修験道場の霊山を巡る 英彦山(1,199.6m)

福岡県田川郡添田町大分県中津市

2009年7月4日(土)       チャコ&門久

 

 

 

 

 

 

〈英彦山々頂部のブナ林から大分県中津市方面の山並を望む〉

 

 

 

九州の主だった峰々の中にあって北東端(鬼門)にある英彦山!

若い頃から「一度この山に登っておかなくては・・・」と思い続けてきたが、実現出来ていなかった。

梅雨の時節ながら前線は南海上に下がり、九州地方は雨がないとの予報が出たのを幸いに、

休日ETC¥1,000をも活用して、いよいよ念願の英彦山へ登らせて頂くことにした。

修験道場の山、聖域の深い森・・・など、この山の持つ独特の雰囲気には心躍らせるものがあった。

 

《山行記録》

別所駐車場9:43・・・・9:52九州自然歩道・・・・9:54国道500号線(横断)・・・・10:00六地蔵・・・・10:03国道500線(横断)・・・・10:07キャンプ場・・・・10:13新日本管財彦山山の家・・・・10:20スキー場・・・・10:25亀彦地王神・・・・10:27バードライン分岐・・・・10:36県立青年の家・・・・10:50高住神社11:02・・・・11:12逆鉾岩・屏風岩・筆立岩11:15・・・・11:18望雲台分岐・・・・11:29望雲台11:33・・・・11:46望雲台分岐・・・・12:07「救世安民」碑12:10・・・・12:13溶岩の壁・・・・12:19一本杉12:21・・・・12:39北岳(1,192m)13:09・・・・13:38中岳(1,190m)13:43・・・・13:56南岳(一等三角点1,199.6m)14:02・・・・14:40材木石14:43・・・・14:54三叉路・・・・15:06鬼杉15:18・・・・15:21倒木(引き返す)・・・・15:23鬼杉15:25・・・・15:28分岐・・・・15:31大南神社15:33・・・・15:38合・・・・15:59衣ヶ池・・・・16:09智室神社入口・・・・16:24玉屋神社道合流・・・・16:45奉幣殿16:55・・・・17:03伽藍さま・・・・17:20別所駐車場  

〔総所要時間:7時間37分、昼食・休憩等:1時間34分、正味所要時間:6時間03分〕

 

 

 9:43 別所駐車場

  九州自動車道を小倉南ICで下りて国道322号線、香春から県道52号線を南下した。JR日田彦山線彦山駅付近から国道500号線に入って7.6キロメートル東進すると英彦山神宮奉幣殿に近い別所駐車場に到着した。駐車場は100台近くが駐車出来ようかという広いもの。国道を挟んで水洗トイレもあった。

 

  駐車場で身支度を整えてから国道500号線を暫し東へ歩いた。直ぐに進行方向の右側に九州自然歩道入口があった。国道を2度横断する地点まで苔生すその自然歩道を歩いた。その先のキャンプ場から某社の山の家までは舗装道が続いたが、やがてダートの道となった。田川農林高校の演習林の中に延びる良く整備された道で、涼しくていつまでもいたい場所であった。冬はスキー場となるカヤトの原、県立青年の家などが沿道にあった。修験者が歩いた石畳が現れると高住神社はすぐであった。

 

 

 

 

〈別所駐車場〉

〈苔生した九州自然歩道を行く〉

 

 

 

 

 

〈英彦山北麓の冬期はスキー場となるカヤトの原〉

〈気持ちの良い林間の自然歩道を行く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈石畳の修験者の道〉

 

 

 

すべってころんで 山がひっそり

〈山頭火に出会った〉

 

 

10:50〜11:02 高住神社(豊前坊)

  天狗伝説が残る高住神社(たかすみじんじゃ)の趣のある長い石段の参道を登って行くと立派な社殿があった。牛馬の神が祀られているという。石段上には樹齢850〜900年といわれる天狗杉や大橡木があった。よく手入れされた境内は居心地が良かった。名水のご神水を戴き、老杉の下に咲いたヤマアジサイに心を癒した。しかしよく見ると、ヤマアジサイの半分くらいは鹿の食害に遭っていた。本殿の右側の山裾から北岳への登山道が山に入っていた。その登山道に入ると直ぐに登山道の案内板が現れ、なお自然石伝いの急坂を登って行くと、逆鉾岩、筆立岩などの奇岩の下を通り抜け、望雲台分岐に到達した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈御神木の天狗杉〉

 

 

 

〈杉並木の高住神社参道〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈高住神社本殿〉

 

〈老杉の多い境内にヤマアジサイが咲く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈高住神社境内にある登山口〉

 

〈登山道脇に立つ奇岩〉

 

 

11:29〜11:33 望雲台 

  登山道を外れて望雲台に立ち寄った。鎖の懸かったスリル満点の岩場をよじ登って薄い岩の板を立て掛けたような岩の上に立った。手摺があるので何とか身体を幅の狭い岩の上に確保できるといったところである。見下ろす岩盤の下には重畳たる杉林が拡がり、その先に鷹巣山の特徴ある山容がドンっと構えていた。その先にも広々とした光景が拡がっていたが、残念ながら我々にはそれらを同定する力がなかった。ほうほうの態で鎖場と辿って分岐に戻り、険しい北岳への登山道を再び辿って行った。自然石を踏みながらの急坂は、上るほどに険しさを増して行った。意味ありげな「救世安民」の石碑や溶岩の壁などに出合うと一息入れた。稜線上の一本杉に出ると北岳は近いが、それでもなお険しい尾根道を15分余辿って山頂に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈この岩盤の上が望雲台〉

 

 

 

〈険しい岩場を抜けて望雲台へ向かう〉

 

 

 

 

 

〈望雲台の下には重畳たる杉の美林が拡がる〉

〈鷹巣山が間近に対峙する〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈北岳への登山道も九州自然歩道の一部だ!〉

 

〈シオジやブナの美林の中を登り行く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈安政時代の「救世安民」の碑〉

〈稜線上の一本杉〉

 

 

12:39〜13:09 北岳(1,192m)

  北岳の頂上には小さな祠があり、その背後は縄囲いがされており(「盤境」と言うらしい)、最高地点には立ち入ることは出来なかった。中岳寄りの一段低いところが山名標が立てられたちょっとした広場になっていた。単独行の男性がそこで昼食を摂っておられたので、我々もその一画で食事を摂ることにした。北岳の南面から中岳の東面にかけての斜面はブナの自然林で、それまでの杉の老木に対比して面白い変化であった。食後、そのブナの林の中に延びる尾根道を辿って中岳へと向かった。中岳東面のブナ林は平成3年の大型台風による被害からの復元中で、その林床には鹿の食害避けのネットが張られていた。

 

 

 

 

〈北岳山頂の「盤境(いわさか)」〉

〈ブナ林越しに周辺の山々を望む〉

 

 

 

 

 

〈北岳山頂から中岳(右)・南岳(左)を望む〉

〈ブナ林の中の尾根道を行く〉

 

 

 

 

 

〈鞍部から中岳を見上げる〉

〈このピラミダルなピークは・・・由布岳であろうか?〉

 

 

13:38〜13:43 中岳(1,190m)

  最後に岩場の急坂を登り切って中岳の山頂部に出た。一段高い位置に英彦山神宮の上宮が建っていた。下段に避難小屋を兼ねた休憩舎があり、ベンチのある広場があった。その広場の一画に「英彦山山頂 標高1200米」と記した円柱の山名標が立っていた。一般には上宮のあるここ中岳が英彦山の山頂なのであろう。遠く阿蘇、九重、雲仙などが望めるというが、漠として霞む中では雲仙を除いて同定することが出来なかった。もう大分遅い時刻となっていたので、暫し上宮に参拝してから早々に南岳への道を採ることにした。

 

 

 

 

〈中岳から北岳を振り返る〉

〈中岳の山頂広場〉

 

 

 

 

 

〈中岳にある「英彦山山頂」の木柱〉

〈英彦山神宮の上宮〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈遙か西方に薄く見えるのは雲仙の山並であろう〉

 

〈鞍部から南岳を見上げる〉

 

 

13:56〜14:02 南岳(1,199.6m)

  小さな鞍部から登り返すと最高峰の南岳山頂に出た。石の祠の後にある芝生広場に立派な一等三角点が建てられていた。展望台を備えた避難小屋が建てられているが、老朽化して今は展望台に上がることは叶わずであった。従って、ここからの眺望は期し難い。ここも早々に発って鬼杉へと急ぎ下って行くこととした。山頂直下にはまたしても鎖場の険路が控えていた。急坂を30分間も下って行くと、これまた急峻なガレ場が待っておりその上部に「材木石」を呼ばれている柱状摂理が見られた。そのガレ場を下り切ると林相は杉林へと変わり、やがて待望の鬼杉へと導いて行かれた。

 

 

 

 

〈南岳への登山道から中岳を振り返る〉

〈南岳山頂〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈汐井川の渓谷に向かって下り行く〉

 

 

 

〈南岳から鬼杉への下りの険しい鎖場〉

 

 

 

 

 

〈「材木石」と呼ばれる柱状摂理〉

〈急峻なガレ場を下る〉

 

 

15:06〜15:18 鬼杉

  初対面の鬼杉は迫力に満ちていた。その老樹は巨樹が多い中にあっても群を抜いていた。推定樹齢1,200年、周囲12.4メートル、半分折れても高さ38メートルというサイズは驚愕的である。根元近くのアバタは貫禄を感じさせるものであった。何よりも珍しく思ったのは、この老杉は用材として最適な真っ直ぐな樹であるということであった。「よくぞ伐採されずに生き延びてきたな!」という感慨であった。ゆっくりと鬼杉を見てからいよいよ奉幣殿への下山の途に就くことにした。鬼杉から玉屋神社を経由する道を辿って行く積もりであったが、直ぐ先で登山道が倒木で塞がれているのに出遭った。簡単に乗り越すことは出来そうであったが、つい先日までの大雨の後だけに、この先の登山道も傷んでいる危険性も考えられた。午後3時を回った時間でもあり、渋滞する危険は避けるべきと考え、鬼杉に引き返して直ぐ上部から大南神社、梵字岩を経由して奉幣殿へと下る近道を採ることにした。辿ってみるとよく踏まれた山道で、下山道として利用すれば下り基調の歩き易い道であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈鬼杉との対面は感動的であった〉

 

 

 

〈静謐な森に立つ巨樹「鬼杉」〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈推定樹齢1200年は伊達ではない、貫禄とはこういうもの〉

 

〈聖域なればこそ生き残った樹であろう〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈大南神社〉

 

〈杉林を抜け奉幣殿へと下り行く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈智室神社辺りもゆっくり歩いてみたいところ〉

〈ツチアケビ(ラン科)〉

 

 

16:45〜16:55 奉幣殿

  午後5時に近い奉幣殿には参拝者の姿はほとんどなく、拝殿や広い砂利の広場を清掃、整備する職人さんが活躍する場と化していた。老杉に囲まれた大きな拝殿や社務所の厳粛な佇まいにはただ感服した。叶うものなら老若男女の多くの参拝者の姿のある時間帯にまた訪ねたいものだと思ったりもした。

 

 

 

 

〈杉の美林に囲まれた奉幣殿〉

〈奉幣殿前の広場へと下り行く〉

 

 

 

 

 

〈奉幣殿正面〉

〈社務所も厳粛な佇まいだ!〉

 

 

17:20 別所駐車場

  奉幣殿から別所駐車場へは表参道の石段を下り途中で右に折れるのが順路であるが、奉幣殿から直接下る道を探ってみた。結局は失敗して迷いながら表参道に出てしまった。午後5時を過ぎた広い駐車場には我が愛車の姿があるだけで、出発時に数台見られた他の登山者の車は、皆さんそれぞれに好みのルートを歩いた後で早々に帰られたようであった。

 

 

 

 

〈歩いて来た道を振り返る〉

〈表参道の石段〉

 

 

 

〔山行所感〕

  出羽の羽黒山、大和の大峰山と共に日本三大修験道場と称される英彦山。深田二百名山の一つでもある。数百万年前の火山活動で出来た溶岩台地が侵食されて出来上がった山域だけに、奇岩、岩場、そして聖域として護られてきたこともあって多様な植物相も見られた。独特の環境を持ったこの山域の何と魅力的なことか!この山域の良さは一度だけの訪問で味わい尽くせるものではないだろう。 今回、玉屋神社経由の道を採れなかったし、梵時岩辺りもゆっくりと歩いてみたい。上宮表参道も一度歩いておかねばならないだろう。九州自然歩道や登山道以外にも、バードウォッチング用の道も縦横に拓かれているようであった。いつかこの山が一際美しい時期に再訪出来れば幸いであると思う。

 

 

 

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