亀ケ岳(538.4m)  

広島県府中市

 2005年12月10日(土)  チャコ&門久

 

 

広島百山踏破をめざし、備後に残る2座のうちの一つに登ろうと広島の自宅を出た。

しかし、出立が遅くなったことから、道中で大谷山より山中の時間の短い亀ケ岳に登ることに決した。

ガイドブックや地図を眺めてもあまり興味が深まらない山であったが、

実際に行ってみて意外にも地元の人たちの熱意でよく整備され気持ちの良いところであると分かった。

将に「百聞は一見に如かず」である。

 

 

  当初は、府中小学校近くに自動車を置いて、八幡宮から八尾山を経由して登る計画であった。しかし、小学校近くの道路が込み入っており駐車場を直ぐに見つけることが出来ず、またその後で道に迷って時間をロスしたことから、七ツ池まで自動車で上がることにした。そこから先ずは亀ケ岳に登頂し、そのあとで付近を散策することにした。

 

 

 

 

〈七ツ池〉

〈東御堂跡〉

〈蛇円山〉

 

 

 

 

  府中市街地から七ツ池までは、市街地の北側に造成された住宅団地や工業団地を抜けてから山の斜面に取り付けられた狭い車道を左手に市街地の眺望を得ながらクネクネと行く。途中に、青目寺の堂宇があり、そこから車道は更に険しい急傾斜面を行く。車道が、八尾山から延びて来る尾根の最高地点である幡立岩の下を廻りこみ、山上の緩やかな谷間に入ると、直ぐに右手に第1池が現われる。それから松林の中に第6池までが続く。第5池の畔に東屋があり、その周辺に駐車場とトイレが設置されている。この季節は落ち葉が溜まっているものの、きれいに整備されており、気持ちの良いところである。

 

  第5池は大池と呼ばれ、一番大きな池である。その池畔の駐車場を出て亀ケ岳に向かう。地図を持たずに来たので、池の周囲の数多くあるピークのどれが亀ケ岳か判然としない。池畔で会った軽四輪車の地元の老人は、池の向う側の尾根にある電力会社の送電線鉄塔近くのピークが頂上だと教えてくれた。第6池の土手から第5池の入り江に掛かるツツミ橋を渡って行くと、「東御堂、亀ケ岳」と書いた立派な指導標があったので、安心して遊歩道を進んで行った。やがて、遊歩道から左に折れて鉄塔のある尾根に上がる山道の分岐点に「東御堂」の指導標が立っていた。それに従って山道に入り、尾根上の鉄塔の先のピークに達した。そこが亀ケ岳の頂上であろうと三角点などを捜したが、草が繁るばかりでどこにもなかった。その小ピークからやや下がった鞍部が「東御堂」跡との指導標があったので、そこまで下って行った。広島県が建てた「青目寺跡」という御影石の立派な石柱や案内板が立つ切り開きの平地にかつての堂宇の礎石らしい石組みが見られた。

 

東御堂跡のある丘には亀ケ岳のピークはなさそうなので、いったん元の遊歩道まで引き返し、この遊歩道を挟んで反対側のピークを探ってみることにした。遊歩道から「東御堂」とは反対方向に分岐する別の舗道があったので、それを辿って行くと直ぐに「亀ケ岳」と書いた指導標があった。その道は第5池・大池の土手から上がってくる道で、最初からその道を辿って来ておれば、地図がなくても迷うこともなかったのだと思う。

  指導標から頂上までの道は、笹や潅木が繁る中に取り付けられており、倒木も多い。途中にある小ピークを探ったりしながら行ったので約9分かかった。頂上には三等三角点が建てられ、その周囲にコンクリート製の丸太型のストールが二つと、土管のゴミ入れが設置されたごく狭い平地があるのみで、周囲は大きな樹々が繁っており、眺望は全く効かない。登山者は、我々のほかには誰もおらず、この頂上で静かに遅い昼食を摂った。食事の間に、それまでは幾分かは晴れて明るさもあった空が、いつ雨や雪が降り出してもおかしくないどんよりとした曇空にと変わった。

 

 

 

 

  〈工業団地を望む〉

  〈現在の青目寺〉

  〈登山者の影が映る〉

 

 

 

 

昼食後は、この七ツ池の周辺を散策することにした。七ツ池から高良池を経由して林道と兼用の遊歩道が青目寺近くの車道まで亀ケ岳の山塊の東側を巻いている。青目寺からは自動車で辿った車道を歩き、八尾山から上って来る尾根道を左から受けてから、幡立岩に登り、そこを下るともう七ツ池群の端っこであるので、池畔を散策しながら駐車場まで帰ってくることにした。途中のどこかから、龍王山展望台に寄り道しても良い。

 

  高良池は上下ふたつの小さな池であった。その堤防下を横切ってから林道を兼ねた遊歩道が下の谷間に向かって下って行っていた。道の幅は軽自動車が何とか一台通れそうなものだ。この季節ゆえ路上はきれいな枯葉・落ち葉の絨毯である。登山靴でカサカサ音を立てて歩いて行った。この道が大きく右に迂回するところから東に菊づくりで有名な金丸の集落を挟んで蛇円山(545.8m)の大きな山塊が見えた。こちらから見ると蛇円山もなかなかに大きく立派な山である。

  そこから道は、方向を南に転じ緩やかな下り傾斜となって青目寺近くまで長々と続く。亀ケ岳の東面から南面を巻く感じである。山の南側の谷間はまだ十分に鑑賞に耐え得る美しい紅葉で、その一番奥に龍王山展望台が空中に浮かぶように建っているのが見えた。

 

  青目寺は、かつては七ツ池、亀ケ岳頂上付近に四御堂、十二坊の堂宇を擁する大寺であったという。いつの頃か分からぬが、これらの伽藍、堂宇は一夜のうちに焼け落ちたと謂われている。府中市街地から七ツ池への車道の沿道にある今の青目寺は、これら焼け落ちた伽藍から拾い出した仏像を集めて祀ったものと謂われている。天台宗の寺院である。

 

  青目寺から自動車で走った車道を幡立岩への登り口まで歩く。直線距離で約500メートル、標高差が約300メートルであるので、見た目にはかなりの険しさだ。自動車がそんなに走る道でもない。ここを左手の府中市街地やその周辺の山々を眺めながらのんびりと歩いた。

 

 

 

 

 

  〈幡立岩と府中市街〉

  〈再び七ツ池〉

  〈龍王山展望台〉

 

 

 

 

  幡立岩は、この車道が急傾斜面を上りきった辺りから左手に入る山道を辿って登る。上るに従って、露岩が多くなってくるが、これらが幡立岩ではない。この山のピーク上にある黒い岩がそれである。岩の上面に旗竿を立てるような穴状の窪みがある。戦国の世であろう、ここから尾根続きの八尾山(345m)に山城があり、この城の通信手段としてここの岩に旗が立てられたらしい。また、このピーク上で、平成8年の国民体育大会広島大会の炬火が採火されたとのことで、頂上にその祈念碑が建てられてある。

 

  幡立岩から下ると第二番池の上であった。ここから、池畔を散策しながら駐車場まで帰ることにした。途中で、東側の谷の底から空中展望台のように見えた龍王山展望台にも足を延ばしてみた。一番大きな第5池・大池以外は満々と水をたたえており、その水面に四周の緑の山々が映って実に美しい。市街地から直線距離では僅か1.5キロメートル程のところに、こんな高原があり、そこにこんなに美しい沢山の池があるとは信じがたいことである。美しい環境に史跡とくれば、ここには多くの伝説や神話がある。決して不思議なことではないように思う。

 

 

《今回のコースタイム》

七ツ池(大池)駐車場12:38・・・12:47指導標「東御堂」・・・12:55東御堂跡12:59・・・13:05指導標「亀ケ岳」・・・13:14亀ケ岳頂上(539.4m)(昼食)13:47・・・13:58高良池・・・14:32青目寺14:37・・・15:18幡立岩15:23・・・15:41龍王山展望台15:44・・・16:03七ツ池(大池)駐車場

 

山行の所感

 登山というより山歩き、高原散策であった。このところ備後地方の山々では荒れた道に苦戦を強いられ続けていたが、ここは広い山域のどこもきれいに整備、手入れされており、実に気持ちの良い山行を楽しめた。地元の人たちの熱心な取り組みの賜物であろう。いつか季節を違えて(秋の松茸シーズンはどうも無理なようであるが)訪ねてみたい山である。

 

 

 

〈亀ケ岳付近の地図〉赤い線は歩行したルート

 


〔BACK〕

〔HOME〕

Ads by TOK2