国・松山南東郊のロングトレイル 東温アルプス(西ルート)縦走

〜奥善神山(1,284.1m)・前々司山(1,253m)・陣ケ森(1,206.9m)・皿ケ嶺(1,281m)〜

愛媛県東温市・愛媛県上浮穴郡久万高原町

2008年5月4日(日)    門久単独

 

 

 

〈「東温アルプス」案内図(クリックすると大きくなります)

 

 

昨年3月17日に雪の石墨山に登った時、そこから西に延びる長大な連峰を「東温アルプス」と呼ぶことを知った。

石墨山(1,456.0m)から西に14キロメートル余離れた皿ケ嶺(1,281m)までの間がそれに当たる。

その間にその2座も含めて主だった峰が12座、3つの峠があるという壮大さだ。

地元の山岳会の皆さんのご努力によりよく整備されたルートになっているという。

今回は前回の石墨山登山と同じ唐岬の滝登山口からの全縦走を狙った計画で臨んだが、

下山後に予定が出来、また夕刻からの広島への帰還スケジュールを考えると、

それはちょっと時間的にきついのでは・・・ということになり、当日の朝になって

今回はその西半分の井内峠から皿ケ嶺までの約7キロメートルのルートに短縮することに決めた。

出発は全縦走計画のままの早朝としたので、山中をのんびりと歩け、

皿ケ嶺の山頂部を周回する時間も確保出来そうになった。

当日は朝から好天に恵まれて、楽しい山行となることが予感出来た。

 

     《山行記録》

井内峠隧道6:41・・・・6:48井内峠6:59・・・・7:23「元気坂」の標識・・・・7:43遅越・・・・7:44奥善神山(1,284.1m)7:55・・・・7:57遅越 8:01・・・・8:24前々司山(1,253m)・・・・8:42鞍部・・・・9:08陣ケ森(1,206.9m)9:19・・・・9:47上林峠9:51・・・・10:16竜神平分岐・・・・10:47十字峠・・・・10:56皿ケ峰三角点(1,270.5m)10:58・・・・11:02皿ケ峰山頂(1,281m)11:16・・・・11:32竜神平11:33・・・・11:36六部堂・山頂分岐・・・・11:46十字峠・・・・11:56引地山分岐・・・・11:59(植物観察)12:09・・・・12:35風穴11:37・・・・12:42風穴駐車場

〔総所要時間:6時間01分、休憩等:1時間10分、正味所要時間:4時間51分〕

 

 

 6:41 井内峠隧道

  井内峠の登山口は標高1、050メートルほどの井内隧道の南北の両口にある。どちらからも峠まで200mとの標識があった。平野から山が屹立する典型的な四国山脈の急峻な地形である。国道11号線の井内谷への県道分岐点が標高145メートル程度で、そこから標高差900メートルを県道と谷奥からは紆余曲折し、落石累々、対向車が来たらお手上げに近い林道を走って到達した。道路脇の懸崖には大きな滝も懸っていた。距離にして15キロメートル余、時間にして40分かかった。ここまで運転してきた車を降りて、車は先に下山してもらうことにした。(井内峠隧道の南口に3〜4台駐車可能なスペースがある。トイレはなし。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈険しい峠道にあった「井内御来光の滝」〉

〈井内峠隧道〉

 

 

 6:48〜6:59 井内峠

  「東温アルプス登山路案内図」が立てられてあったトンネルの北口の登山口から登り始めた。トンネルの右側の崖のような急峻な坂道を登って行くと明るい峠に出た。上林峠、白猪峠のどちらへも4.6キロメートルとの標識が立てられていた。峠で早朝にもらったメールに返信してから、いよいよ縦走路を西に向かうことになった。

 

 

 

〈井内峠〉

〈概して久万高原町側は杉林、東温市側はブナ林だ〉

 

 

  井内峠から20分ほどはアップダウンの殆どない尾根道であった。左側の久万高原町側は杉の植林地、右の東温市側は広葉樹林となっている。登山道は広くきれいに刈り込まれ非のつけどころがないほどに整備されていた。やがて有名な「元気坂」に取り掛かった。奥善神山への上りである。標高差140メートル程で東温アルプスの中でも三本の指に入る急坂の難所という。尾根上の遅越まで20分も延々と登った。井内峠を出発した直後でかなりきつい。遅越に上がると奥善神山は尾根道から50メートルほど外れたところにあった。

 

 

 

 

〈元気坂を上り切った「遅越」〉

 

 

〈「元気坂」は奥善神山へと上る急坂だ〉

 

 

 

 

 

 

 7:44〜7:55 奥善神山(1,284.1m)

  この日の縦走路最初のピークである。四等三角点のある猫の額ほどの狭い頂上広場があった。「うなめご」という標識があったが意味がよく分からない。周りは笹原とブナなどの高木や灌木類に囲まれて眺望は開けていなかった。ただ芽吹き前の枯れ枝を越して東方に石鎚山の山塊が朝のシルエットとなって見えていた。遅越まで引き返すと、南と西の眺望が開けていて、大川嶺などの四国の大きな山岳景観や、これから行く皿ケ嶺方面の尾根筋がきれいに見えていた。ここから道は、前々司山との間の鞍部に下って行った。 

 

 

 

〈四等三角点のある奥善神山の山頂〉

〈樹々の枝越しに石鎚山塊の朝のシルエットを遠望する〉

 

 

 

 

 

〈遅越から皿ケ嶺、陣ケ森を望む〉

〈南方遥かに見えるのは平らかな大川嶺の山塊か〉

 

 

 8:24 前々司山(1,253m)

  前々司山(まえぜんじやま)と読むようだ。縦走路の中の単なる通過点といった目立たないピークであるが、これを松山平野から見上げると明瞭なピークを持った存在感のある山に見えるから不思議だ。この山域には植林地がなく縦走路の両側ともにブナを中心にした広葉樹林である。そのブナの美しいこと!今回の経路中で最も美しいと感じたところであった。南側に少しだけ眺望が開け、北側には樹林越しに松山平野が広がっていた。いつまでも歩いていたいような気持ち良い尾根筋であったが、道は陣ケ森との間の鞍部へと下って行った。思っていた以上の大下りであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈見事なブナの樹林の中を行く〉

〈歩くと幸せを感じる尾根道である〉

 

 

 

 

 

〈前々司山のピーク〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈南東方向に中津明神山(1,540.6m)が望めた〉

 

 

 

 

 

 

 

〈一旦下って陣ケ森に登り返す〉

 

 

 9:08〜9:19 陣ケ森(1,206.9m)

  樹林越しに頂上直下の電波中継塔を眺めながら陣ケ森への登りの道を辿った。縦走路は塔の北側を巻いて西に進むが、陣ケ森の頂上は塔の南側へ外れてひと登りしたところにあった。笹原と杉の植林に囲まれているが東側だけが灌木帯で、その先に辿ってきた尾根筋がきれいに見えた。前々司山、奥善神山の先には石墨山が、さらにその先には筒上山、手箱山など石鎚山の南の山々も眺望出来た。狭い頂上広場には四等三角点があった。しばし頂上で休息の後、電波中継塔を巻いて上林峠へと下って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈陣ケ森頂上直下の芽生えたブナ〉

〈電波中継塔のある陣ケ森頂上〉

 

 

 

 

 

〈歩いて来た前々司山、奥善神山を望む〉

〈遥か先には筒上山、手箱山が望める〉

 

 

 9:47〜9:51 上林峠

  上林峠への下りの尾根道も見事なブナの樹の多いところであった。上林峠の標高は1,075メートルという。十字路となっており、縦走路と上林方面、久万林道方面への道が分岐している。この下にも林道のトンネルが貫通している。ここから木組みの階段道を辿って皿ケ嶺へと登って行く。何でも400段もある階段道とのこと。元気坂と同様に縦走路中の難所の一つという。登って行くほどに、強くなり始めた陽光が背後から容赦なく照って暑いことこの上なく参ってしまった。この階段道が尽きると皿ケ嶺の頂上台地で、よく整備された登山道が潅木の中に延びている。峠から皿ケ峰山頂まで2.3キロメートルあるという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈上林峠〉

〈皿ケ嶺へは先ず400段の階段が待つ〉

 

 

 

 

 

〈急坂の途中から陣ケ森を振り返る〉

〈スミレのようであり、そうでないようでもある、果たして?〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈皿ケ嶺のよく整備された登山道を行く〉

 

 

11:02〜11:16 皿ケ嶺山頂(1,281m)

  頂上台地の登山道を行くほどに、この日初めての登山者と会った。竜神平への分岐点に出合うがここは無視して十字峠へと進んで行った。竜神平の外側を大きく迂回するように進んで行くと大勢の登山者と行き違うようになった。竜神平の反対側で十字峠への上りにかかった。15分ほど杉の疎林を登って行くと十字峠へ出た。真っ直ぐ行けば六部堂、右折すれば引地山である。ここは左折して頂上を目指した。ダラダラと広い登山道を10分ほど登った路傍で二等三角点(1,270.5m)に出合った。ここの三角点は頂点にはない。皿ケ嶺の頂上は、なお数分登山道を登り切ったところにある。比較的広い頂上広場があり、久万高原町側の眺望が素晴らしい。

 

 

 

〈十字峠〉

〈頂上への路傍にある皿ケ嶺の二等三角点〉

 

 

 

 

 

〈皿ケ嶺の頂上広場〉

〈山頂から久万高原町方面を望む〉

 

 

11:32〜11:33 竜神平

  山頂から竜神平へ下った。登山道の途中に東方の眺望が開けているところがあって、そこから石鎚山塊の景観が望めた。頂上から15分ほどで竜神平へ下った。子供連れも多い沢山の登山者で、竜神平を望める緩傾斜地の木陰で三々五々弁当を広げていた。久し振りに愛媛大学竜神小屋も見ることが出来た。

 

 

 

〈竜神平への下山路から石鎚山の山塊が遠望出来た〉

 

 

 

 

 

〈竜神平の木陰で多くの登山者が寛いでいた〉

〈竜神平は広々とした草原の湿地だ〉

 

 

11:46 十字峠

  竜神平からは順路で風穴へ下山する予定であったが、皿ケ峰山頂広場での休憩中に情報交換をした単独行の男性から、「十字峠から風穴への道筋でハシリドコロの花が見られ、訪れる登山者も多い」との情報を得たことから、十字峠を二度通ることとなるもののルート変更して行ってみることにした。十字峠から更に西の引地山への尾根道もきれいに整備されていた。その道を10分程行くと風穴への分岐点があった。風穴への道を採って数分の傾斜面に人の踏み跡が付いていたので、辿ってみるとハシリドコロの群生があって、葉の陰に可憐な釣鐘状の花を沢山付けていた。これに満足して下山を急いだが、それからの登山道の周辺は、竜神平からの順路の周辺も含めてハシリドコロの大規模な群生地となっていた。

 

 

 

〈十字峠から引地山への登山道〉

〈ここで風穴方面へのルートを採った〉

 

 

 

 

 

〈斜面一面ハシリドコロの群生地であった〉

 

 

 

 

 

〈サクラソウにも出会えた〉

 

 

12:35 風穴

  皿ケ峰は四国を代表する花の山としても有名な所のようだ。この日もハシリドコロのほか、サクラソウ、イチリンソウなどにも出会えた。そんな花の群生の中を下って行くと下山口の風穴に到着した。夏なお涼しい風が吹き出す文字通りの穴の周辺には沢山の登山者や観光客の姿があり賑わっていた。迎えの車を待つために、その先の駐車場まで下ってみると、広い駐車場はほぼ満車という盛況ぶりであった。駐車場横の広場で遅い昼食を摂りながら車の到着を待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈クリーム色のイチリンソウが咲いていた〉

 

 

 

 

 

 

 

〈風穴には大勢の観光客の姿が見られた〉

 

 

 

〔山行所感〕

  井内峠から上林峠までの縦走路では一人の登山者と出会うこともなく極めて静かで良く整備された登山道の快適な山行が楽しめた。皿ケ峰は林道が風穴や上林峠まで開通して老若男女を問わない一大登山スポットとなっているようであった。今回踏破出来なかった石墨分岐から井内峠間の縦走に近いうちにチャレンジして、「東温アルプス」の全ルート踏破を果たしたいと思う。

  この「東温アルプス」は、地元の山岳関係者のご努力で素晴らしいトレイルとして整備されている。出来得ればもっと多くの登山者の方々に気軽に通ってもらいたいと思うのであるが、ネットのレポートなどを拝見するにやや冒険的な色調のものになっているのは否めない。これは、このトレイルの最大の難点である、登山口へのアプローチの長さ、難しさによるところが大きいと思える。公共交通機関は不十分で、タクシーも高価につくようだ。縦走ともなる登山口、下山口の両方に備えが必要だ。この課題の解決はそう簡単ではないだろう。もう一つ難点を挙げるとすれば、縦走ルート全般に、眺望が今ひとつということであろうか。これは石墨山からのピカいちの石鎚山塊の眺望などで帳消し出来るかも知れない。

  幾多の課題は抱えているものの、これだけ都市から身近なロングトレイルである。地元の人達を中心にいつまでも愛されるルートとして育って行って欲しいと思う。

 

 

〔BACK〕

〔HOME〕

 

 

 

Ads by TOK2