晩秋の那須ルートを辿って 十方山(1,318.9m)

広島県山県郡安芸太田町廿日市市吉和

2008年11月15日(土)   チャコ&門久

 

 

 

 

 

 

〈青空に浮かぶような西中国山地今年最後の紅葉〉

 

 

 

秋の十方山那須ルートを歩いてみたいと思っていた。

秋も深まり、那須ルートで紅葉が見られるのもこの週末が最後であろう・・・!

そんな想いに、朝からの好天が相俟って、2日間の出張からの帰宅翌朝ではあったが出掛けてみることとした。

先週末の恐羅漢山の様子から、登山口辺りで少しでも美しい紅葉が見られたらそれで「佳し!」とすべきとも思いつつ・・・。

豊かなで深い森のイメージのこの那須ルート、ちょっと遅きに失した探訪ではあったものの、

決して失望をさせられることもなく、その持つ豊かさの片鱗を折からの好天下で見せてくれた。

 

過去の那須ルート・十方山々行記録

新道を巡って山歩き 丸子頭(1,236.3m)・十方山(1,318.9m)【2007.5.20】

那須登山口から立岩登山口へ縦走 十方山(1,318.9m)【2008.6.1】

 

 

    《山行記録》

那須登山口10:09・・・・10:14造林小屋・・・・11:28尾根取り付き・・・・11:50尾根筋上・・・・11:01ミズナラの大木・・・・11:37藤十郎(1,192m)11:42・・・・12:05前三ツ倉(1,312m)・・・・12:06那須分れ・・・・12:20奥三ツ倉(1,322m)12:23・・・・12:31論所・・・・12:43十方山(1,318.9m)13:15・・・・13:23論所・・・・13:35奥三ツ倉(1,322m)・・・・13:53那須分れ13:54・・・・13:55前三ツ倉(1,312m)・・・・14:17藤十郎(1,192m)・・・・14:52尾根筋上・・・・15:06尾根取り付き・・・・15:20造林小屋・・・・15:24那須登山口

〔総所要時間5時間15分、昼食・休憩等:0時間41分、正味所要時間:4時間34分〕

 

 

10:09 那須登山口(風小屋林道終点駐車場)

  中国道を戸河内ICで出て、国道191号線を三段峡方面へ。戸河内の街を抜けた「戸河内バイパス西口」交差点を左折しアーチ橋を渡って、内黒峠・恐羅漢山方面への道を右に見送って、吉和方面への道を採る。吉和川沿いに7.9q遡ったところで道路標識に従って右折すると2km足らずで那須集落に着く。道なりに集落を抜けて山中へ進んで行くと風小屋林道に入るので、従順に舗装道路を走ると終点の駐車場に着く。この駐車場が登山口だ。駐車場のほかには何の設備もない。この日は、駐車場に一台の車もなく静かなもの。皆さん、里の紅葉見物にでも出掛けられたのであろうか?

 

 

 

 

〈十方山那須登山口〉

〈植樹帯を抜けると早速に黄色のカエデが現れる〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈植樹林の先に紅葉した自然林を垣間見る〉

 

 

 

  身仕度をして出発。もう午前10時を回っていた。十方山までのピストンの予定なので時間的には十分であろう。登山口からは薄暗いくらいの造林の中を緩やかに上って行く。この造林帯を抜けた時に、紅葉した森が見れるかどうかが最初の楽しみであった。造林小屋を過ぎて直ぐに一旦自然林の中に出る。ここで黄色のカエデの樹に出合った。その先のミズナラ林も程良く黄色に彩られていた。この先の紅葉を期待しても良いような塩梅であった。登山道はもう一度深い造林地へ入って暫し高度を上げて行った。その造林帯が尽きようという頃、杉の樹間から斜面上方の紅葉した自然林が垣間見えてきた。造林地を抜けた登山道は、右の谷側に廻り込んでから、今度は直角に左折して尾根上を目指して上って行く。しばし急坂が続くが、この沿道の斜面が素晴らしいミズナラやカエデの紅葉で彩られていた。上り行くほどに彩りが豊かになり楽しいことこの上ない。果たして紅葉が見られるか心配しながら来たが、それは杞憂に終わったようだ。ただ、急坂道の右手の森に広がるブナの森だけは、まだ枝に葉を付けてはいるが、色合いは既に枯葉色で生彩がなかった。

 

 

 

 

〈ミズナラの黄葉中心にした紅葉が盛りの林だ〉

〈朱のカエデが交じる〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈朝日に照らされたカエデが鮮やかな色彩を放つ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈色とりどりの樹林の中の上り行く〉

〈青空に映える黄と紅〉

 

 

 

 

 

〈これぞミズナラの森の美〉

〈尾根筋も最後の秋の美しい彩りだ!〉

 

 

 

 

 

〈ブナ林は盛りを完全に過ぎてくすんだ色合いだ〉

〈葉を殆んど落としたブナを中心とした尾根筋〉

 

 

  大きな瘤のあるブナの樹を過ぎると登山道は尾根筋に上がる。それまでの坂道の沿道に比べると樹々は葉を幾分多く落としてはいるが、まだまだ十分に楽しめる紅葉であった。尾根筋のミズナラとカエデの紅葉は陽光を浴びて輝くようでさえあった。尾根筋は直ぐに胸突きの長い急坂となった。その沿道の森の樹々も葉が少しずつ減ってゆきはするが、まだまだ楽しめる紅葉を保持していた。

 

 

 

 

〈尾根筋から遥か内黒峠方面を仰ぐ〉

〈鮮やかなミズナラとカエデの尾根筋〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈今が盛りと燃え立つようなカエデ〉

 

 

 

 

 

 

〈紅葉を楽しみながら上り行く〉

〈針葉樹林の中から見る紅葉はまた色合い鮮やか!〉

 

 

  その尾根筋の急坂を10分ほど上って行ったところに、大きなミズナラの木がある。いつも目印になる大木である。首が痛くなるほどに仰向いてその大ミズナラを見上げると、まだ紅葉を始めたばかりのような葉を沢山付けていた。ちょっと変わり者の風格のある大木である。その足元の坂道をよじ登って行くと、今度は左手の傾斜面の灌木の中に朱の彩りも美しい大振りなカエデの樹があった。しかし、きれいに紅葉した樹はここまでで、この先は急に葉も散り果てたような状況に一変していた。藤十郎のピークまでまだまだ距離を残しているが、行くほどに段々と冬の枯野のような雰囲気に変わっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈急坂に立つミズナラの古木〉

〈急坂の最上部を彩る紅のカエデ〉

 

 

 

 

 

〈急坂を上り切る頃に紅葉の森も終わる〉

〈この先は葉を落とした樹々の森が広がる〉

 

 

11:37 藤十郎(1,192m)

  長い急坂を上り切ると、気持ちの良い森の中の逍遥路のような道となる。その道がピークアウトする地点が藤十郎(1,192m)と呼ばれるピークである。広島山岳連盟の方々の手による新しい指導標識と大きな橡の樹が目印となる。ここから登山道は右に曲がり一旦浅い鞍部に下ってからカエデやブナの巨木の多い緩斜面を前三ツ倉のピークに向かって登って行く。この緩斜面の美しい森が紅葉しているのを見たかったのであるが、既に遅すぎた。大変迫力のある紅葉の森であったと思うが、来年以降での再見を狙いたい。

 

 

 

 

〈橡の古木の下が藤十郎の頂上だ〉

〈豊かなブナとカエデの森が広がる〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈風格のあるブナの古木〉

 

 

12:06 那須分れ

  前三ツ倉(1,312m)のピークを超えた直ぐ先で内黒峠から十方山への縦走路に合流する。いわゆる「那須分れ」である。ここからは広々とした長閑な尾根上の縦走路を行く。15分ほどで奥三ツ倉(1,322m)のピークを越える。今はもう裸の樹々となってしまっているがそれでも美しいブナ林の中を論所と呼ばれる鞍部まで下って行く。そのコルからここもまた美しいブナの森の中の道を緩やかに上って行くこと10分余で十方山の頂上広場に飛び出た。

 

 

 

 

〈前三ツ倉のピークの直ぐ先に「那須分れ」はある〉

〈「那須分れ」で内黒峠からの縦走路に合流する〉

 

 

 

 

 

〈奥三ツ倉は縦走路中の小さなピークだ〉

〈美しいブナの森が広がる稜線部〉

 

 

 

 

 

〈論所は十方山を前にした鞍部だ〉

〈十方山への最後の上り道も美しいブナ林の中を行く〉

 

 

12:43〜13:15 十方山(1,318.9m)

  このところ十方山に登るといつも空気の透明度が良い。この日も、夜には雨に変わるとの天気予報であったが、見事に晴れ上がって遠くまで見通せた。こんな好眺望の日は山座同定が楽しい。これだけの好天下であるだけに、山頂はこの日も大賑わいであった。我々の到着時にも20名を超える先客の姿があったが、立岩登山口から続々と団体の登山者が上ってきていた。様子を見ていると、30名を超える関西地区からの団体のようであった。そうした間にも、日が短くなった時節ゆえ、下山を急ぐ登山者の姿が見られた。立岩方面が圧倒的に多く、シシガタニ方面も幾人か姿があったが、わが那須や内黒峠方面の道を採る登山者の姿はなかった。わが夫婦も昼食を摂ってから、早々に下山の途に就くこととした。

  同じ道を帰るので、足取りも軽く、周囲の光景などを見ながらゆっくりと歩いた。季節柄か水の少ない論所の水場の脇を通ってから、奥三ツ倉のピークを越え、長閑な山上の道を行くと那須分れはそんなに遠くなかった。

 

 

 

 

 

 

 

〈十方山の山頂広場へ飛び出る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈団体登山者を中心に賑やかな山頂であった〉

 

〈十方山々頂〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈山頂のなだらかな笹原越しに吉和冠山、寂地山方面を望む〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈眼前には立岩山、市間山の稜線が横たわる〉

 

 

 

 

 

 

〈十方山から奥三ツ倉のピークを望む〉

〈奥三ツ倉付近から十方山の山頂部を仰ぐ〉

 

 

 

 

 

〈稜線部に屹立する杉の古木〉

〈青空に映えるナナカマドの赤い実〉

 

 

13:53〜13:54 那須分れ

  内黒峠へと続く縦走路から右に折れて那須登山口への道を採った。巨岩が幾つか鎮座する前三ツ倉(1,312m)のピークを越えると藤十郎周辺の台地への下りとなる。その下り口から、葉を落とした樹林の頭越しに臥龍山と掛頭山の姿が眺望出来た。今まで幾度かここを通ったが、ここから臥龍山を見ることが出来ることを初めて知った。好天の下藤十郎の台地まで下って行った。ここはつくづくと見事で気持ちの良いブナ林であると思う。それにカエデの大木も多い。ここが秋色に染まった様相は如何ばかりであったろうか。

 

 

 

 

〈那須分れ〉

〈巨岩が累々とする前三ツ倉の山頂付近〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈前三ツ倉山頂直下から臥龍山、掛頭山が見事に望めた〉

 

 

 

 

 

 

〈上空は秋の風情であるが、天気は悪化傾向〉

〈見事なブナの森、紅葉したこの森を見てみたいもの!〉

 

 

14:17 藤十郎(1,192m)

  老杉が林立する藤十郎のピークへはワンタッチしただけで通過して下山を急いだ。標高差50メートル程のやや急な藤十郎山頂直下の坂道を下ると、暫し長閑な緩斜面の台地が続く。藤十郎の先の山上の台地と共に、この山中で歩くことが楽しい所である。その緩斜面が終わると、道は斜度を増して巨岩が点在する杉林を抜けて、更に大ミズナラの陣取る急坂へと続いて行く。そして午前中の上りで分かったように、この辺りから紅葉が美しくなって、道はその森の中を急激に下って行くこととなる。午後をかなり回って、空は雲で厚く覆われてきたようで、陽光の射さない紅葉の森は心なしか色合いが乏しく感じられた。

 

 

 

 

〈樹林の中の藤十郎山頂部〉

〈藤十郎から下って行くと再び紅葉の残る森に踏み入って行く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈急坂の立つミズナラの古木を見上げる!〉

 

 

 

 

 

 

〈尾根道を下り行く〉

〈ミズナラ林の紅葉〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈西に傾きかけた陽が当たるとミズナラの紅葉の鮮やかさが蘇ってくる!〉

 

 

 

15:24 那須登山口

  ミズナラやカエデ類の紅葉を楽しみつつ下山を続けて、最後は植林地を抜けて登山口に帰ってきた。駐車場に停められた自動車はわが愛車だけで、やはりこの日この登山口から十方山へ登ったのはわが夫婦だけであったようだ。無事の下山、素晴らしい紅葉との逢瀬に感謝!

 

 

 

 

〈登山口近くの植樹林の下生えも色付いていた〉

〈那須登山口の風小屋林道終点駐車場〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈登山口から紅葉の残る内黒山方面を仰ぐ〉

 

 

 

[山行所感〕

   紅葉前線が里に下りてきて、いよいよ秋たけなわである。この週末、里の紅葉を見に行くか、それとも最終盤の高嶺の紅葉にするか迷うところであったが、昨年来思い続けていた十方山那須ルートの秋を楽しむラストチャンスに賭けることとした。

   本来メインとすべきブナの森の紅葉はもう完全に終わっていたが、標高900〜950メートル辺りまで、見事なミズナラやカエデの紅葉をまだ見ることが出来た。その限りでは満足すべきものであったが、本来のここの森の豊さを実感しようとすれば、標高1,200メートル程の藤十郎辺りから上のブナやカエデの森の紅葉を狙ってみるべきなのであろう。時期的には10月下旬であろうか。この山域探訪の優先度を上げて、来年は狙ってみたいものだ。

   十方山はいつの季節にも人気の山である。大分多くの登山者に知られてきた那須登山口ではあるが、やはりその人気の内にも、まだまだ静かに歩けるルートであることは変わりないようだ。いつまでも豊かな自然が残るルートであって欲しいと願うものである。

 

 

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