「阿佐山モデル水源林」を抜けて 高杉山(1,148.6m)・天狗石山(1,191.8m)・オクビ山(1,078m)

広島県山県郡北広島町

2009年5月30日(土)     門久単独

 

 

 

 

 

 

〈オクビ山南面から大暮毛無山、細見大塚林道を遠望する〉

 

 

 

高杉山の東面には何か秘密がありそうだ・・・・!

「ウオッ地図」(電子版の国土地理院の2万5千分の1地形図)に掲載されている林道細見大塚線から

高杉山の東面を上る登山ルートがあるらしい!

ブナやミズナラなどの巨木の森の中を上り行くかなりしっかりとした道筋らしいが、

市販のガイドブックには一切紹介されていない。

リンク先の「髭じじー(さん)の山便り!」の昨年6月8日のレポ「高杉山〜天狗石山〜オクビ山周遊」をテキストにさせて頂いて、

その謎を解きに出掛けることにした。

後半にはまだ早過ぎるものの天狗石山のオオヤマレンゲに会ってその咲き具合を見てみたいし、

下山途中には未踏のオクビ山の頂をも踏んでみたいという欲張りな山行計画とした。

天気は午後からは雨模様という有り難くない予報であったので朝早く家を出た。

 

《山行記録》

深山7:25・・・・7:59「ここから阿佐山モデル水源林」・・・・8:02作業道分岐8:04・・・・8:34集材路分岐・・・・8:45「湧水ヶ所50m」の道標・・・・8:49湧水ヶ所8:52・・・・8:53地下水ヶ所8:54・・・・8:55湧水ヶ所・・・・8:57集材路・・・・9:11作業道に合流9:16・・・・9:39才乙スキー場9:45・・・・10:02スキー場リフト山頂駅・・・・10:04高杉山(1,148.6m)・・・・10:05展望岩10:08・・・・10:10高杉山(1,148.6m)10:11・・・・10:31「地下水ヶ所400m」の標識・・・・10:42ホン峠・・・・10:52高杉山分岐・・・・11:09佐々木林道合流・・・・11:10天狗石山(1,191.8m)11:45・・・・11:47佐々木林道分岐・・・・12:03オクビ山分岐12:04・・・・12:13オクビ山(1,078m)12:15・・・・12:26鞍部・・・・12:35四等三角点(954.8m)・・・・12:38三差路(右へ採る)・・・・12:40(林床を下り始める)・・・・12:56林道(細見大塚線)・・・・13:13深山

〔総所要時間:5時間48分、昼食・休憩等:0時間55分、正味所要時間:4時間53分〕

 

 

 7:25 深山

    朝6時に広島の我が家を出て、豊平経由で大暮谷へ。大暮谷の奥の深山橋の下の退避所に車を停めてから登山準備を整えた。深山橋のすぐ奥の交差点を左に入り、右に分岐する天狗石への林道を見送り林道細見大塚線へ。左手の深山橋を渡る方向へ行けば毛無山であるが、今日は右手の通行止めとなった方に入って行く。分岐の直ぐ先の両側の崖から大きな岩が崩れ落ちて道路を塞いでいる。その先はきれいな舗装道が続いているので、ここの崩落の為にずっとこの林道は通行止めとなっているのではないだろうか。雨の予報ながら朝のこの山域はきれいに晴れ渡っていた。周囲の山々を眺めながら、林道を気持ち良く歩いた。路傍には初夏の花々が咲き、まだまだ食せる蕨の群生が見られた。

  

 

 

 

〈大暮谷の奥にある深山橋〉

〈右手の林道細見大塚線を歩いて行く〉

 

 

 

 

 

〈大暮毛無山を望みながら行く〉

〈ミヤコグサ(マメ科)〉

 

 

 

 

 

〈振り返ると霧の掛かった阿佐山が樹間から覗く〉

〈ここから阿佐山モデル水源林〉

 

 

 8:02 作業道分岐

  林道を細見方面へ蕨を採りながら約30分ほど行った頃、「阿佐山モデル水源林 ここから」という道標に出合った。大暮谷の車道脇にも、深山の天狗石への林道の交差点にも「阿佐山モデル水源林 ○q」という道標があった。直ぐ先の林道から右に作業道が分岐するその分岐点に「モデル水源林」の概念図が掲出されており、それがそのまま高杉山東面の登山道案内であることに気付き、あまり聞き慣れない言葉ながら「モデル水源林」事業が高杉山東面の登山道誕生の謎を解く鍵であることを理解した。

  林道から分岐したダートの作業道はオクビ山の南面を東から西に巻いて谷の西側に聳えている高杉山の東面へと回り込んでいる。暫くこの作業道を辿って行った。

 

 

 

 

〈林道から分岐する作業道を行く〉

〈作業道分岐にはゲートが設置されている〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈「モデル水源林」の概念図〉

 

 

 

 

 

 

〈作業道から西方の高杉山を望む〉

〈作業道はオクビ山の南面を巻いてゆく〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈「阿佐山モデル水源林」の標柱〉

 

〈古杉と大暮毛無山〉

 

 

 8:34 集材路分岐

  作業道を約30分ほど行くと高杉山とオクビ山の間の深い谷間の最奥部を通過する。杉林の中を渓流が二筋流れておりその上を橋で渡る。二筋目の渓流を渡ると作業道は南へ方向転換して高杉山の東面へと向かう。この屈折点から右手の渓流の上方へ向って一筋の道が延びている。これが太田川の源流の「湧水ヶ所」方面へと上がって行く道で、先の概念図には集材路と記されている。この道へと入った。

 

 

 

 

〈「湧水ヶ所」方面へと登り行く集材路が分岐する〉

〈ヤブデマリ(スイカズラ科)〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈集材路は杉林の斜面を上って行く〉

 

〈ブナの古木見られた〉

 

 

 8:49〜8:52 湧水ヶ所

  立ち入った道は杉林の傾斜面の中にジグザグを描いて上へ上へと延びていた。湧水ヶ所は直ぐの積もりであったが、上れど上れどそれらしき風景に出合わなかった。どこか杉林の中に隠れているのだろうかと迷い始めた頃に、やっと「湧水ヶ所50m」という道標に出合った。分岐から15分程登った地点であった。杉林の中の湿った林床を踏んでゆくとポールが立った近くに水がコンコンと湧き出ていた。ここは太田川の水源地の一つである。直ぐ傍に道標があり、その上に「地下水ヶ所」もあるという。赴いてみると岩塊の下から水が流れる音が聞こえていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈「湧水ヶ所」を指す道標〉

 

〈太田川の水源の「湧水ヶ所」〉

 

 

 

 

 

〈「湧水ヶ所」に立つ道標〉

〈この岩の下を地下水が流れる音が聞こえた〉

 

 

 8:57 集材路

  「湧水ヶ所50m」の道標の地点に戻ってから、上って来た道をそのまま登って行くことにした。この時点ではこの道は高杉山東面の登山道ではなく、水源地は立ち寄り箇所で、本来の登山道は集材路分岐まで戻って更に先に行ったところから上っている筈と勝手に思い込んでいた。しかしこの「湧水ヶ所」まではかなり登ってきたので、もうホン峠から高杉山への稜線に近い地点の筈で、そのまま登って行けば稜線部に出ることも出来るのではないかと勝手に思ってしまった。しっかりした道が続いていたが、道はやがて進行方向を西から南方向へと転換していった。どうも稜線まで上がらずに、高杉山の東面を北から南に巻いて行くようである。そのまま行けば本来辿ろうと思っていた登山道がどこかの地点で交差する筈と考えて、先へと進んで行った。

 

 

 

 

〈集材路に戻って上って行く〉

〈ハスノハイチゴ(バラ科)〉

 

 

 

 

 

〈しっかりした道が続く〉

〈渡り蝶のアサギマダラの姿が見られた〉

 

 

 9:11作業道に合流

  集材路を辿ること約15分で、水平の作業道に合流した。これは2万5千の地形図に載っている作業道であったのだが、この時点ではその作業道の更に上方にある地図に出ていない集材路と思い込んでいた。この合流地点の直ぐ右側から登山道が山上へと延びているのだが、そことは思っていなかったので、ここまで辿ってきた集材路がどこへ出るか確かめてみたいと思いそのまま作業道を辿り続けることにした。その先は草や笹が被さることも多く、また大ブナの繁る林も抜けた。どこかに山上へ上がる別の道などないかと注意したがそんなものはなく、湿り気の多い半藪状態の道筋となって、そこを黙々と辿ることとなった。

 

 

 

 

〈地形図に記載されている作業道に出合ったが・・・・〉

〈荒れた作業道を南進する〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈笹が被さった作業道〉

 

〈鬱蒼とした林の中を抜ける〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈こんな巨岩も見受けられた〉

 

〈ブナの巨樹〉

 

 

 

 

 

〈遙か先に夫婦岩のピークを覗き見る〉

〈荒れた終点近い作業道〉

 

 

 9:39〜9:45 才乙スキー場

  湧水ヶ所から40分余の集材路、作業道歩きの果てに高杉山と夫婦岩のピークの間の鞍部の才乙スキー場の中に飛び出た。高杉山の南の稜線上のどこかへ出ると思ってはいたが、見上げれば高杉山の山頂はまだ高いところにあった。

  高杉山東面で思い込みの冒険をしている間に、朝のうちの晴天の空は曇り空に変わっていた。スキー場の作業道の急坂を高杉山の頂に向かって登って行っている間に、今度は才乙側からガスが巻き始めて、瞬く間に稜線部は霧に巻かれてしまった。鞍部から見えていた、高杉山山頂直下のスキーリフトの鉄塔も霧の中にシルエットとなった。  

 

 

 

 

〈才乙スキー場へ出る〉

〈ゲレンデの下方に才乙の集落を望む〉

 

 

 

 

 

〈作業道越しに高杉山々頂方面を見上げる〉

〈稜線部にガスが巻き始めた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈瞬く間にガスの巻かれた高杉山々頂直下〉

 

 

10:04 高杉山(1,148.5m)

  高杉山の山頂ほど散文的なところはそんなにないであろう。四等三角点が三差路に埋められているだけで、山頂広場などというものもない。注意深く見なければ、その三角点も見落とされそうだ。唯一の救いはその頂点から東側へ踏み跡を辿ったところに展望岩があってそこから大暮谷や毛無山などの周辺の眺望を得られることだ。才乙側の眺望は通ってきたスキー場からでないと見ることは出来ない。そんな山頂を早々に発って天狗石山へと向かうことにした。高杉山の北面を本峠へと下って行く。この辺りのブナ林も素晴らしい。山頂直下には本来辿ってこようとした東面からの踏み跡が合流している。まだ北面を下り切った最初の鞍部には「地下水ヶ所400m」の道標があった。大回りをして来たことになるが、太田川水源の「湧水ヶ所」や「地下水ヶ所」からこの鞍部までは僅かの距離で、道なき林床を歩いてもそんなに時間を要しないと思う。  

 

 

 

 

〈高杉山々頂〉

〈展望岩から大暮毛無山、熊城山方面を望む〉

 

 

 

 

 

〈才乙側から大暮側に流れ込む霧〉

〈アカモノ(ツツジ科)〉

 

 

 

 

 

〈ガスが巻いた高杉山北面のブナ林〉

〈「地下水ヶ所」は稜線部の鞍部からも近い〉

 

 

 

 

 

〈霧に巻かれたブナの巨樹〉

〈ホン峠〉

 

 

10:52 高杉山分れ

  ホン峠から登り返して来尾峠から天狗石山の稜線に出たところが「高杉山分れ」である。この下の草原の尾根に立てば素晴らしい眺望が得られるのであるが、この日はもう霧に閉ざされていた。高杉分岐からはこれまた素晴らしいブナ林の中に入り、霧が巻いた幻想的な樹林の緩斜面を登って行った。

 

 

 

 

〈高杉山分れ〉

〈天狗石山への尾根筋もきれいなブナ林である〉

 

 

11:12〜11:45 天狗石山(1,181.8m)

  天狗石山の山頂は無人であった。天気予報の芳しくないこんな日には登山者の足も遠のくのであろう。山頂の櫓の上に荷物を置いてから、山頂の北面の岩場や櫓下にあるオオヤマレンゲの様子を見に行った。まだまだ早過ぎることは承知していたが、殆どはまだ固い蕾で、数えるほどの蕾が白い衣を覗かせていた。櫓下も岩場もどちらともに花芽が多く、今年は咲き揃えば賑やかになること間違いないようである。2〜3週間後が極めて楽しみと言えよう。

  山頂で昼食を摂って佐々木新道で下山にかかった。ブナ林の美しい南面の緩斜面を下って行った。この新道を通る登山者はそんなに多くないのであろう、相変わらず笹がやや被さっていた。15分ほど下るとオクビ山との間の鞍部に着く。佐々木新道はここで左折して谷間を下って行くが、この日はここから南へ登り返してオクビ山の山頂に立ち寄ることとした。

 

 

 

 

〈櫓のある天狗石山山頂〉

〈露岩の山頂部にある三等三角点〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈白い衣が見え始めたオオヤマレンゲ(モクレン科)の蕾〉

 

 

 

 

 

 

〈今年のオオヤマレンゲは沢山の蕾を付けている!〉

〈ドウダンツツジ(ツツジ科)〉

 

 

 

 

 

〈イワカガミ(イワウメ科)〉

〈佐々木新道をオクビ山へ向かう〉

 

 

 

 

 

〈天狗石山南面もきれいなブナ林だ〉

〈天狗石山とオクビ山との鞍部〉

 

 

12:13〜12:15 オクビ山(1,078m)

  鞍部から斜面をひと登りするとオクビ山の稜線に出た。東方向に転じた稜線部にも素晴らしいブナ林が続いている。三角点のない山頂は糢糊としていて、どこが山頂かは明瞭ではない。最も高い所がそれである。その山頂を踏んでから佐々木新道に帰って下山すること考えていたが、山頂部に立つと、そこから真南と東方向に明瞭は踏み跡が通じていてどちらも十分に歩き通せそうであった。ここは深山に向かう東尾根を辿ることにした。歩き易い尾根筋で快調に東進出来た。標高980メートル余の鞍部は十字路になっており、北の佐々木新道方面にも南の細見大塚林道方面にも踏み跡があった。まだ尾根筋に踏み跡が続いていたので小さなピークを越えてから、954.8メートルの四等三角点を確認しつつ進んで行った。三角点の直ぐ先で踏み跡は左右に分かれていた。いずれが良いかと観察すると右側の南へ下る道の方がよく踏まれているようなのでそちらを採った。その道は分岐すると直ぐに右へ右へと巻いて下ることを忘れたかのように西へ西へと斜面の中ほどの延びていた。これでは深山から遠ざかる一方なので、髭じじーさんの例に倣って登山道を離れて南斜面の林床の歩き易い所を下ることにした。下っていると別の巻き道に遭遇したが、その道も西へ西へ高度を下げることなく延びていた。再び南斜面の林床を下って行くと程なく林道細見大塚線に飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈オクビ山の山頂部〉

 

 

 

〈オクビ山のブナも見事なものだ!〉

 

 

 

 

 

〈オクビ山の東尾根に続く踏み跡〉

〈コケイラン(ラン科)〉

 

 

 

 

 

〈ギンリョウソウ(イチヤクソウ科)〉

〈954.8メートルの四等三角点

 

 

 

 

 

〈踏み跡を外れて南斜面を下る〉

〈歩き易い所を辿って尾根筋を下る〉

 

 

12:56 林道出合

  朝方に蕨を摘んだ林道の路傍に飛び出た。深山橋までもう遠くないところであった。東側の阿佐山の稜線を見上げれば、深かった霧が流されて再び晴れてくるような様子であった。雨の心配のない林道の気持ち良いラストウォークを楽しんで深山へと下った。

 

 

 

 

〈林道細見大塚線に戻ってきた〉

〈阿佐山方面の霧も晴れ掛かっているようだ〉

 

 

13:13 深山

  6時間足らずの多彩であった山歩きを終えて深山橋下に愛車のもとに返ってきた。直ぐ近くでアングラーにお会いしたが、私が登山者であることに安心したようであった。釣果をお尋ねすると、「これから釣り始めるところです。誰も入っていなければ釣れると思います」との返事であった。

 

 

 

 

 

 

 

〈魅力的な新緑の阿佐山連山〉

 

 

 

 

〔山行所感〕

  高杉山の東面の登山道の秘密は、広島県緑と水の森林公社(現(財)広島県農林振興センター)の手になる「モデル水源林」の概念図や髭じじーさんの踏査レポートと現地視察を併せてみて大体のことは解き明かすことが出来たと思う。しかし、今回は太田川源流部で勘違いをしてしまい本来の登山ルートを外れて作業道探索をやってしまった。終わってしまってからの反省になるが、やはり初陣の今回は王道を行くことに徹するべきであったと思う。

  オクビ山からの下山路を含めてこの山域にはまだまだ探索してみたいことが多い。本来辿ろうとしていた登山道も次の機会にでもきちんと歩いておくことにしたい。でも、あまり多くの人が知らないところで、目的が違うにしても山々に道が拓かれているというのは、夢でも幻でもなく現実のことであった。でも何だかちょっと変な気もする。

 

 

 

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