マムシに進路を断たれた山・リベンジの山行は修行の如し 弟見山(1,085.3m)

山口県周南市・島根県鹿足郡吉賀町

2008年7月6日(日)    チャコ&門久

 

 

 

〈弟見山のビューポイントから莇ガ岳への稜線を望む〉

 

 

梅雨ではっきりしない天気が続いている。前日の7月5日(土)は降る予定のなかった強い雨の朝で山行を諦めた。

この日の朝も濃い霧に巻かれて暗い夜明けで出鼻を挫かれるようであったが、予報では悪い天気ではないとのことであった。

そこで行き先を中でも天気の良い山口方面に定め、

一昨年7月に空中のマムシに行く手を遮られてあと数分の頂上を踏めなかった弟見山(おととみやま)へのリベンジの山行と決めた。

前回は莇ガ岳(あざみがたけ)から藪漕ぎの縦走であったが、今回は多様性を持たせることも考えて北の仏峠からのピストンとした。

 

〈山行記録〉

仏峠10:36・・・・11:09(休憩)11:13・・・・11:39 981mピーク11:40・・・・12:15弟見山(1,085.3m)12:52・・・・12:58展望所13:01・・・・13:02Uターン(2006年蝮遭遇場所)13:03・・・・13:04展望所13:07・・・・13:14弟見山(1,085.3m)13:16・・・・13:43 981mピーク13:45・・・・14:37仏峠

〔総所要時間:4時間01分、昼食・休憩等:0時間53分、正味所要時間:3時間08分〕

 

10:36 仏峠

   通勤割引の適用を受けるため広島北インターから中国自動車道に乗り、100km弱の鹿野インターで下りて国道315号線を徳佐方面へ。河内峠のループを越えて徳地柚木に下って行き「柚木慈生温泉」の大立看板の手前の橋の袂で右手に入る県道123号線を辿る。道はドンドンと山の中に入って行く。途中の野道山、三ツケ峰の登山口を見送り、国道315号線から6km余で仏峠に着いた。峠では弟見山登山口と島根県側の退避所に自動車は停められる。トイレや東屋などはない。

 

 

 

〈仏峠〉

〈弟見山登山口〉

 

 

   弟見山の登山口は峠を島根県側に越えたところにある。道路を挟んで三ツケ峰への登山口もある。我々が着いたとき、鹿児島ナンバーのマイクロバスが一台停まっており、残っていた添乗員さんにお聞きすると、団体さんは三ツケ峰へ登っておられるとのことであった。弟見山への登山道は、登山口から桧の植林地の中を行く急坂で始まる。6〜7分で緩やかな尾根道となるが、その後も緩急が幾度も繰り返される。道は比較的踏まれておりはっきりとしている。笹が被さり気味であるが、弟見山々頂直下を除いてそんなに気になるほどでもない。道は尾根筋に忠実に付けられており、最初のうち島根県側は桧林、山口県側が自然林であるが、やがて見事なブナと赤松の混交林となる。ブナの大木も幾つか見られる。約1時間で、道中唯一のベンチマークである981mピークに着く。

 

 

 

 

〈登山口から直ぐに桧林の中の急登だ!〉

〈ブナと赤松の混交林が美しい尾根の道〉

 

 

 

 

 

〈樹林の先に弟見山の稜線を望む、まだ遠い!〉

〈尾根道を彩るブナの巨木〉

 

 

11:39〜11:40 981mピーク

  981mピークに着く手前に「周南市最北端の地」という看板が掲げられてあった。981mピークまで登ってくると、一旦浅い鞍部まで下ってから後は一気に弟見山に登るだけである。ピークからは樹木が繁って弟見山の全容は見ることが出来ない。鞍部に下る途中で樹間にかろうじて稜線が見て取れる程度である。鞍部からの登りは笹がそれまでよりもよく伸びており、やや艱難辛苦を覚える。30分程度登ると傾斜面を直登していた道が右へ曲がり水平道となる。それを辿って行くと待望の弟見山の頂上である。

 

 

 

〈981mピークへの登り〉

〈981mピークの仏峠寄りにこの標が立っていた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈981mピークの樹に「兄見山」との表記が〉

 

 

〈弟見山を見上げる〉

 

 

  981mピーク上の樹木に「ここは兄見山(981m)」という紙が貼り出されてあった。最近の登山ガイドブックには「莇ガ岳が弟で、弟見山が兄」と紹介されているので、「ここにも兄見山が?」という印象を持った。桑原良敏氏の「西中国山地」では地元の古老のお話としてやはりこの981mピークを兄見山としている。ちょっと紛らわしい話であるが、どうもガイドブックの表記は近時の俗説で、この981mピークを「兄見山」とするのが多くの資料から妥当であるようだ。

(この項の初稿をお読みになられた方からご丁寧なご指摘戴き上記の通り訂正致しました。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈笹を分けて弟見山山頂へと登って行く〉

 

〈鞍部にもブナの老木があった〉

 

 

12:15〜12:52 弟見山(1,085.3m)

   弟見山の山頂を踏む頃には、朝方は曇り勝ちであった空もきれいに晴れた。この日、山口県には九州と共に梅雨明け宣言が出た。2年前に辿り着けなかった弟見山頂上をやっと踏破することが出来た。頂上には広やかな広場があり、周囲にドウダンツツジの花がまだ残っていた。広場の日陰に座って、蝶やトンボが縄張り争いをしているのを見ながら昼食を摂った。

 

 

 

〈弟見山の山頂広場〉

〈三等三角点と共にこの登山記念板が掲げられていた〉

 

 

 

 

 

〈山頂標の上で縄張りを主張する蝶〉

〈ドウダンツツジの蜜を吸うアゲハチョウ〉

 

 

12:58〜13:07 莇ガ岳ビュー・ポイント

   頂上でなすべきことがもう一つあった。一昨年マムシに進路を断たれた場所を見ておくことであった。昼食を終えてから莇ガ岳への縦走路を辿った。5分も行くと莇ガ岳の絶好の展望ポイントで出た。縦走路の走る稜線も美しい。そのビューポイントの直ぐ先が、一昨年マムシに遭遇した場所であった。その時は藪であったが今では笹がきれいに刈り払われており様変わりしていた。一昨年は縦走路のほぼ全域が藪漕ぎ状況であったが、昨年ここを縦走した友人の言によれば、昨年は藪漕ぎをした記憶は一切ないとのことで、昨年にきれいに整備されたようだ。とはいえ、マムシとの遭遇場所まで来て、2年間抱えていた喉の痞えを取り払ったような気持ちになることが出来た。

 

 

 

〈莇ガ岳へと続く稜線は長大で美しい〉

 

 

 

 

 

〈ビューポイントの直ぐ先が一昨年マムシに遭遇した地点だ!〉

〈今は笹が刈られているが往時の雰囲気は感じられる〉

 

 

  莇ガ岳への縦走路に踏み入って、仏峠から弟見山までの北側の路とは大きく変わったことがあった。それは、北側の路にはなった花々の姿がここにはあることであった。北側の道は、楽しむ花とてない、ただ黙々と歩き続ける修行の道であった。

 

 

 

 

〈ササユリが咲く姿は平和そのものである!〉

 

 

 

 

 

〈まだ咲いていたヤマツツジ〉

〈コナスビもまだ残っていた〉

 

 

13:14〜13:16 弟見山

  再び弟見山のピークを踏んで、下山の途に・・・・。

 

 

 

〈頂上広場に咲いていたニガナ〉

〈これも辛うじて残っていたドウダンツツジ〉

 

 

   さて仏峠への下山も黙々と歩くだけの道中に近かったが、ただ樹間から周囲の山々の姿を垣間見るくらいの余裕はあった。この辺りの山々にはあまり馴染みがなく山座同定にも自信はないが、十種ガ峰のピダミダルな姿や、高岳山などは分かった。西隣の三ツケ峰や野道山が樹木の陰でその全容を見ることが出来なかったのは残念であった。

 

 

 

 

〈樹間から辛うじて見える周囲の山々の眺める〉

 

 

 

 

 

〈遠くに十種ガ峰を望む、手前は三ツケ峰の稜線であろうか〉

〈北方には高岳山が望めた〉

 

 

13:43〜13:45 981mピーク

  この弟見山への仏峠ルートは、実に地味なルートだと思う。ガイドブックなどには、単調なルートという表現を使っているが、華やかで美しい莇ガ岳〜弟見山縦走路と比較すればその通りであろう。イワカガミの群生が多いので、それでも初夏には少しは華やかかも知れない。

 

 

 

〈981mピークの佇まい〉

〈イワカガミの群生が登山道を飾る〉

 

 

 

 

 

〈ブナの老木には心癒される〉

〈桧の樹林になると仏峠はもう直ぐだ!〉

 

 

14:37 仏峠

  無事に仏峠に下山し、峠を暫し散策してみた。実に峠らしい峠だ。時折自動車が通るのも、今もこの峠が生きている証拠で好ましく思えた。

 

 

 

〈仏峠の最高点に建つ林道開通碑〉

 

 

 

 

 

〈県境標:峠は山口・島根県境である〉

〈仏峠の島根県側〉

 

 

〔山行所感〕

   2年振りに大袈裟に言えばリベンジが出来たようで、良い山行となった。今は笹も刈られて、見事な縦走路が莇ガ岳〜弟見山の間に通じているが、梅雨明けとなったこの日もこの山で誰とも会うことがなく、実に静かな山行を楽しむことが出来た。このままだと、また何年かすれば藪の道に返る宿命が待っているのだろう。残念だが仕方ないのか? ここの縦走路は実に見事で快適なだけに、より多くの登山者の皆様に集い来て頂きたいと思う。

 

 

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