春めく麓なれども山上はアイスバーンの厳寒の世界 吾妻山(1,238.8m)

広島県庄原市比和町

2008年3月2日(日)   チャコ&門久

 

 

 

 

〈比婆山連峰、福田頭を眺めながら無垢な雪の尾根を行く〉

 

 

総領町ではセツブンソウが、また旧吉舎町ではユキワリイチゲが花開いているという。

早春のほんの短い間だけ可憐な姿を見せてくれるスプリング・エフェメラルである。

これらの花の見物とセットにして吾妻山への雪中行を挙行しました。

吾妻山国民休暇村は今シーズンを最後に冬季閉鎖されるというニュースは登山者を驚かせました。

閉鎖されればここまでの車道が除雪されることもなくなり、

積雪期の吾妻山登山は簡単には果たせなくなるのは明らかです。

今年の吾妻山は例年になく雪深いと聞いていましたが、

ここは何としてもこの冬中に登っておかねばなりません。

3月になって麓ではやや春めいた天候となりましたが、

登山コースに樹木が少なく、風雪をまともに受ける吾妻山の稜線上は、

まだまだ厳しい厳寒の世界でした。

 

《山行記録》

吾妻山国民休暇村9:28・・・・9:36池ノ原・・・・10:00中間点・・・・10:12稜線上・・・・10:28吾妻山(1,238.8m)10:32・・・・10:59南ノ原・・・・11:27車道・・・・11:41吾妻山国民休暇村 

〔総所要時間:2時間13分、休憩等:0時間04分、正味所要時間:2時間09分〕

 

 

 9:28 吾妻山国民休暇村

  除雪されるのも今冬限りの車道を冬用タイヤで上って吾妻山国民休暇村へ。今冬は雪が多く、もう雪を捨てる場所もないと職員の方が嘆いておられたが、雪で狭くなった駐車場に何とか駐車した。登山者らしき車は一台、写真撮影グループの車が二台。その他は休暇村関係者の車か?

 

 

 

〈除雪された車道を国民休暇村へ上って行く〉

〈雪に埋もれてしまいそうな吾妻山国民休暇村〉

 

 

 

 

 

〈国民休暇村の建物越しに吾妻山の山頂部を望む〉

 

 

 

 

 

〈国民休暇村の裏手の雪原から吾妻山を見上げる〉

 

 

 9:36 池ノ原

  池は完全に凍ってその上に雪が積もってチョット見には草原と変わらなかった。少しだけ頭を出した杭があるのでそこが池であることが分かる。小坊主の丘も純白の雪原で、散策した人のトレースがいくつか認められた。吾妻山へ登っているトレースは多くない。今朝方登って行ったと思われるスノーシューの跡と、山スキーの跡がある程度であった。樹木少ない厳しい環境の冬の吾妻山へは例年そんなに沢山の登山者があるわけではない。

 

 

 

〈雪に埋まった池越しに吾妻山を眺望する〉

〈純白の小坊主のピーク〉

 

 

 

 

 

〈タップリと雪の積もった池ノ原〉

〈吾妻山々頂へのトレースはそんなに多くない!〉

 

 

 

 

 

〈振り返れば国民休暇村の建物の先に福田頭が望める〉

 

 

10:00 中間点

   休暇村からも、頂上へも0.6キロメートルの中間点の手前で左手の高野毛無山や猿政山の雄姿が見事に見え、稜線上からの好眺望の期待が膨らんだ。夏山登山道は中間点から潅木の中を左手の尾根上へと上がって行くが、潤沢な雪で覆われた時ゆえ、先人のトレースは右手の谷間に入ってショートカットをしていた。それを追って進んだ。無雪期にはブッシュでとても通れる所ではないが、今は気持の良い緩斜面の雪原となっていた。

 

 

 

〈高野毛無山、大毛無山、猿政山の雄姿〉

 

 

 

 

 

〈夏山ルートを離れて右手の谷に入って行く〉

〈暫し緩やかな傾斜の雪原を登って行く〉

 

 

10:12 稜線上

  緩斜面の上を見上げるとこちら側にも雪庇が覗いており不気味であった。先人もかなり手前で左手の夏山登山道の通っている尾根上に上がっていたので、それに倣って尾根上へと向かった。これがアイゼンがあった方がいい位の急傾斜面で、スノーシューでステップを切りながら慎重に登って行った。この急傾斜の雪面に獣の足跡があったのには驚いた。

  尾根上に上がって意外であったのは、夏山登山道の通る尾根筋には何らのトレースがなかったことである。やはり冬場の吾妻山への登山者は限定的なのだ。稜線上に上がると、それまでなかった冷たい風が吹き、それまで春のような陽気に薄着になっていた身体から体温を奪って行くようであった。尾根上の雪原もやがて足跡の残らないアイスバーンにと変わった。

 

 

 

〈緩斜面の先の雪庇を避けて左手の尾根上に向かう〉

〈これが獣のみが通うような急傾斜面で些か身構えた!〉

 

 

 

 

 

〈尾根上に出たが、夏山ルートの通る尾根上にはトレースはない〉

〈尾根上に出ると寒風の吹き荒ぶ世界へと急変した〉

 

 

10:28〜10:32 吾妻山(1,238.8m)

  アイスバーンの傾斜面にスノーシューの刃をガジガジとたてながら頂上に到達した。休暇村から写真を撮りながらでちょうど1時間であった。なかなか良い効率である。しかし頂上は寒く冷たかったので、暫し好眺望を楽しみ写真撮影をして、早々に先に行くことにした。下山は南ノ原へ下る南尾根を辿ることにし、出発しようとしたところに大膳原側の斜面を一人のスノーボーダーが上がって来られた。彼が我々の辿ったトレースを引いた先人であった。大膳原への急斜面をスノーボードで1本滑ってから上がってきたところであった。

 

 

 

〈頂上直下のアイスバーンの傾斜面〉

〈潅木の枝には海老の尻尾が・・・、寒い!!〉

 

 

 

 

 

〈吾妻山頂上から高野毛無山、猿政山、鯛ノ巣山方面の眺望〉

 

 

 

 

 

〈凍てついた山頂部、背後の南尾根の先には福田頭が見える〉

〈船通山の先に大山が遠望できる〉

 

 

 

 

 

〈比婆山連峰〉

 

 

10:59 南ノ原

  吾妻山山頂から南ノ原への南尾根は誰も通っていない無垢な雪原であった。左手の大膳原側には雪庇が出ていたので注意して下ることとした。新雪の上をスノーシューで行くのは気持ちが良い。景色も抜群だった。順調に下り過ぎて、南ノ原を突き切って車道上の林間まで下ってしまってから、南ノ原から休暇村のキャンプ場へと向かう夏山登山道の巻き道を確認するために引き返してみた。

 

 

 

〈雪庇が張り出した大膳原側の急斜面〉

〈大膳原、比婆山の眺望〉

 

 

 

 

 

〈南ノ原へ下る南尾根はバージンスノーの雪原だ!〉

〈我等のトレースが残る南尾根から頂上方面を振り返る〉

 

 

 

 

 

〈雪原越しに立烏帽子山、池ノ段、福田頭を望む〉

〈この急斜面を下ると南ノ原だ〉

 

 

11:27 車道

  今冬の積雪量では巻き道の夏山登山道は雪に埋もれてしまっているようで確認出来なかった。捜す間にやや急傾斜の林間まで入り込んでいたが、下方に車道が確認できたので、そのまま下って車道に出た。そこから、休暇村までは10分少々であった。

南ノ原から要らぬトレースを刻んだことは、もしその後を追う登山者があるとすればきっと混乱させること必至であろうと深く反省した。

 

 

 

〈南ノ原からの夏山巻き道を確認できず、林間を車道に下った〉

〈車道に出る!〉

 

 

11:41 吾妻山国民休暇村

  約2時間で雪の吾妻山を周回できた。南ノ原からの巻き道を探さなければもっと早かっただろう。密度の濃かった山中の2時間を想い返しながら、車中で昼食を摂った。

 

 

 

〈雪に埋まったキャンプ場への登り口〉

〈国民休暇村裏手から吾妻山を再度見上げる〉

 

 

〔山行所感〕

  いつも思うことであるが、冬の吾妻山に登る登山者の数は極端に少ない。樹木がなく、吹き晒しの厳しい環境であるのがその要因だと思う。しかし、来冬からは、この吾妻山の山頂は更に遠くなってしまう。ドルフィンバレースキー場が今冬から閉鎖になり、そのスキーヤーの宿泊で持っていた吾妻山国民休暇村はその顧客を失うことになり、冬の営業は今冬限りと決定したようだ。休暇村が閉じれば、ここまでの車道の除雪もなくなり、雪深いこの高地まで車で楽に来る方途が失われることになる。そうしたことから、実質的には今冬が吾妻山へ雪中行出来るラストチャンスであると言える。さあ、急いで吾妻山へお出掛け下さい。

 

 

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