石鎚山系の修験道の霊地を辿る山旅
〜〜手箱山(1,806.2m)・筒上山(1,859.3m)・岩黒山(1,745.6m)〜〜
手箱山(てばこやま)
筒上山(つつじょうざん)
岩黒山(いわぐろやま)
2006年10月8日(日) チャコ&門久
中秋の3連休、当初は南アルプスの鳳凰三山などへの山行を企図していたが、
太平洋岸に停滞した秋雨前線上に発生した低気圧に台風16号、17号が合わさり、日本列島は荒れ模様となった。
この低気圧は異常とも思える程に発達し、日本列島に沿って北上したことから、
東日本、北日本、日本海沿いなどの天気の回復には日数を要する模様となった。
こうなっては高山の天候はどうなるか分からない、雨に降られるのは嫌だと当初案を諦めて、晴マークの並んだ四国へ方向転換した。
行き先は以前から温めていた石鎚山系の土小屋から岩黒山、筒上山、手箱山へと続く尾根の空中散歩。
紅葉には1〜2週間早過ぎる感はあったが、挙行することにした。
8:31 土小屋
未明に広島を発ち、山陽道、しまなみ海道、国道194号を経由して、寒風山トンネル南口から瓶ヶ森林道に入り土小屋へ。走行距離230km余。ところが、晴れている筈の四国の山上は濃霧。瓶ヶ森林道では、視界が数メートルのところもあった。土小屋も深い霧に閉ざされていた。その上に駐車場は満杯で、林道の路側の膨らみにまで駐車している状況。遠来の石鎚山への登山者が殆どのようだ。わが愛車も路側に停め、登山支度は整えたものの、この霧の中、「さてどうしよう!」。思案ばかりしていても仕方がないので、とにかく出発。
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〈濃霧の土小屋、石鎚山への登山者の車で満杯の駐車場〉 |
〈筒上山への登山口、白石ロッジ上り口の南にある〉 |
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9:29 丸滝小屋
登山口から丸滝小屋までは岩黒山の山裾を巻いて登山道が伸びている。夜間雨が降ったのであろうか、石畳の道は濡れており、滑らぬように用心しながら進んだ。石鎚山系独特のウラジロモミを中心にした林の中であるが、ずっと深い霧に閉ざされていた。
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〈霧が垂れ込めたウラジロモミの林の中の登山道を行く〉 |
〈丸滝小屋、大峰宗覚心寺派の修験道場だ〉 |
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〈丸滝小屋の背後には断崖絶壁が控えている〉 |
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〈帰路に見た霧が晴れた断崖絶壁> |
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10:49〜10:56 手箱越
丸滝小屋を過ぎて一旦鞍部まで下ると、岩の断崖の中ほどに設えられた桟道が暫く続く。修験道の信者さんの奉仕で出来た道とのことである。スリルはあるが、お陰で楽が出来る。二番目の鞍部で筒上山への尾根道と東側の山裾を行く巻き道が分岐するが、巻き道を行った。道はブナを中心にした美林の中を緩やかに上って行ってから、お花畑の中の石段状の道で高い断崖を巻いて行くと、紅葉した樹々も多くなってきて、やがて修験道の道場のある手箱越に着いた。高い石垣には驚いた。
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〈断崖に取り付けられた鉄製の桟道を行く〉 |
〈ブナを中心にした奥深い美林の上に筒上山がある筈だ〉 |
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〈手箱越では、高い石垣に驚いた。この上に修験道場がある〉 |
〈霧が突然晴れて、修験道場の上に筒上山が現われた〉 |
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〈リンドウ、今回の縦走路のいたる所で咲いていた〉 |
〈ハガクレツリフネソウ(葉隠釣舟草)、初めて見た花である〉 |
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11:39〜12:25 手箱山(1,806.2m)
手箱越から尾根伝いに手箱山へ向かった。笹とダケカンバの美しい尾根が東西に伸びている。尾根上には紅葉が始まったばかりの小岩峰が続き、登山道はそれらの峰を左右に小刻みに巻いて行く。尾根の南の
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〈手箱山への稜線の道で出会った、色付き始めたカエデ〉 |
〈登山道の行く手に手箱山を望む〉 |
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〈手箱山への稜線から筒上山を振り返る〉 |
〈霧が晴れて姿を現した岩黒山〉 |
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〈手箱山への稜線からきれいに晴れた |
〈同じく、西方の久万 |
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〈色付き始めた手箱山への稜線上の岩峰〉 |
〈色付き始めたカエデや楢、背後の稜線は四国山脈の主稜線〉 |
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〈手箱山の頂上広場、修験道の小さな篭り堂がある〉 |
〈手箱山頂上の先の笹原から、四国東部の山々が眺望出来た〉 |
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13:06〜13:11 手箱越
昼食を終えて手箱山から手箱越へ引き返した。尾根道を行くほどに天気は好転し、陽光が照るようになってきた。日差しがあると、色づき始めた樹々も美しい。行くほどに、それまで一度も頂点が霧の中から出なかった石鎚山が、ほんの短い間ではあったが姿を現した。ダケカンバの尾根上で一緒になった登山者と一緒に喜び、その姿を写真に納めた。
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〈紅く色付いたカエデと背後の青い四国山脈主稜線〉 |
〈色付き始めた稜線上の岩峰〉 |
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〈手箱山の稜線からの筒上山、石鎚山、岩黒山の眺望〉 |
〈ずっと霧に隠れていた石鎚山がごく短時間だけ姿を現した〉 |
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〈岩黒山の遠望〉 |
〈岩壁で三方をガードしたような筒上山〉 |
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13:44〜13:54 筒上山(1,859.3m)
手箱越から修験道場の左手を廻り込んで筒上山に登って行った。鳥居を潜ると真っ直ぐ上方に向かう急坂が待ち受けていた。第二の鳥居に辿り着くと、その左手に鎖が掛かっていた。ほぼ垂直面に張られた鎖は意外に長く険しかった。先行していた男女が苦戦してそこを登っていた。苦労して辿り着いた筒上山頂上部は、笹原が拡がる牧歌的なところで、360度の大展望が拡がっていた。2つの頂点があり、最初のピークには大山祗神社が祀られており、それよりやや低い第二のピークには小さな篭り堂と祠のある頂上広場があった。
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〈これから登って行く筒上山〉 |
〈筒上山への登り口から瓶ヶ森、西黒森を眺望する〉 |
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〈鎖場の下にあった第2の鳥居> |
〈筒上山頂上への鎖場、かなり険しい〉 |
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〈筒上山上の第一のピークには大山祗神社が鎮座する〉 |
〈第二のピークが頂上広場である、ここにも篭り堂がある〉 |
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〈筒上山から手箱山への稜線を眺望する〉 |
〈四国山脈主稜線、瓶ヶ森から伊予冨士まで眺望出来る〉 |
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〈筒上山から頂上部を霧の中に隠した石鎚山を望む〉 |
〈筒上山まで来ると岩黒山の姿も大きくなる〉 |
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14:57 丸滝小屋
筒上山からの帰路は頂上広場から北に伸びる尾根道を辿った。往路に使った東側の巻き道の方が良く踏まれている感じではあったが、この尾根道も難なく歩けるほどに踏まれていた。45分間ほどの鞍部で巻き道に合流し、再びスリリングな桟道を辿って丸滝小屋まで登り返した。
15:30〜15:38 岩黒山(1,745.6m)
丸滝小屋から土小屋への下山道を5分間強下り、岩黒山への分岐から岩黒山を目指した。笹原の中に見事なブナの繁る斜面を登り尾根上に出ると、丸滝小屋前で追い抜いた団体が尾根道を登って来ていた。丸滝小屋前の分岐から尾根筋を辿れば良かったようだ。尾根を登り詰め筒上山や手箱山を望む南面をジグザグに登って行くと、猫の額ほどの広さのある岩黒山の頂上に到着した。ここからも360度の眺望だ。海や街も見えた。
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〈ブナ林の登山道から岩黒山の頂上部を見上げる〉 |
〈岩黒山の頂上、狭い空間の先には石鎚山が聳える〉 |
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〈岩黒山の東側の稜線、早くも全山紅く色付いている〉 |
〈岩黒山の頂上付近、笹原の中にコメツツジが繁る〉 |
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〈岩黒山頂上から筒上山、手箱山への稜線の眺望〉 |
〈霧の中に頂上部が隠れた瓶ヶ森と西黒森〉 |
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〈瓶ヶ森林道の通る主稜線の鳥瞰> |
〈岩黒山から土小屋への下山道の先には石鎚山が聳える〉 |
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16:24 土小屋
岩黒山の頂上から西側の土小屋に伸びる尾根を辿って土小屋に下山した。このルートの目玉は、目の前に大きく迫る石鎚山を見ながら下ってくることである。道は岩黒荘の北側を抜けて土小屋のロータリーに出て来た。
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〈土小屋に下山〉 |
〈夕陽を頭上に冠した石鎚山、瓶ヶ森近くの展望所からの眺望〉 |
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この日はシラザ峠にあるはずのテン場で一夜を過ごしてもよいと思って支度も整えてきていたが、昼前から眺望もほぼ明けてこの山域の核心部の眺望は見尽くした感じであったので、もう留まる必要もなかろうと広島へ帰ることにした。瓶ヶ森林道はこの時期は午後6時に閉鎖されるが、十分に時間があった。石鎚山や瓶ヶ森などの眺望を楽しみながら瓶ヶ森林道を寒風山トンネル南口までドライブし、往路を辿って帰広の途についた。
〔山行所感〕
晴れている筈の四国で、登山口近くにまで来て一時視界数メートルという濃霧に巻かれ、予定通り登山口は出たものの、正直「さてどうなるのだろう!?」と先の読めない不安に包まれていた。しかし、山の神は我々を見捨てることはされず、昼前には霧も晴れ始め、この山域の峰々はほぼ目にすることが出来た。また、走りの新鮮な紅葉で目を楽しませてくれることも忘れてはいらしゃらなかったようだ。植生の豊かさ、多様で豊かな森、変化のある地形の面白さ、修験道の険阻な道場を行くなど、四国の山の持つ魅力の一端に濃厚に触れることが出来た山行であったように思う。
それにしても、朝の濃霧の中、土小屋から石鎚山に向かった人は幾人いたのであろうか。駐車場は満杯、路側の空地まで隙がないほどに停められた自動車で来た人達の殆どは石鎚山に向かった筈である。成就社からはもっと沢山の登山者が登っているだろう。鎖場や頂上の混雑は相当なものになっているのではなかろうか?連休中とはいえ、紅葉の走りの時期にこんな状態では、ピーク時にはどんなことになるのか?石鎚山の人気ぶりは想像に絶するところである。
この連休中、異常発達した低気圧は海山で甚大な被害をもたらした。東北地方の太平洋沿岸では、貨物船や漁船が座礁、転覆して多くの犠牲者が出た。山でも白馬岳と奥穂高岳で、季節外れの寒波となり吹雪で多くの登山者が立ち往生を強いられ、痛ましいことに多くの方々が犠牲になられた。白馬岳などつい一ヶ月前に行ったばかりであり、また南アルプス行を計画していたのと同じ時期だけに、余計に身近なことに感じる。衷心よりご冥福を祈らずにはいられない。
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