歴史の道から親指ピークの難所を越えて

 野田ヶ山(1,344m)・振子山(1,452m)・象ヶ鼻(1,550m)

鳥取県西伯郡大山町

2009年9月21日(月)    門久単独

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈親指ピーク〉

 

 

シルバーウィークと呼ばれた今年9月の5連休の3日目はスケジュールが空いた。

今年8月に行こうとして登山道崩壊の為に諦めざるを得なかった大山山系の親指ピーク越え、

これが可能となったようなので改めてチャレンジする気になった。

連休初日から好天の日が続いていたが、それもこの日までで翌日からは雨模様に急変するという。

ここは是が非でも出掛けなくてはと、休養を取るチャコを残して単騎で早朝に広島を発って大山へと向かった。

 

《山行記録》

大山寺第1駐車場8:30・・・・9:22川床9:26・・・・10:00岩伏分れ10:02・・・・11:09大休峠(昼食)11:41・・・・12:28野田ヶ山(1,344)12:32・・・・13:01岩峰13:03・・・・13:12親指ピーク13:20・・・・13:59振子山(1,452)14:00・・・・14:23鞍部・・・・14:34尾根上の道標・・・・14:54象ヶ鼻(1,550m)15:02・・・・15:08ユートピア避難小屋15:10・・・・15:14ユートピア分岐・・・・15:31上宝珠越・・・・15:37砂滑り・・・・16:02元谷のケルン・・・・16:14大堰堤・・・・16:33大神山神社16:38・・・・16:46大山寺16:49・・・・17:05大山寺第1駐車場 

〔総所要時間:8時間35分、昼食・休憩等:1時間11分、正味所要時間:7時間24分〕

 

 

 8:30 大山寺第1駐車場

  広島から大山へはいつも道後山越えの国道183号線を採る。この日も庄原から下道を走った。溝口から桝水高原への山岳道路に入り、大山寺の街へと上がって行った。街に入る手前からいつもと違って夥しい自動車が大山周回道路の脇に駐車していることに気付いた。下山キャンプ場駐車場も、大山寺橋詰の南光河原駐車場も既に満杯で、そこからはみ出した自動車が路上駐車に及んだという訳であった。大山寺の街の北にある第5駐車場に行ってみると、ここは何かのイベント会場になって閉鎖状態、その隣の第4駐車場も満車という厳しい状況。その先の第1、第2駐車場でやっとスペースを見付けることが出来た。さてさて、この日の大山弥山山頂は如何ばかりの混雑であったろうか・・・・!

 

  この日は大山寺の街から川床まで歩く予定であったので、第1駐車場への駐車はむしろ幸いであった。当初は自転車での移動も考えたが、この間も中国自然歩道の区間とのことなので一度歩いてみることにした。駐車場を出て中ノ原スキー場、大山国際スキー場のゲレンデ下の車道を歩き、国際スキー場の外れからスキー場ゲレンデの萱原を刈り払った自然歩道に入り、更に山中へと入って阿弥陀川の谷間に下って行くと川床の直ぐ上の車道脇に出た。大山寺から川床までの所要時間は約50分であった。

 

 

 

 

〈溝口インターチェンジ付近から見上げる朝の大山〉

〈大山寺第1駐車場から大山北壁を遠望する〉

 

 

 

 

 

〈車道を離れて中国自然歩道に入る〉

〈スキー場のゲレンデを横切る中国自然歩道〉

 

 

 9:22 川床

  今回の山行の登山口となる川床から大休峠へは3年前(2006年9月30日矢筈ヶ山・甲ヶ山)に歩いたことがあった。川床の路傍の狭い駐車スペースは既に満杯で、少し離れたスペースでは新来の登山者が登山準備中であった。川床からの道も中国自然歩道で大休峠を越えてさらに一向平方面へと延びている。阿弥陀川に架かる橋を渡ってから一気に尾根上に上がると、その先は大休峠まで緩やか傾斜のよく整備された登山道がずっと続いていた。この道はまた峠の向こうの住人の大山寺への参詣ルートでもあったということで、今でも慶長年間に造られた石畳の道が健在である。将にここは歴史の道でもある。

 

 

 

 

〈川床の登山口〉

〈尾根上に上がると歩き易い自然歩道が大休峠まで続く〉

 

 

 

 

 

〈岩伏分れでな香取からの道が合わさる〉

〈蔦が少し色付いてきたようだ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈石畳の道:歴史の道なる所以である〉

 

 

 

11:09〜11:41 大休峠

  大休峠には立派な避難小屋が建っている。きれいに整理整頓された小屋の中を覗いてみると、白板に崩壊していた親指ピークは8月23日に巻き道が出来て通行可(注意通行)の旨記されていた。この小屋で2組4人の登山者とお会いした。矢筈ヶ山へ行くご夫婦と、一向平のキャンプ場からこの峠まで散策でこられたご夫妻であった。難路に入る前に腹ごしらえを済ませておくことにして、小屋の外の陽だまりのベンチで昼食を摂った。この先はまだまだ長いのでその昼食も素早く終わらせて、野田ヶ山へと向かった。小屋を出ると直ぐに灌木が被さった踏み跡然とした細々とした道で些か落胆してしまった。この先象ヶ鼻直下の標識の立つ尾根上までの間は、ずっと樹々や笹が被った道で、甚だ身の周りが小煩い道中となった。

 

 

 

 

 

 

 

〈立派な避難小屋のある大休峠〉

 

 

 

 

 

 

 

〈山中の十字路:今日は野田ヶ山への道を採る〉

〈峠からこれから行く山域を望む、微かに難所の稜線が覗く〉

 

 

 

 

 

〈大休峠から先は樹々や笹が被さった登山道が延々と続く!〉

〈野田ヶ山への稜線部のブナの林〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈野田ヶ山のピーク間近から霧に煙る三鈷峰、ユートピア方面を望む〉

 

 

 

12:28〜12:32 野田ヶ山(1,344m)

  野田ヶ山は猫の額ほどもない狭い山頂部を持った極く散文的な所であった。それでも樹間から三鈷峰東壁の断崖やこれから行く親指ピークの難路、その先の振子山への急傾斜面などを見渡すことが出来て、いよいよ難しい山域に入って来たことが見て取れた。見事なブナ林の中の急坂を下って行くといよいよ振子山直下まで続く痩せ尾根が始まった。尾根の左右は切り立った断崖のようだった。前方には文字通りの親指を突き出したような親指ピークが見えていた。その手前の一際高い岩峰の上に立って、この難路を越えて行く最後の決断をして果敢に下りて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈野田ヶ山々頂付近から三鈷峰東壁を望む〉

 

 

 

〈野田ヶ山々頂〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈親指ピークとその先の振子山への急斜面〉

 

 

 

 

 

〈痩せ尾根の東面は見事なブナ林だ!〉

〈遥か東方には蒜山の山並みが望めた〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈親指ピーク:名は体を表すである〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈手前の岩峰を越えていよいよ難所の核心部へ突入!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈痩せ尾根を辿って親指ピークにアプローチ中!〉

 

 

 

 

13:12〜13:20 親指ピーク

  いよいよ親指ピーク越えである。痩せ尾根を辿って行くと、爪の部分への取り付きに導いてくれた。そこにはしっかりとしたロープが固定されており、足元の草付きの足場もしっかりしていたので、難なくピークの反対側へと回り込むことが出来た。問題はその爪の部分からの振子山側の下りであった。足場となる表土が崩落して西面の断崖絶壁に落ちてしまったようであった。今は東面の灌木の中を切り拓いて足場と巻き道としていた。無秩序に張られたロープが人間の混乱を象徴しているかのようであった。慎重に一歩一歩足場を確保しながら降りて行った。左右の、特に西面の断崖を見ると身体に力が入り緊張した。何とか振子山側の痩せ尾根の上に立ち、越えて来たピークを幾度も振り返った。その後の振子山への急傾斜面の登りの苦しかったこと! 要らぬ力が入っていた為であろう。

 

 

 

 

 

 

 

〈親指の爪の部分はロープと草付の足場を辿ると難なく越えられる!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈問題はこの振子山側の下り、足場を何処で確保するかだ!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈親指ピークの西面は完全に垂直の壁である〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈左右共に切り立った痩せ尾根上故にずっと落ち着けない〉

 

 

 

 

 

〈東に目を転ずれば緑なす谷間の向こうに矢筈ヶ山の姿が!〉

〈西に目を転ずれば三鈷峰東壁の断崖が迫る!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈振子山への登り道から親指ピークを振り返る〉

 

 

 

 

 

 

〈北東遥かに矢筈ヶ山、甲ヶ山、勝田ヶ山の連山を望む〉

〈振子山の稜線はもう直ぐ!〉

 

 

13:59〜14:00 振子山(1,452m)

  振子山の稜線に上がると、大山東壁や振子沢、烏ヶ山などが目に飛び込んで来て感動を新たにする。なおブッシュの繁る道筋ではあるが、痩せ尾根の難所から解放された安堵感の方が勝っていた。紅いナナカマドの実や紅葉を始めた躑躅類、草もみじの走りのオオバギボウシなど、どれを取ってみても好ましく感じられた。午前中にはご機嫌を悪くしていた大山山頂部の天気も回復してきていた。尾根筋を辿って一度鞍部に下り、象ヶ鼻への小尾根へと登って行った。ここで、大休峠から続いていたブッシュ状の登山道からやっと解放された。

 

 

 

 

〈振子山の稜線上に出て、山頂部と遥かユートピアを望む〉

〈露岩が立つ振子山の山頂〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈振子山から大山東壁と振子沢の源部を望む〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈振子山の稜線越しに三鈷峰を望む〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈矢筈ヶ山、甲ヶ山、勝田ヶ山の連山を遠望する〉

 

 

 

 

 

 

〈ユートピア、象ヶ鼻を仰ぎ見る〉

〈象ヶ鼻への斜面は色付き始めたばかり〉

 

 

 

 

 

〈象ヶ鼻直下の尾根筋には振子沢と振子山への分岐の道標が立つ〉

〈オオバギボウシの草もみじの振子沢源頭部越しに大山東壁を仰ぐ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ホソバヤマハハコ咲く尾根筋から烏ヶ山を望む〉

 

 

 

14:54〜15:02 象ヶ鼻(1,550m)

  象ヶ鼻、ユートピアはもう慣れ親しんだ世界と言っても良いだろう。見上げる大山東稜も大分色付きを始めていた。朝方の大山寺の街の賑わいに、ユートピアへの登山者の入り込みもそこそこにあるだろうと考えていたが、登山者の殆どは弥山へ登っているようで、ここからは天狗ヶ峰方面を歩いている数人の姿しか見えず、静かな世界であった。暫し象ヶ鼻の岩上で憩うてから、もう午後3時を回った時刻となっていたので三鈷峰へは立ち寄らずに下山することとし、ユートピア分れから上宝珠越への巻き道を辿った。

 

 

 

 

 

 

 

 

〈象ヶ鼻から大山山頂部を仰ぎ見る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈象ヶ鼻の岩場越しにユートピア、三鈷峰を望む〉

 

 

 

 

 

 

〈草もみじの振子沢の先に振子山を望む〉

〈ユートピアから親指ピーク付近の痩せ尾根を俯瞰する〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ユートピアから仰ぐ大山北壁〉

 

 

 

15:31 上宝珠越

  上宝珠越から砂すべりへと下り、もう9月下旬となって荒れてきた砂すべりをそれでも一気に下って元谷へと下った。天気は一時的に安定度を増したのか、北壁がきれいに見えていた。元谷のガレ場を下る足取りは、この日の山行の成果に満足してか軽やかであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈上宝珠越付からユートピアを仰ぐ〉

 

〈上宝珠越から北壁を仰ぐ!〉

 

 

 

 

 

〈砂すべりで一気に元谷へ!〉

〈大屏風岩と剣ヶ峰を仰ぎ見る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈元谷のケルン付近から大山北壁を見上げる〉

 

 

 

16:14 大堰堤

  大堰堤まで下って来て行者ルートに合流すると、やはりシルバーウィークの大連休中ゆえか、ここまで観光客が上がって来ていた。大神山神社や大山寺の境内や参道も同様で、いつもは閑散としているのであるが、この日は数多の参拝者の姿があった。やはり観光地は人の姿があった方が心地良い。

 

 

 

 

〈大堰堤で行者ルートに合流する〉

〈大神山神社〉

 

 

 

 

 

〈連休中ゆえか参拝の人影が多い大神山神社参道〉

〈大山寺本堂にも立ち寄った〉

 

 

17:05 大山寺第1駐車場

  総所要時間は8時間を超える長丁場となったが、無事に大山寺からの大周回ル―トを完全に踏破出来た。時刻は午後5時を回り、大山寺の各所の駐車場も朝方の大混乱から既に抜け出した後のようであった。街から見上げる大山北壁は一際見事であった。

 

 

 

 

〈大山寺参道にも観光客に姿が多かった!〉

〈大山寺の街から大山北壁を見上げる〉

 

 

 

〔山行所感〕

   いつか通っておきたいと長い間の懸案となっていた親指ピークの難所越えをやっと成就することが出来た。満足の出来る山行であった。地震、台風、大雨などがあると崩壊がよく繰り返される脆い土壌の地形でもあり、この難所がいつまでも通行可能なところであって欲しいと望むものである。このルートが健在であって、この山域のルート設定に多様性を持たせることが出来るのである。

  それにしても大山々域の多様性には益々魅せられた。歴史の道から難所越へと劇的に変わる今回のようなルートは、刺激的なルート設定である。大山々域の初心者として、また異なった観点からもこの山域にチャレンジしたいと思っている。

 

 

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