。雲で隠れた太陽方向も分かる。見えない偏光が見える魔法のメガネができる。グッドアイデア商品の誕生だ。




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2章:偏光虹各種:

キーワード:赤、黄の鮮やかな偏光虹、色の薄い偏光虹、青の強い偏光虹

1.青空の美しい偏光虹:
 理論的に考えると、美しい偏光虹は晴天時、朝晩に、太陽から90度方向にできる。嘘か本当か実際に偏光虹を撮影してみよう。理論どうり、晴天時、朝晩、太陽から90度方向に美しい偏光虹を観測できた。昼間に観測すると、例え、晴天時であれ、美しい偏光虹は観測できない。青の強い偏光虹は得られる。背景が青なので美しさに欠ける。薄曇りの日には色の薄い偏光虹が観測できる。美しさには欠ける。曇天、雨、雪の日には偏光が弱く偏光虹は観測できない。
2.反射偏光虹:
 反射光は青空の散乱光と異なり、ある反射角で曇りでも昼間でも強い偏光が得られる。色も赤、黄、緑の強い偏光虹が観測できる。嘘か本当か実測してみよう。反射はガラス面、湖面、道路のアスファルト面、石だたみ面、等の多くの種類がある。ただ、適当な反射角を選ぶ必要がある。セロハン膜を用いなければ偏光は白黒の無色である。偏光の向きは、入射光にに垂直、かつ、目線に垂直、即ち、反射面左右の水平横方向である。釣りをする場合の湖面反射偏光やウィンドウショッピングの際のガラス面反射偏光が邪魔な場合は偏光方向が上下方向の縦方向に向いた偏光膜をもつ偏光メガネで消し去ることができる。
3.液晶画面の偏光虹:
 液晶には3種類ある。液晶画面の偏光の向きを調べると、上下方向、左右方向、斜め方向に向いていることが分かる。偏光虹もいろいろな模様が観測できる。偏光が干渉する場合は干渉縞の模様が観測される。

 以上の知識のもと、以下に示す偏光虹各種の写真をご覧下さい。理論と観測が完全に一致する結果が 得られた。 ミツバチには偏光が見える。偏光虹を見てミツバチに見える偏光の世界をご堪能下さい。






3章:偏光虹の朝昼晩の1日変化:

1.日の出時の偏光虹:
 理論は、青空の偏光は太陽から90度方向にできることを示している。太陽からの角度を示すために太陽も同時に画面に写す必要がある。日の出が右側に出る時の写真を示す。偏光虹は左右対称に90度の位置にできる。写真は左側に見られる偏光虹を示す。角度は太陽から90度であることを示す。カメラレンズは28mmで1枚の写真の画角は約57度、2枚連続に接続すれば画角115度であり、太陽から90度方向の偏光が最も強いことを示している。また、赤、黄、緑色の強いスペクトルが見られる。得られた結果は理論と観測が完全に一致することを示している。
2.日没時の偏光虹:
 日没時の偏光虹は日の出時の偏光虹と同様である。太陽は山際に沈み、太陽から90度方向に偏光虹が観測できる。偏光虹の色も赤、黄、緑色のスペクトルが強いことが分かる。
3.昼間の偏光虹(省略):
 昼間は太陽が上にくるため、太陽から90度方向は360度の山際全体にわたる。昼間の偏光虹は山際のどちらにでも見ることができる。しかし、青色が強く、赤、黄色のスペクトルが弱いので美しい偏光虹は得られない。やはり、理論と実測が完全に一致する結果が得られた。



4章:偏光虹の晴れ・曇りの天気依存性:
  
1.快晴時の偏光虹:
 快晴時には太陽から90度方向に強い偏光ができる。そのため、太陽から90度方向に美しい偏光虹が観測される。ただし、時間は朝晩の日の出、日の入り時である。観測結果は理論で予想される結果と完全に一致する。
2.薄曇り時の偏光虹:
 薄曇りの場合は空に強い偏光はできない。色の薄い偏光虹しか期待できない。結果は理論から予想される結果と完全に一致する。雨や雲の厚い曇天の時は全く偏光ができないので色づいた偏光虹は観測できない。サイズの大きな雲粒が多く、青以外の色の光も散乱するため空の色も白い。白い散乱光はミー散乱によるもので偏光がないことをも示している。
 





5章:偏光虹の季節変化:

1.2月の偏光虹:
 2月5日、朝7時の日の出時の偏光虹を示す。天気は快晴で偏光虹は大変美しい。位置は太陽から90度方向に出ることを示す。
2.3月の偏光虹:
 3月21日、春分の日あたりの偏光虹を示す。時間は朝6時の日の出時のものである。わずか、1ケ月半経過すると太陽は1日1分、1ケ月半で45分も日の出が早くなる。日の出の位置も南側から北側に1日太陽1ケ分移動する。1年で90度も日の出が北側に移動する勢いだ。実際は冬至と夏至あたりで太陽の動きは止まり、やがて静止して逆方向に動き出す。振り子のように6ケ月毎に向きを変える振動運動をしている。偏光虹も太陽の位置に合わせて出る位置が変化していく。詳細は理科年表を参照すると分かる。
3.4月の偏光虹:
 4月に入いると晴天日がより少なくなる。ガスでかすんだり雨が増えるためである。4月28日、久々に晴天がやってきた。偏光度を測定したところ、80パーセントもあった。120km離れた富士山もクッキリ見えた。空気の透明度も非常に高いことが分かる。
4.6月の偏光虹:
 6月4日、日の出時の偏光虹である。3月4日と比べると1シーズンの季節変化を見ることができる。雨やガスで覆われた日が多くなり、青空の偏光も弱い。美しい偏光虹を観測するのが難しくなった。夏至になると日の出の時間も最高に早くなり、時間で朝4時30分である。日の出の位置も大きく北側に移動し、南中高度も約80度の真上である。詳細は、同様に、理科年表を参照されたい。6月4日、ひさびさの晴天で偏光度も35パーセントあった。120km先の富士山もまずまず展望できた。色はオレンジ色であった。

5.総括:
 季節が変わっても基本的に偏光虹の観測に何ら変化はない。ただ、天気の良さが変わること、日の出の時間と位置が変わるのにつれて偏光虹が観測できる日数と美しさ、および偏光虹が観測できる時間と位置が変化していくことだけである。









6章:ミツバチアイの作成と使用方法

1.ミツバチアイの作成:
 ミツバチの眼は8枚の偏光フィルターが円周上に配置されて、できている。各偏光フィルターの光の強さ分布から空の偏光の強さと向きの分布を知ることができる。我々、人間も8枚の偏光フィルターを放射状に並べてミツバチアイを作成できる。各偏光フィルターの明暗模様から空の偏光分布を知ることができる。また、ミツバチアイにセロハン膜を付けると偏光に色が付くのでミツバチアイの色模様から空の偏光分布を知ることができる。
2.偏光の向きと太陽の位置:
 空に偏光があれば偏光方向に向いた偏光フィルターを通過するので、その膜は明るい。偏光方向と直角方向の偏光フィルターは偏光を通過させないので暗い。即ち、明るい偏光フィルターの向きが太陽からくる偏光の向きであり、暗い偏光フィルターの方向に太陽がある。
3.カラーミツバチアイの作成:
 屈折率異方性をもつセロハン膜を偏光が通過すると偏光の向きが変わる。その変化は光の色、波長で異なる。そのため偏光に色がつく。セロハン膜で色を付ければ色で偏光の向きと太陽の向きが分かる。白黒の場合よりは明確に偏光が測定できる。セロハン膜を変えると異なる色のミツバチアイができるので自分独自のミツバチアイが作成できる。各自トライしてみるとよい。
4.スーパーカラーミツバチアイの作成:
 8枚の偏光フィルターの数を増やす。例えば、3倍の24枚の偏光フィルターを放射状に配置し、セロハン膜をつけると光の変化がより詳細に見れるミツバチアイが作成できる。スーパーカラーミツバチアイと呼ぼう。
5.簡易ミツバチアイの作成:
 ミツバチアイには8枚の偏光フィルターが円周上に並んでいる。しかし、基本的には直角方向を向いた2枚の偏光フィルターで簡単に偏光の向きや太陽の方向を測定できるので2枚の偏光フィルターで簡易ミツバチアイを作成できる。
6.偏光度の測定:
 空からくる光と直角方向を向いた2枚の偏光フィルターを通過した明暗の光の強度を測定すれば偏光度が簡単に測定できる。理論の項目を参照されたい。
7.基準偏光度:
 偏光膜を利用して100パーセント、0パーセント、中間の偏光度の明暗ないし色の濃さの基準を作成しておけば、測定したミツバチアイの色から偏光度が容易に推定できる。是非、基準の偏光度の色見本を作成しておきたい。
8.実測トライ:
 ミツバチアイを作成したら、早速、太陽から90度方向に向いて、青空偏光を覗いてみよう。晴天の時は強く色づく筈だ。残念ながら曇りの日には色づかないことが分かる筈だ。曇りの日には偏光がないのでミツバチも遠出を控え活動を停止する。 
 





7章:青空の偏光虹・今後の話題

1.黒い天ノ川
 超快晴で空気がクリーンな日には青空が完全偏光に近くなる。すると、偏光に直交する偏光フィルターを通して見ると青空は真黒くなる。完全偏光する場所は太陽から90度の位置なので帯状の形をしている。即ち、真黒い天ノ川が出現する筈だ。観測に成功した話は聞かない。挑戦してみる価値はありそうだ。
2.カラーフルな天ノ川
 快晴で空気がクリーンな日には青空に強い偏光ができる。太陽から90度の位置だ。セロハン膜と偏光膜を通して見ると天空にカラーフルな帯状の天の川が観測できる筈だ。トライしてみよう。
3.白昼の天の川
 快晴時、空気がクリーンな日には青空から強い偏光がくる。偏光フィルターで偏光をカットすると真昼の青空は真黒になり、見えない星座が見える筈だ。5年計画で観測に成功したい。


8章:偏光虹のセロハン教材:

 偏光を屈折率異方性をもつセロハン膜等を通すと色づく。即ち、色偏光が得られる。その際、セロハン膜の厚みや角度を変えると色が変わる。そこで、セロハン膜で厚みと角度が変わる作品、例えば、折り鶴を作ると様々な色で輝く作品ができる。色偏光を理解するために色々な作品アートに挑戦してみたい。生徒に作らすと偏光の理解学習に有意義である。そのためには2枚の偏光膜が必要である。1枚目は偏光を作るためのものである。2枚目はセロハン膜で回転面が色別れした偏光を取り出すためのものである。
 作品例をあげてみると・・・
1.偏光虹ダイアモンド:
 セロハン膜をくしゃくしゃにして光の反射面の数を増やしダイヤモンドの形にすると、7色に輝くダイヤモンド型偏光虹ができる。
2.水平偏光虹:
 セロハン膜を円筒状にして水平に置くと連続的に色が変わる水平偏光虹が楽しめる。
3.折り鶴偏光虹:
 セロハン膜で折り鶴を作ると、セロハン膜の厚みがいろいろ変わるので7色に輝く折り鶴偏光虹が作れる。
4.風船偏光虹:
 セロハン膜で風船を作ると、膜の角度が連続的に変化するので、7色に輝く美しい偏光虹が見える。
5.その他:
 工夫次第で様々な偏光虹を見せる作品ができる。自分独自の作品を作ろう。




9章:円偏光膜(サーキュラー偏光膜)

キーワード:普通の偏光膜、4分の1波長膜、円偏光膜、偏光反射率、

1.偏光:
 光は横波である。振動方向は進行方向に垂直である。自然光はあらゆる方向に向いている。偏光はある方向に向いて偏っている。直線偏光と呼ぶ。時々刻々向きが変わる偏光を円偏光と言う。振幅が変わるものは楕円偏光と言う。
2.自然光の反射偏光:
 光があう面で反射すると、大半は面方向に振動する偏光になる。ある特定の角(ブリュースター角)で反射すると完全反射する。その角度は屈折率のタンジェントで決まる。
3.消える偏光反射:
 反射光が完全に偏光する場合がある。逆に考えると、偏光の向きにより、反射で偏光が完全に消える場合が生じる。ハーフミラーで光を反射させるカメラでは偏光が入射してハーフミラーで反射した光が消える場合が起きる。すると露光量や距離の測定が不可能になる場合が起きる。
4.サーキュラー偏光フィルター:
 入射した偏光がハーフミラーの反射で完全には消えないものの一部は消える。そのため偏光が入射する場合ハーフミラーのあるカメラに普通の偏光膜を使用するのは望ましくない。ではどうするか。入射した偏光に4分の1波長位相膜をつけて偏光を円偏光に変える必要がある。4分の1波長膜をつけた偏光膜を円偏光膜と呼ぶ。ハーフミラーをつけたカメラに偏光フィルターを使う時は円偏光膜をつけるのが望ましい。
5.間違った説明:
 ところで偏光フィルターの説明書を見ると、偏光フィルターは太陽に向かう逆光では効き目がなく、太陽を背にする順光で効く、と記されている。明らかに間違いである。青空の偏光は太陽から90度方向の位置であるから、太陽方向を考えると真横で偏光フィルターが効く。専門書を徹低的に調査してみると、やはり、偏光フィルターは順光で効く、と間違った解説があるのに気が付いた。







10章:上空偏光虹:

キーワード:上空偏光虹、地平線、空気層の厚み、スカイ・グランド比

青空の偏光は太陽光の空気分子によるレイリー90度散乱によるものである。水蒸気の大きな粒やチリによるミー散乱は偏光を作らない。そのため、雲の上の上空では水蒸気やチリが少なく、偏光度の高い条件が成り立つ。すると、色の強い偏光虹の観測が期待できる。シベリヤ上空で飛行機から偏光虹を観測したところ、期待した強い偏光虹は観測できなかった。
 原因を解析したところ、上空では空気が薄い。かつ、空気層の厚みが少ない。そのためトータルの偏光量が少なく、強い偏光虹が観測できないことが分かった。同様に、地平線より下の空気層も薄いため、かつ、地上には水蒸気やチリが多いため強い偏光虹が観測できないことも分かる。結局、地平線のやや上の方向では空気層の厚みが空気の厚みの40倍程度も長いので最大強度の偏光虹が観測できる。
 機上から下を見ると空気は地上までである。その間の空気層は薄いのでレイリー散乱する光の量は少ない。背景の風景の色とのコントラストの比をスカイ・グランド比と言う。
 偏光虹のスペクトルを解析してみる。上空では水蒸気やチリが少なく、かつ、空気層が薄いため、純粋なレイリー散乱のため青が強い。赤や黄色は薄い。また、上空にいけばいくほど、空気が薄くなるため、その傾向が強く暗黒にちかいブルーの色になっていく。




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11章:偏光度の理論と実験:

キーワード:青空の偏光度、偏光0%、偏光100%,偏光の角度分布

1.青空の偏光度:
 青空の偏光は太陽から90度方向で作られる。今、太陽の光が空気分子にレイリー散乱されてやってくる青空の光強度をI0とする。偏光の向きの偏光フィルターを通過してくる光強度をI1とする。偏光の向きに直角方向に向けた偏光フィルターで偏光をカットした時の光強度をI2とする。
 空からくる光は偏光Ipと自然光Inの和であるから次式が成立する。
            I0=Ip+In        (1)
偏光の向きに向けた偏光フィルターを通過した光強度I1は偏光と自然光の一部(その割合をwとする)の和である。それゆえ次式が成立する。
           I1=Ip+w・In       (2)
偏光の向きに直交させた偏光フィルターを通過した光強度2は自然光の一部である。
 それゆえ次式が成立する。
            I2=w・In         (3)
空からくる光が100%偏光していればIn=I0であり、次式が成立する。
            I0=I1 、I2=0       (4)
偏光が0%の時はIp=I0で次式が成立する。
                I1=I2              (5)
 一般的に、偏光度HはI1とI2の差を全体の光強度I0で割れば出る。偏光度Hの理論式は次のようになる。
           H=(I1−I2)/I0=Ip/I0         (6)
 実測したところ、 雨や曇天では偏光度0である。かすみがかった晴れの時は偏光度は35%である。遠方まで空気が澄み切っている時は偏光度は80%にいたる。

2.偏光度の角度分布:
 偏光度の理論が導かれたので、太陽からの角度を変えて、偏光度の角度分布のデータを出すことができる。分布幅も求まる。理論と比較検討できる。実測したところ、むろん、理論と実測は一致する。






12章:世界晴天数値マップの作成

キーワード:大気の透明度、空の偏光度と晴天度、空気のクリーン度、晴天の数値表現

はじめに:青空が出ると太陽から90度方向の位置から偏光がやってくる。空気が澄み渡ると偏光が強くなる。このことは、空気のクリーン度や晴天の良さを偏光の強さで表現できることを示唆している。偏光度の測定は容易なので世界各地でデータ観測が可能である。世界各地の月別、季節別に晴天の良さ、空気のクリーン度を数値で表現できれば、その情報がもたらす利益は計り知れない。是非、世界晴天数値マッツプを作成したい。とりあえず、地元と世界各地を旅行して青空偏光のデータを取ることにする。
1.偏光度グラフ:
 偏光度を測定して毎日グラフにする。天気の変化が一目瞭然だ。必要に応じてデータ処理を行う。
2.データ処理:
 例えば、月別、季節別に偏光度のデータの並び替えを行い、各視点からお天気分布を見る。いろいろ比較検討する。また、お天気の程度を3ランクか5ランクに分け、っより詳細なお天気情報を作成する。
3.世界お天気ベストの順位:
 景勝地、世界遺産、都市別にお天気順位が出せる。
4.世界お天気ワースト順位:
 大気汚染された地域や長雨でお天気の悪い場所が一目瞭然になる。原因を調べる。

13章:太陽の位置:

キーワード:日の出の位置と時間、日の入りの位置と時間、南中高度

1.日の出と日の入り:青空の偏光の有りかは太陽の位置と観測者の位置に依存する。太陽の位置を熟知する必要がある。日の出は冬至で最南端に出る。夏至には最北端に出る。その間を6ケ月毎に振動移動する。1年周期で同じ運動を繰り返す。日の出は真上に昇るわけではない。約45度の角度で南方向に昇る。正午に真上に昇り、南中する。その後は、逆に北側に下がり約45度の角度で北側に日没を迎える。青空の偏光の有りかを知るには季節毎、時間毎の太陽の位置を熟知したい。各地の日の出、日の入り、南中の時間や位置は理科年表を参照すれば分かる。
2.静岡県の太陽の位置:
 自分で観測してもよい。1年かかる。理科年表を参照して太陽の動きが分かる。日の出、日の入り、南中高度の項目をさがし、静岡県のデータを見る。日の出が一番遅いのは冬至である。12月26日のデータを見ると、日の出は6時53分である。日の入りは16時42分である。日の出が一番早いのは夏至である。6月19日のデータを見る。日の出は4時32分である。日の入りは19時3分である。日の出の違いは冬至と夏至で2時間30分である。日の入りの違いは同様に冬至と夏至で2時間20分である。南中高度は北緯34度のデータを見る。夏至で79.5度、冬至で32.6度である。両者の違いは47度、約50度である。日の出の位置は夏至で29.3度、冬至でマイナス28度である。両者の違いは57.3度、約60度である。

14章:レイリー散乱の全貌:

キーワード:レイリー散乱の本質、ゆらぎ論、電子散乱のチンダル現象、微粒子論

1節:青空は何故青いか

1.レイリー散乱:ゆらぎ理論:
 空は何故青いのか昔から謎である。最初に答えを出したのはレイリーであった。19世紀末のことである。原因は空気のゆらぎで屈折率がゆらぎ、光は散乱されると言うものである。その際、散乱光は波長の4乗に反比例する法則を導いた。波長の短い青は波長の長い赤の約10倍強く散乱される。そのため空は青い。

2.レイリー散乱:電子散乱とチンダル現象:
 20世紀に入ると原子、分子、電子の視点から青空の散乱が解析された。空が青いのは空気分子の電子散乱による。電子は軽いので固有振動は早い。そのため振動数の高い青を強く散乱する。散乱された青い光が観測者の目に届くには、その光が別の光と干渉してはならない。そのためのは空気がゆらぐ環境が必要である。ゆらぎで干渉しない散乱光が放射される現象をチンダル現象と呼ぶ。空が青い本質は空気分子の電子散乱で、空気のゆらぎは散乱光が干渉しないで観測者に届くために必要な環境であることが分かる。ゆらぎ論は原子・電子の視点がない時代の古典的な話である。

3.レイリー散乱:微粒子論:
タバコの煙は青い。紫煙と呼ばれる。口から出たタバコの煙は水蒸気が煙に付着して粒子が大きくなり、色は白い。この説明は間違いではないが、空の青い本質は空気分子の電子散乱であり、勘違いしてはならない。舌足らずの説明と言うことができる。ところで、オーストラリアのブルーマウンテンが青いのは、ユーカリの木から出る揮発成分の微粒子のせいだと言われている。しかし、空気分子のレイリー散乱との違いを示す定量的なデータはない。

4.電子散乱の別解釈:
 電子が光の電場で振動すると、空気分子の双極子モーメントが振動する。分子の双極子は空気の誘電率、また、屈折率に換算される。そのため、電子散乱と屈折率の変動による光散乱の巨視的な古典論とを結びつけることができる。

2節:青空の偏光は何処からくるのか

1.90度散乱偏光子:
 太陽光が空気分子に散乱されて偏光ができる。太陽方向(逆光)と太陽を背にする方向(順光)には偏光はできない。太陽から90度方向(真横)にできる。幅は約プラスマイナス30度である。太陽が動けば偏光の有りかは動く。観測者が動いても偏光の有りかは動く。偏光は順光方向にあるとの間違った説明が多々ある。要注意。

大空の何処まで遠くが見えるか、空気の透明度を計算する

15章:青空視程距離: (Visibility)

はじめに:晴天の時は青空が見え、偏光が強い。快晴の時は浜松・佐鳴湖から120km先の富士山がよく見える。曇りの日も近くの山や建物は見える。その限界を計算したい。
1.視程の定義:距離Rに黒い物体がある。目線から黒い物体までの大気の散乱光の強度を計算する。目線から無限遠までの大気の散乱光(背景光)の強度を計算する。両者の比のコントラストの比が100分の2を見える限界と定義する。光を反射する雪山や発光物をもつ物体の視程は当然長くなる。黒い物体の視程とは別に考える。
2.晴天時の長距離視程の理論式:今、問題にしているのは晴天時、何処まで遠くの山が見えるかである。この場合、山までのレイリー散乱光と無限遠までのレイリー散乱光(背景光)のコントラストを計算する。光の大気で消散し、減光する係数をSとする。すると、視程Vを与える次の理論式が導かれる。
     V=3.0 / S 、 即ち、消散係数に反比例する。
青空が完全にクリーンでレイリー散乱の偏光が100パーセントの理想的な場合を考える。消散係数は0.52ミクロンの緑色の光でS=1/77km、視程の理論値は300kmとなる。波長が0.58ミクロンのオレンジ色の消散係数はS=1/116kmである。視程の理論値は450kmとなる。波長が長くなると視程も大きく伸びることが分かる。霧で見えない物も波長の長い赤外線で見るとクッキリ見える。視程が飛躍的に伸びることが分かる。
3.佐鳴湖から富士山の視程を見る:青空の偏光が80パーセントを越えると佐鳴湖から120km先の富士山がクッキリ見える。偏光が35パーセントの時でもかすあに見える。視程と偏光度とは強い相関関係があることが分かる。
4.異常視程:晴天時の視程は数kmである。50km以上の視程は異常視程と言う。
5.霧がある時の短距離視程の理論式:視程1km以下は霧のせいだ。1km以上はもやのせいだ。霧に煙が混ざるスモッグの場合は光を吸収するので視程は短くなる。次の理論式が与えられた。視程V=2.6r./W、ここに、rは霧の半径、Wは霧の降水量。
 視程は霧の半径に比例し、降水量に反比例する。
6.空気成分と混ぜ物:青空偏光を作るのは空気成分の酸素、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリューム、メタン等である。その他に青空偏光を減少させる混ぜ物がある。空気中の水蒸気、雲粒、都市型エアロゾルの硫酸アンモニューム、硫酸カルシューム、有機化合物、鉱物ダスト、等がある。都市型エアロゾルとして炭素すす、排気ガスがある。海洋性エアロゾルとして海塩微粒子がある。



16章:雲粒・チリのミー散乱:

はじめに:雨、曇天、雪、大気汚染で空気が汚れた場合は青空が見えない。青空偏光も0パーセントである。青空偏光がない時は空はすべての光を散乱するので空の色は白い。その散乱はミー散乱と呼ばれる。ミー散乱の原因を詳細に調べるには、成分の霧や雲粒の半径や密度、降水量を調べる必要がある。視程の理論式より求めることができる。大気汚染の原因もミー散乱から調べることができるので、ミー散乱は、ある場合にはレイリー散乱以上に重要である。


17章:地平線距離と空気層の厚み計算:

キーワード:地球の幾何学的半径6371km、地球の気圧差半径7341km

はじめに:地球大気には高さによる気圧差がある。そのため、光は直進しないで曲がる。そのため、幾何学的に考えた地平線より遠方の地平線が見える。計算によると、地球の幾何学的半径は6371kmだるが、気圧差を考慮した地球の気圧差半径は7341kmとなる。この気圧差半径を用いて地平線までの距離や空気層の厚みを計算しなければならない。上層空気の厚みは8kmである。実際は上層空気は薄くなるので数10kmある。
1.地平線までの距離:
 地球は丸いので視点の高さHと地平線までの距離Pとの間には次の関係式が成立する。H=ルート(2HR)、ここに、Rは地球の気圧差半径を用いる。
視点が身長の1.6mとすると、地平線までの距離は約5kmである。
2.空気層の厚み:
 地平線から厚み8kmの空気層の端までの距離は、視点が8kmの時の地平線までの距離と等しい。上式で計算すると342kmとなる。両者を加えると347kmとなる。空気の厚みの8kmと比べると43倍も長い。昼間、上空から地上を見ると空気層の厚みは8kmである。朝夕、太陽光は437kmの空気層を通過する。1000mの山に登ったり、3776mの富士山に登ると地平線を通る空気層の長さは、更に長くなる。各自、上式で計算してみよ。



18章:世界一空気がクリーンな地方:

 工場がなく大気汚染されていない地方、乾燥して水蒸気があい地方では上空の大気は空気成分のみと考えてよい。100パーセント近い偏光度が観測できる可能性がある。世界各地で偏光度の観測が開始されれば、世界一空気がクリーンな地方が一目瞭然だ。逆に、大気が汚染されて空気が汚れた地方も一目瞭然になる。是非、世界各地で偏光度の測定を開始したいものだ。現在、世界一きれいな大気を求めて海外旅行を続けているが、一人の力では必要なデータ集めは無理である。気象庁や共同研究者の協力が必要である。色々な文献を探す必要もある。
文献を手当たり次第探していると、アメリカの中西部やオーストラリアの内奥部の乾燥地帯では地平線まで空が青いそうである。即ち、地球表面にさえ水蒸気やガスがほとんど無いことを示している。おそらく世界一クリーンな大気であると考えられる。是非とも偏光度を測定してみたい。現在までのデータを見渡すと、偏光度80パーセントが観測された。その日は空気が澄み渡り、120km先の富士山もクッキリ見えた。非常に珍しい。視程は、おそらく、200km近い。完全に空気がクリーンな極限を考える時の視程の理論値は300kmである。ただし、光の波長は0.52ミクロンの場合を考える。


19章:青い山脈の空中透視:

 遠方にある山から目線までの距離があると、その間にある空気層がレイリー散乱する光の量は相当なものになる。遠方にあればある程、遠方の山は青くなり、やがて遠方の山の青い色は背景の青空の青い色と同一になる。するとコントラストの区別がつかなくなり、山は見えなくなる。逆に、遠方の山の青さから距離が推定できる。また逆に、地図から山までの距離が分かれば、山までの距離と山の青い色との関係が求まる。レイリー散乱、視程、実際の写真データを参照すると良い。


20章:魚眼レンズによる全天偏光マップ

 全天の何処から偏光がくるのか不明瞭である。そこで魚眼レンズで全天偏光分布が一目で分かる映像を撮影することを考えた。偏光は太陽から90度の位置で作られるので、朝夕は太陽が山際にある。太陽から90度の位置は全天の中央になる。偏光フィルターで偏光をカッツトすれば、全天の中央に黒い天の川が現れる筈である。昼間は太陽は真上にくるので、太陽から90度の位置は360度の山際全体にわたる。すると偏光は山際全体からくることになる。得られた写真の映像を見ると予想通り朝夕は全天の中央に黒い天の川が得られた。理論と実測は完全に一致することが証明された。今後も観測を続け、偏光度が最高値を記録する時のデータも出す予定である。偏光度が最高値を記録する時には黒い天の川は真黒になり、そこに昼間は見えない星座が見える可能性がある。是非、チャレンジしたい。


21章:色偏光の全貌

 偏光は屈折率異方性のセロハン膜を通すと振動面が変化し、その変化が光の波長で異なるために色分かれして偏光膜を通すと色づく。即ち、色偏光が得られる。偏光を色分けさせるセロハン膜等は色々な種類の膜がある。複屈折率の膜を通過するとき、分かれた2つの偏光が位相がそろうと干渉する。収斂光や斜め入射光の場合には色偏光が空間分布をもつ干渉縞を示す。色偏光を与える膜を総称して偏光分光膜と呼べばよい。得られた色偏光も単色の時もあれば、7色の色偏光が並んで虹状の模様を示す場合もある。色偏光が密集する干渉縞を示す場合もある。

1節:色模様から見た色偏光の全貌:
1.単色の色偏光:
  平行光線の場合、偏光は1つの色を示す。色は自由に選べる。色フィルターで風景に  色をつける場合と似ているが、色偏光の場合は偏光にのみ色がつく。色フィルターを  用いた場合は風景全体に色がつく。その点に違いがある。
2.偏光虹:
  7色の色偏光が並ぶ偏光虹は風景とよくマッチする。アートとして充分すぎるほど役  立つ。注:偏光虹は干渉縞の1部である。
3.色偏光干渉縞:
  色偏光が空間分布をもつ場合の干渉縞は円形ないし双曲線模様を描く。研究の対象と  しては重要であるが、風景とはマッチしない。

2節:干渉する2偏光の位相差から見た色偏光の全貌:
1.直線偏光:2偏光の位相差がゼロの場合、干渉する2偏光は直線偏光になる。
2.楕円偏光:2偏光の位相差が0度と90度の場合を除くと干渉する2偏光は楕円偏光  になる。
3.2偏光の位相差が90度の場合、干渉する2偏光は円偏光になる。即ち、偏光の向き  がグルグル回る。実質、自然光と同じである。

以上、色偏光には色々なタイプがあるので、おのおのの特長を生かして利用すると
  よい。



22章:太陽光の日射量と透過率

はじめに:太陽光は空気分子にレイリー散乱される。その際、波長の短い青が強く散乱されるので空は青い。この章ではレイリー散乱の元になる太陽光の強度について考えてみたい。
1.太陽定数:太陽日射量:太陽は表面温度が6000度である。強烈な光を放出する。地球に届く太陽光の強度は1.4kW/m2である。厚み8kmの空気層を通過して地上に届く光強度は1kW/m2である。太陽定数と呼ぶ。即ち、透過率は70パーセントである。30パーセントは空気層を通過うる途中で散乱、吸収される。
2.透過率の波長分布:太陽光は波長0.2から2.5ミクロンにわたる分布をもつ。可視光の強度は、その中の約半分である。紫外線や赤外線の散乱と吸収は強い。可視光の散乱と吸収は少ない。夜空の星が8kmの空気層を通して良く見える。空気は充分透明なのである。
3.日射量と天気:天気が良いとレイリー散乱が強く空は青い。また、日射量も強い。曇天の日には日射量は弱い。即ち、日射量は天気に大きく左右される。日射量で天気の良さを表すことができそうだ。しかし、緯度が高いと、いくら天気が良くても日射量は弱い。太陽光が斜めに入射し、通過する空気層が厚くなるためである。空気層が8kmと考えて日射量を換算すれば天気の良さを表すことができるかも知れない。
4.日射量の世界数値マップ:日射量は太陽光発電等、自然エネルギーの利用にかんがみ世界中で観測され、数値マップが作成されている。日射量の世界数値マップから天気の良さを表す数値に換算する理論を確立すれば、晴天世界数値マップを作成できる可能性がある。今後の課題としたい。


終章:今後の問題点を展望する

 世界晴天数値マップを作成するには、青空偏光度を測定する共同研究者や気象庁の協力が必要である。空気の透明度を示す視程は観測項目の1つに入っている。世界各地で視程を測定するのは容易ではない。偏光度の測定は光強度の測定器と偏光フィルターが1枚あればよいので、世界各地でデータを出すのは容易なことである。特別、観測所を設ける必要もない。自動車で移動して世界各地で定点観測を行えば済む。もし、世界各地の偏光度のデータが出れば、世界各地の空気のクリーン度が一目瞭然であり、天候を問題にする旅行業者、旅行者、大気環境研究者に与える利点は計り知れないものがある。
 要は、青空偏光度が人類に与えるメリットをどれだけの人々が理解するかである。そのための広報活動が必要だ。
 また、偏光が見える偏光ビュワーや偏光の振動方向測定器や偏光度測定器を教育関係者や気象関係者に普及させることも重要である。学校教育の中でも青空偏光の項目を取り入れ、自然の理解を深める努力も大切である。





付録:偏光虹に関する文献


辞典:

1.国語大辞典:色偏光、偏光膜の間に異方性物質を置いて白色光が色づく現象
2.物理学事典:色偏光、結晶板による干渉色のついた干渉縞の現象
3.理化学事典:色偏光、色のついた干渉縞の現れる現象
4.広辞苑  :色偏光、記述なし

専門書:

1.物理学概説、多田政忠:
        色偏光、偏光膜の間に入れた結晶板で白色光が色づく現象
2.偏光とその応用、シャークリフ:
        快晴時、空気分子の90度散乱は完全偏光する。曇りの日は偏光しない。 ミツバチは偏光を見て位置を知り、ミツを集める活動をする。
3.光への招待、岡村康行、森北出版:
4.ひしぎ体験、科学実験、壇上慎二、ブルーバック:
5.地球と宇宙の物理1、佐藤文隆、岩波:
6.物理学2,ブリュー、平凡社:

研究論文:

1.雲母と液晶を用いた偏光と位相の関係(応用物理教育、21巻、1997)
2.偏光を利用したデモ実験(東北物理教育、7巻、1997)
3.学生実験の新しい試み(物理教育、33巻、1984)
4.学生実験の新しい試み(物理教育、35巻、1989)
5.偏光による着色現象を理解するために(千葉、加藤)

  
 [青空偏光の文献調査結果]


青空偏光の記述がある文献15件:調査文献360件
1.青空偏光の図を示すのみ(理解困難)。岡村(光への招待)
2.観測可能な程度の青空偏光あり。佐藤(光と風景の物理)
3.70度を越えない太陽光に対し、かたよりがゼロになる中立点が2つある。ブリュー
4.空気(多原子分子)の90度散乱は完全偏光にならない。石黒(光学)
5.ケンコー偏光フィルターの説明書:太陽の順光で効く(間違い)。
6.太陽と反対側の青空光は偏光している(間違い)。加藤(身の回りの光と色)
7.青空光には偏光が存在する(その一言のみ)。大津(光科学への招待)
8.青空光は弱いながら偏光している。図あり。アメリカ中西部、オーストラリア内奥部  は地平線まで青い空が見える。桜井(自然の中の光と色)
9.青空90度散乱光は強く偏光している。高橋(ワクワク実験気象学)
10.青空偏光は90度方向、北の空の光は有名、澄んだ田舎の空気は偏光大。
  (物理学大辞典)
11.青空散乱光は一部偏光。グンデルセン(Qエーで分かる物理科学2)
12.青空の右横と左横と色が違う。(理解困難)。(おもしろ実験・ものづくり事典)
13.大きな散乱角をもつ青空光は偏光している(間違いか)。オックスフォード(物理)
14.ミツバチは青空偏光を感じる、の一言。(プロジェクト物理)
15.大きな分子をもつ青空偏光は90−96パーセント偏光している。
   シャークリフ(偏光とその応用)
16.光と電波、徳丸、森北。青空90度で偏光は強い。
17.物理学を読む(青空散乱光は多く偏光を含む)。


(平成16年.8月.19日、作成)








 
 〔英語、独語、仏語の論文〕


1.B-12:Bennett:Question of the polarization of infrared radiation from
the clear sky: J.Opt.Soc.Amer.,51,237,1961

2.C-10:Chandrasekhar:IJllumination and porarization of the sunlit sky
on Rayleigh scattering: Trans.Am.Phil.Soc.,44,Pt.6,88,1954

3.C-12:Chapman:Device of visualizing the pattern of plane polarized light from blue sky:
      Nature 181,1393,1958

4.C-31:Coulson:Investigation of polarization of skylight (University of California,Departmennt      of Meteorology,June 1955)198 pp.

5.D-9:Dietze:Einfuhrung in die Optik der Atmosphare(Academisch Verlag,Leipzig,1957.
      263 pp.   光のかたよりの検討

6.F-11:Foitzik:Einfuss des Aerosols auf die himmelslichtpolarization,Optik17,554,1960

7.J-10:Jensen Die Himmelsstrahlung.,Handbuch der Physik,vol.19(Springer,Berlin,1928.
     第4章
8.L-18:Lenoble:Etat de polarisation du rayonnement difuse dans les milieux naturels(mer et         atmosphere)J.phys.radium,18,47S,1957

9.P-28:Pollak:Uber die Verwendung von Flachenpolarization in der metorologischen         Optik.,  Zeiss Nachr.,p.307,january 1939.

10.R-8:Richartz:On the measurement of the skylight polarization.,J.Opt.Soc.Amer.50,302,1960.      現在知られている肉眼測定法を比較したもの。

11.Sekera:Polarization of skylight:Encyclopedia of Physics: Springer Berlin,1957

12.Sekera:Light scattering in the atmosphere and the polarization
of skylight, J.Opt.Soc.Amer,47,484,1957

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