秋の北アルプス 西穂高岳(2,908.6m)

岐阜県高山市長野県松本市

2008年10月12日(日)   門久単独

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ピラミッドピークから見上げた西穂高岳、国内31番目の高峰である〉

 

 

 

頻りに西穂高岳に登りたく思うようになっていた。

ずっとロープウェイで上る山として敬遠してきた筈なのに・・・。

国内でも標高でトップ100に入る山を放って置く手はないと思い始めたこと、

ロープウェイが通年運転され冬期でも比較的楽に登れるこの高嶺にチャレンジしてみたいと思い始め、

その為には夏の山の様子を知っておくことが必要と考えたことなどがその理由である。

時はあたかも紅葉の季節、うまく行けば目も覚めるような北アルプスの紅葉に会えるかも知れないと、

10月の体育の日の3連休を利用して勇躍広島を出発した。

今回チャコはまだ南会津遠征の疲れが取れていないと休養宣言、門久単騎でのチャレンジとなった。

 

《山行記録》

新穂高ロープウェイ西穂高口駅(2,156m)7:48・・・・7:52播隆上人像7:55・・・・8:17ボッカ道合流・・・・8:20(着替)8:27・・・・8:41(着替)8:43・・・・9:05西穂山荘9:10・・・・9:37丸山(2,452m)・・・・10:44独標(2,701m)(独標手前で大渋滞10:20頃からノロノロ)10:48・・・・11:18ピラミッドピーク11:27・・・・12:20西穂高岳(2,908.6m)12:52・・・・13:43ピラミッドピーク・・・・14:12独標14:18・・・・15:18西穂山荘15:26・・・・16:01ボッカ道分岐・・・・16:13避難小屋・・・・16:27西穂高口駅

〔総所要時間:8時間39分、昼食・休憩等:1時間16分、正味所要時間:7時間23分〕

 

 

 7:48 西穂高口駅

  広島から自動車で700q足らず、新穂高温泉に未明に着いた。「道の駅上宝」に立ち寄って驚いた。車中泊の車で駐車場は満杯、もう一台も停まれない状況であった。新穂高温泉の登山者用の無料駐車場にも寄ってみた。ここではガ〜ンと頭を殴られたような気がした。夜中と言ってもよい未明に、ガードマン氏が駐車場入口にロープを張って待機しており、「ここはもうどうにもなりませんよ!上の鍋平に行ってください!」と宣う。ここに至ってこの山峡の地は尋常な状態ではないこと思い至った。だが、ここでは慌てなかった。予め高山在住の「登山忘備録」のakira12345さんにロープウェイを利用する場合何処に車を停めるのがお勧めかとお聞きしていたので、お教え戴いた通りにその脚で新穂高ロープウェイの有料駐車場に行った。さすがにここはパラパラと車が停まっているだけで、楽々と車を停めることが出来た。ここで、夜明けまで仮眠を取った。

 

 

 

 

〈新穂高ロープウェイで標高差1,000メートル余を一気に上る〉

〈西穂高口駅屋上の展望台(標高2,156m)〉

 

 

  日曜日の新穂高ロープウェイの始発は午前7時であった。午前6時前から新穂高温泉駅前に待機して、やや早い午前6時50分過ぎに出た始発便に乗った。鍋平高原駅からしらかば平駅へ歩き、第2ロープウェイに乗り換えて、午前7時半には標高2,156mの西穂高口駅に上がっていた。

  今回の山行の登山口はこの西穂高口駅である。駅の屋上の展望台からは、好天の下、正面に見える笠ヶ岳はもとより、槍ヶ岳〜奥穂高岳、焼岳、そして遥か西方の白山までの素晴らしい眺望であった。だがここで満足してはいけないぞと、入山届を出して西穂高岳を目指して出発した。

  駅周辺の千石平園地を抜けてから、オオシラビソの深い森へと入って行き、緩いアップダウンを繰り返しながら西穂山荘に向け東に進んだ。道半ばを過ぎた辺りから山荘のある稜線上への上りが始まり、急坂を暫し登り続けると小屋の下に出た。登山口から途中で着替えなどの温度調節を繰り返しながらも1時間10分ほどで到達できた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈千石平園地の紅葉した樹々越しに槍・穂高を遠望する〉

 

 

 

 

 

 

〈西穂高岳を仰ぎながら千石平園地を抜けて行く〉

〈オオシラビソの森の中を緩慢なアップダウンを繰り返しながら行く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈独標〜ピラミッドピーク〜西穂高岳へと続く稜線を仰ぎ見る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈右肩に見える西穂山荘への長い急坂が待っている〉

 

〈時折現れるダケカンバの黄葉が美しい〉

 

 

 9:05〜9:10 西穂山荘

  西穂山荘前の広場は大勢の人達が憩うたり、登山の準備などで時間を過ごしていた。ここでは長居は無用と早々に西穂高岳を目指して出発した。丸山まではハイマツの緑が美しい緩斜面を上って行く。振り返ると西穂山荘越しに焼岳、乗鞍岳の大眺望が広がっている。上高地の田代池、大正池辺りも一望の下だ。左手には森林限界から下が紅葉した新穂高温泉から笠ヶ岳方面の大きな眺望が見事である。行く手には独標、ピラミッドピーク、西穂高岳などのピークが突起のように突き出して並んでいるのが見える。緊張を覚えるとともに、期待に心躍る光景である。

  ケルンが詰まれた丸山を過ぎると俄かに傾斜面が急になってくる。それでもハイマツの中の歩き易い道で危険性は全くと言って良いほどない。ハイマツの緑で覆われた急坂を上り切ると、いよいよ岩稜帯へと入って行く。 小高いピークを巻いた直ぐその先に独標の頂上が見えていたが、そこから長蛇の列の渋滞で、普段なら5分もかからないような距離を20分余りもかかって登って行った。

 

 

 

 

〈西穂山荘とその南方に広がる焼岳・乗鞍岳の大眺望〉

〈焼岳東面と乗鞍岳をアップ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈丸山への尾根道から笠ヶ岳(2,897.5m)・抜戸岳(2,812.8m)の大眺望〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈丸山付近から西穂独標・ピラミッドピーク・西穂高岳を仰ぎ見る〉

 

 

 

 

 

 

〈徳本峠の先には八ヶ岳連峰が雲海上に浮かんでいた〉

〈遥か西方には大きな白山のスカイラインが見渡せた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈西穂独標に続く長蛇の列〉

 

 

 

10:44〜10:48 西穂独標(2,701m)

  渋滞の独標に登ってみると狭い頂上部ではあるが、そんなに登山者が溢れている程でもなかった。どうも30名を超す団体が一時占拠し、また下山に難渋していたようだ。尾根に取り付いて最初のピークであるだけに周囲360度の眺望が拡がっていた。何よりも目の前のピラミッドピークとその先に重なるように屹立している西穂高岳や奥穂高岳の急峻な峰に圧倒された。周囲の眺望は標高が高くなった分、より広くより遠くまで見渡せるようになった。

先はまだまだ長いと早々に出立した。早速独標から直ぐ先の鞍部に下る岩場が難所である。西穂山荘のホームページでは、ここが怖いようであれば直ぐに引き返すべきと記している。独標まで多かった登山者であったが、それから先へ行く人の数は極端に少なくなった。鞍部まで下るとあとは長い岩場の急坂を一歩一歩ピラミッドピークへと登って行く。

 

 

 

 

〈西穂独標の頂上、背後は笠ヶ岳〉

〈独標からピラミッドピーク、西穂高岳、奥穂高岳を仰ぎ見る〉

 

 

 

 

 

〈独標からの上高地、焼岳、乗鞍岳の大眺望〉

〈上高地の東の徳本峠の先には南アルプスがくっきりと見えていた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈奥穂高岳・吊尾根・前穂高岳・明神岳も間近に望めた〉

 

〈ピラミッドピークへの登攀路〉

 

 

11:18〜11:27 ピラミッドピーク

  ピラミッドピークは独標から西穂高岳の間にある数多の岩峰の中で最も立派なピークである。見る角度によれば独標より立派に見えることもある。ただ頂上部は瓦礫で覆われたとても狭いところである。時刻も午前11時を過ぎていたので、少しばかりエネルギーを補給してから西穂高岳へ向けて出発した。行く手に大きく見える西穂高岳であるが、そこまでの稜線上には沢山の小ピークが続いている。小ピークを一つ越えるとまた高いピークが現れ、一つピークを回り込むとまた目の前に高い岩場が現れる。意外に険しく長いルートだ。何よりも厳しいのは急峻でかつ滑り易い西穂高岳山頂直下の岩場であった。

 

 

 

 

〈ピラミッドピークから西穂高岳、奥穂高岳を仰ぎ見る〉

〈西穂高岳をアップ〉

 

 

 

 

 

〈上高地の河童橋、小梨平辺りを俯瞰する〉

〈ピラミッドピークから西穂高岳への道、これが意外に長い〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ピークの先にはまた険しい上り道が待っている〉

〈最も要注意の西穂高岳山頂直下の岩場〉

 

 

12:20〜12:52 西穂高岳(2,908.6m)

  遂にこの日の到達点の西穂高岳の頂上に辿り着いた。頂上や山体は、「奥」「北」「前」とある他の穂高岳に比べるとやはり見劣りするのは否めないが、小じっかりとしたその頂からの眺望は過ぎる程に素晴らしいものであった。なによりも感動的であるのは、稜線歩きの間一切見えなかった槍ヶ岳がこの頂上に立って初めて見えたということであった。これを見るためだけで登って来ても良いと思うくらいの感動であった。そして、その先、つまり西鎌尾根の先、左俣谷、右俣谷の奥の一大山稜の眺めは圧倒的で凄いものがある。その他、この山頂からは富士山、南アルプス、中央アルプス、白山ほか数多の峰々が眺められ、いつまでも見ていていたいような気持ちになった。

 

 

 

 

〈西穂高岳山頂〉

〈暫く見えなかった槍ヶ岳が姿を現わす、感動の景観だ!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈槍ヶ岳・中岳・南岳・涸沢岳・奥穂高岳の飽きることなき絶景〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈眼前に奥穂高岳と前穂高岳をつなぐ吊尾根が迫る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈蒲田川左俣谷・右俣谷の奥の一大山稜〉

 

 

 

 

 

 

〈鷲羽岳〜野口五郎岳の稜線の先の突起は黒岳と薬師岳か?〉

〈双六岳から三俣蓮華岳に続く大きな山塊の右側は祖父岳か!〉

 

 

 

 

 

〈黒部五郎岳の堂々とした山体と手前左側は弓折岳〉

〈乗鞍岳・焼岳・上高地のより大きくなった大眺望、飽きぬ眺めだ!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈上高地越しに見る霞沢岳(2,645.6m)、背後遥かに南及び中央アルプスを認む〉

 

 

 

 

 

 

〈甲斐駒ヶ岳から光岳まで南アルプスの稜線が見事に見渡せる〉

〈甲斐駒ヶ岳の左手には富士山が、右手には仙丈ヶ岳が!〉

 

 

 

 

 

〈明神岳の稜線の先の八ヶ岳連峰をアップで!〉

〈笠ヶ岳・錫杖岳・大木場ノ辻の先に稜線を引くのは白山!〉

 

 

 

 

 

〈南方の乗鞍岳の肩から御嶽が覗いている〉

〈遥か中央アルプスの稜線が!木曽駒ヶ岳辺りであろうか?〉

 

 

14:12〜14:18 独標

  下山のロープウェイの最終時刻を気にすると、西穂高岳の山頂でそうのんびりとする訳にもいかなかった。急いで昼食を摂ってから、名残惜しくはあったものの反転して下山に掛かることとした。下山は、もう安全確実に一歩一歩歩んで行くだけであった。上りで汗して登ったところは、下りでは滑り易かったり、落石が起き易かったりの危険箇所となるところも多々あった。三点支持、安全第一で下って行った。やはり独標は主稜線上の大きなポイントとなる地点だ!

 

 

 

 

 

 

〈西穂高岳から独標に至る間にこれだけの突起を越えて行く〉

〈目に入ってくるのはこんな光景〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈独標を通過すると安寧な世界となる〉

 

 

〈ピラミッドピークとの鞍部から独標を見上げる〉

 

 

15:18〜15:26 西穂山荘

  独標を過ぎて小さなピークを越えればあとは西穂山荘までハイマツ帯の中の道を一途に下るだけである。西穂山荘で一息入れてから西穂高口駅に向かった。山荘から一気に鞍部まで下り、そこからアップダウンしながら西穂高口駅を目指した。陽も大分西に傾き始めて、一日中よく晴れていた山上であったが、そろそろ霧が立ち上ってくるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

〈山荘前の広場、宿泊客はゆっくりと寛ぐ時間帯だ!〉

〈山荘前のテン場、ちょっと狭くて窮屈そうだ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈時折笠ヶ岳を眺めながらロープウェイ西穂高口駅に急いだ〉

〈夕刻近くになって西穂高岳一帯にガスが巻き始めた〉

 

 

 

16:27 西穂高口駅

  新穂高ロープウェイのこの日の最終便は午後4時45分発ということであった。その時刻まで若干なりとも余裕のある時間帯に西穂高口駅に帰着出来た。あとは最終便で下って、早々に風呂に入って帰路に就こうとの想いであったが、そうは問屋が卸さない状況が駅で待っていた。ロープウェイの輸送能力を超える乗客を山上まで運び込んで来てしまって、下り便は大混雑、それゆえ整理券方式で乗客の順番をコントロールしていた。駅舎の内外には1,000人を遥かに超える人の姿があり、自分の整理券に記された番号が呼ばれるのを待っていた。やはりこの日の新穂高温泉辺りは尋常ではなかったようだ。私は約1時間半待ってからロープウェイに乗せて貰って新穂高温泉へ下った。 午後6時を大きく回って夜の帳が完全に下りた時間であった。

 

〔山行所感〕

  西穂高岳へ登りたいという願望が叶い、それもこの上ないような上々の眺望が楽しめたのだから満足すべきものだったのだろう。山上での大渋滞、下山のロープウェイの混乱などは御免蒙りたいことであったが、秋の連休中の一大観光地に遠征してきたこちらが悪かったのであろう。期待していた紅葉は、ロープウェイで通過した標高辺りが今は盛りのようで、残念ながら堪能するという訳には行かなかった。

   ともあれ、西穂高岳までの山域の様子はとくと観察させて貰った。近い将来、今回の経験も生かしながらまた違った季節に訪れてみたいと思っている。

 

 

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