田代ルート、牛小屋谷ルートを辿る 砥石郷山(1,177.0m)

広島県山県郡安芸太田町

2009年8月30日(日)   仁王さん夫妻+チャコ&門久

 

 

 

 

 

 

〈牛小屋谷の遡行中には時に渓流歩きとなった〉

 

 

 

8月末を迎えたが、まだ残暑が厳しい。

折角の日曜日というのに、曇り空で午後早い時間帯に雷が鳴るかも・・・との予報であった。

こんな日に山に出掛けるとしたら・・・と考えていると、浮かび上がってきたのが砥石郷山の田代ルートと牛小屋谷!

前々から一度歩いてみたいと思っていたルートである。

善は急げとばかり若干の情報を収集整理して出掛けることとした。

 

《山行記録》

牛小屋高原10:38・・・・11:04焼山峠・・・・11:07砥石郷山分れ11:10・・・・11:27 1,166mピーク 11:29・・・・11:47砥石郷山(1,177.0m)12:36・・・・13:10(ザックカバーを掛ける)13:14・・・・13:44砥石郷登山口・・・・13:47田代橋13:53・・・・14:34渡渉点(右岸→左岸)・・・・14:43断層・・・・15:07堰堤・・・・15:18牛小屋高原エコロジ―キャンプ場・・・・15:30牛小屋高原

〔総所要時間:4時間52分、昼食・休憩等:1時間04分、正味所要時間:3時間48分〕

 

 

10:38 牛小屋高原

  出発間際に仁王さん夫妻が急遽参加することになり、中国道戸河内ICを降りたところにある道の駅「来夢とごうち」で落ち合った。昼過ぎには雷雨の可能性ありということから、途中撤退にも備えるため2台となった自動車のうち1台を田代近くに停めて置いて、これも急遽変更した牛小屋高原の登山口へと赴いた。当初は「田代〜砥石郷山〜夏焼峠〜牛小屋高原〜牛小屋谷〜田代」というルートを計画していたが、これを牛小屋高原を出発点とした時計回りのルートに変更した訳だ。

  牛小屋高原の駐車場から見る砥石郷山は頂上付近が時折ガスで隠れるような雲行き、隣の恐羅漢山は完全にガスに覆われていた。通い慣れた夏焼峠(なつやけのキビレ)に向かう登山道を登り始めた。

 

 

 

 

〈牛小屋高原の駐車場から霧に霞む砥石郷山を仰ぐ〉

〈先ずは夏焼峠へ向け出発だ!〉

 

 

 

 

 

〈カヤバタゲレンデから見上げた恐羅漢山は霧の中〉

〈夏山峠を越えて行く〉

 

 

11:07〜11:10 砥石郷分れ

  夏焼峠を越えて中ノ甲方面へ数分下ると右手に砥石郷山への登山道が分岐している。1,166メートルのピークまで急坂が続くが、ヤマジノホトトギスやツルリンドウの花々が目を楽しませてくれた。晴れておれば1,166メートルピークからは恐羅漢山を始めとした大眺望が得られるのであるが、この日は生憎と全てがガスの中であった。ただナナカマドの赤い実だけが印象的であった。一旦浅い鞍部に下ってから、緩やかな稜線上の登山道を砥石郷山の山頂へと向かった。登山道の笹がきれいに刈り払われており、ここの空中散歩は快適であった。《魔の池》とも呼ばれる稜線上の湿地を過ぎると山頂広場は直ぐであった。

 

 

 

 

〈夏焼峠から数分の砥石郷分れ〉

〈好眺望の1,166mピークも霧に閉ざされていた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

1,166mピークで出合ったもう赤い実を付けたナナカマド〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈山頂直前の池、いろいろな呼び名があるようだ!〉

 

 

 

〈緩やかな砥石郷山の稜線部〉

 

 

11:47〜12:36 砥石郷山(1,177.0m)

  芝のような低い草で一面覆われた頂上広場に新しい山名標識だけが立っていた。広場の周りは樹木で囲まれ眺望は得られない。我々以外に登山者の姿はなかった。その静かな山頂でゆっくりと昼食を摂ってから、この日の第1の目的である「田代ルート」の下りにかかった。「田代から砥石川山に登る場合は、終始かなりの急坂を登るので覚悟して取り付いたほうがよい、標高差450メートルであるがジグザグ道は少なく、上部は真直ぐ付けられていて驚かされる。」(桑原良敏著「西中国山地」76頁) 今も昭和57年12月発行のこの本の表記と変わりはなかった。とにかく驚くほどの急坂が砥石郷山の東面を一気に下っている感じであった。何かに掴まらないと、滑り落ちること間違いなかった。小雨も降り始めて、とにかく滑らないようにと用心しながら下って行ったが、結局我々4人全員が幾度も尻餅を搗くこととなってしまった。ただ登山道の笹はずっときれいに刈り払われていた。安芸太田町発行の「西中国山地国定公園周辺トレッキングマップ」では、このルートの下りの所要時間は50分間(上りは1時間10分)であるが、我々は1時間10分の時間を費やして下山した。下りにしても、上りにしても、極めてタフなルートであるのは間違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈砥石郷山々頂、東へ田代ルートが下っている〉

 

〈笹が刈り込まれた田代ルート〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈何かに掴まらないと滑り落ちそうな急坂を用心深く下りる〉

 

〈急坂が延々と続き悲鳴が上がりそう!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈見事なブナには心癒される〉

 

 

 

 

 

〈下山中、皆滑って尻餅を搗いてしまった〉

〈登山道脇に横たわる古い道標〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈田代橋近くの下山地点に立つ道標〉

 

 

 

〈登山道の下部にはきれいな赤松林も〉

 

 

13:47〜13:53 田代橋

砥石郷山からの下山口から牛小屋高原に向かう順路では田代橋には出ないが、下山中に雨に降られたので山行を中止し撤退する積もりで出た。しかし上空は明るくなり雨が降り続く様子も感じられなかったので、思い直してこの日の第2の目的である牛小屋谷の遡行にチャレンジすることとした。

田代橋を渡り返し、砥石郷山登山口を通り過ごすと一般に牛小屋谷橋と呼ばれている赤い鉄製の橋を渡った。そこからジグザグを切って丘陵地に上がると、登山道の右手に今は羊歯で覆われた杉林となっているものの明らかにかつての棚田跡と分かる遺構が広がっていた。先に行くと幾段もの棚が続いており、また住居や畑地の跡と思われる立派な石垣も累々とし、かなりの規模の集落と田畑があったことが想像出来た。田代川を挟んで北に田代の集落が、南に添郷(そえごう)の集落があったと言われており、ここはその添郷の集落跡のようだ。

添郷の集落跡を過ぎると、渓谷の右岸のやや高みに細々とした登山道が続いていた。渓流釣りの人達がよく通うのであろうか、比較的よく踏まれた感じの道で、道を覆う雑草や笹もきれいに刈られていた。こんな様子なら安心して歩けるルートではないかなどと話しながら進んで行くと、やがてその登山道が渓流と同じレベルになったかと思うと、道が流れの中に消えていた。ここは右岸の斜面が渓谷にかなりの規模で崩落した跡のようで、渓流の中を遡って行くと何とか先に続く登山道を見つけることが出来た。

 

 

 

 

〈田代川に架かる田代橋〉

〈田代橋は牛小屋谷の入口〉

 

 

 

 

 

〈牛小屋谷に入ってすぐにこの橋を渡る〉

〈今は杉林となった耕作地跡に出る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈かつて添郷という集落があったという、かなり大きな集落であったようだ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈こうした大規模な石垣が広がっている〉

 

 

 

 

 

 

〈今は朽ちた丸木橋〉

〈細々とした登山道が続く〉

 

 

 

 

 

〈朽ち落ちた道標が横たわる〉

〈登山道が渓流の中に消える・・・・!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ルートファインディングしながら渓流の中を上って行く〉

 

 

 

14:34 渡渉点

  田代にあった道標では50分間で牛小屋高原に到着する筈であったが、40分かかってやっと道中の中程の渡渉点に辿り着いた。橋の支柱であったのか、立看板の柱であったのか定かでない2本の木の柱が立ち、足元には西中国山地の気候の説明板のかけらと思われる木片が散らばるその先で道が渓流の中に消えていた。まだ右岸の上手に道が続いているのか、或いは左岸に渡るのか判然としなかったが、反対側の左岸に小さなピンクのテープが見えたので行ってみるとその先に登山道が続いていた。

  暫くの間、牛小屋谷の渓流も砥石郷山の山塊から流れ込む谷も荒れ気味のところが続き、登山道は幾度も崩落したり、流されたりして流れの中に消えていた。その都度渓流の中をルートファインディングしながら遡って行った。断層の説明板があった辺りから、比較的登山道も安定し、左下を流れる渓谷も時に美しい滝や渓流を見せてくれた。杉の間伐を行っている林の下を抜けて、橋の落ちた沢筋を難儀しながら越えて行くと、やっと牛小屋池の堰堤の下に出た。この堰堤の右手に上がって行くと、キャンプ場から下って来ている管理道に出た。あとはこの管理道を辿って行くだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈橋でも架かっていたのだろうか、渡渉点に立つ木の柱〉

 

〈右岸から左岸への渡渉点〉

 

 

 

 

 

〈牛小屋谷左岸の道を行く〉

〈牛小屋谷に流れ込む枝沢もかなり荒れている〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈餅ノ木断層と横川断層の説明図〉

 

 

 

〈登山道の流失した所は河床を歩く〉

 

 

 

 

 

〈滑滝が懸かる〉

〈登山道が安定してきて落ち着いた雰囲気になってきた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈美しい滝や渓流も多い〉

 

 

 

 

 

〈橋が流がされた沢筋は渓流に下りて渡る〉

〈壊れ落ちる寸前の道標、まだ牛小屋まで1.7kmある〉

 

 

 

 

 

〈牛小屋池の堰堤〉

〈管理道を行くとキャンプ場の熊避けの電気柵に出合う〉

 

 

15:30 牛小屋高原

  管理道を辿って熊避けの電気柵を越えると牛小屋高原エコロジーキャンプ場の中であった。初めてこのキャンプ場内に入ったことになるが、きれいと言うか見事に整備されたキャンプ場であった。このキャンプ場を通り抜けると自動車を停めた牛小屋高原駐車場であった。田代から1時間40分足らずの時間で到達した。

 

 

 

 

〈きれいに整備されたキャンプ場を通り抜ける〉

〈牛小屋高原エコロジーキャンプ場入口〉

 

 

 

 

 

〈恐羅漢山はスキー場からもう完全に霧の中〉

〈砥石郷山の山頂部も霧の中だ〉

 

 

 

〔山行所感〕

  初めて歩くルートには、期待感と不安感とが入り混じった心の高揚が伴うものだ。この感覚が何とも言える魅力である。・・・して、今回の初ルートは如何であったかと言えば、やはり一般的なルートではないだけに、それなりにタフなルートであった。田代ルートは大変な急坂だ。慎重に笹など何かに掴まって滑らぬように上り下りしよう。牛小屋谷は登山道が崩落したり流失したりした箇所が多数あり、沢歩き、河床歩きを余儀なくされるものの、増水さえしておらねば、慎重にルートファインディングなどの行動をすれば、そんなに難しいルートではないと思う。増水時の入渓は避けるべきだ。

  ただ、田代橋や砥石郷登山口に昨年5月に広島山岳連盟の皆様の手で立てられた指導標識の所要時間はここだけは参考にしない方が良い。特に牛小屋谷の遡行には表示時間の2倍は掛かると心して入山されることをお勧めする。   

  今回も新しいルートを踏破することが出来て、この山域の見方も新しい視点から出来るようになったと思う。ルート設定などでも今まで以上に多様な検討が出来るようになると思う。今後がまた楽しみである。

  今回のルート設定に当たっては、「山歩きのページ」さんの「牛小屋谷・・・奥三段峡・・・中ノ甲林道〜ナガオ谷」(2005.9.3)と「山歩きと山野草のページ」さんの「砥石郷山」(2007.6.30)を参考にさせて頂きました。記して感謝に代えることとしたいと思います。

 

 

 

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