那須から描く周回路  十方山(1,318.9m)・丸子の頭(1,236.3m)・内黒峠

〜藤十郎(1,192m)・前三ツ倉(1,312m)・奥三ツ倉(1,322m)・彦八の頭(1,151.9m)・彦八(1,166m)〜

広島県山県郡安芸太田町・廿日市市吉和

2009年11月28日(土)      仰天さん+門久

 

 

 

 

 

 

〈冬枯れの奥三ツ倉付近の森から十方山を望む〉

 

 

 

那須からの十方山ルートは多様で豊かな自然に恵まれた素晴らしい登山道である。

もうひとつ那須からのこの山域への道として内黒峠への道が地形図に刷り込まれている。

この道が使えれば十方山〜内黒峠の縦走路を通る周回ルートが完成するのだが・・・と思い続けていたが、

この峠ルートに関する情報は殆どなかった。

安芸太田町が調製した「西中国山地国定公園周辺トレッキングマップ」では踏跡不鮮明の旨の注記がある。

しかし、広島山稜会の皆さんが今年9月に沢歩きの後でこのルートを下っておられたので、

やっとこれは行けると確信するに至った。

そうなると一日でも早く行きたくなるもの、同行の山友を得て出掛けることにした。

《山行記録》

那須登山口8:41・・・・8:17尾根上9:19・・・・9:54藤十郎(1,192m)10:02・・・・10:23前三ツ倉山(1,312m)・・・・10:24那須分岐10:25・・・・10:39奥三ツ倉(1,322m)・・・・11:00十方山(1,318.9m)(昼食)11:35・・・・11:52奥三ツ倉(1,322m)11:56・・・・12:13那須分岐・・・・12:44丸子の頭(1,236.3m)12:48・・・・13:13藤本新道分れ13:20・・・・13:48彦八の頭手前のピーク13:51・・・・13:53彦八の頭(1,151.9m)・・・・14:21彦八(1,166m)14:24・・・・14:51内黒峠14:53・・・・15:42津波橋・・・・15:48風小屋林道出合)15:50・・・・16:07那須登山口 

〔総所要時間:7時間26分、昼食・休憩等:1時間11分、正味所要時間:6時間15分〕

 

 8:41 那須登山口  

  昨年11月15日以来の那須登山口であった。同行の仰天さんと道の駅「来夢とごうち」で落ち合い、我が愛車を戸河内駐車場に置き、仰天さんの車で国道191号線を戸河内の街を抜けた「戸河内バスパス西口」まで行き、そこを左折して明神橋を渡り吉和川左岸を行く県道を吉和方面へ7.9q遡り、道標に従って那須集落方面への道に入った。約2qで那須集落であるが、そのまま集落を抜けて道なりに進むと風小屋林道に入る。その林道の終点が6〜7台は車を停めることが出来ようかという駐車場で、そこが十方山への那須登山口でもある。駐車場には2台の林業関係者のものと思われる車が既に停められていた。

 

 

 

 

〈那須登山口の駐車場〉

〈今は棄てられた石垣脇の登山道を登り行く〉

 

 

  仰天さんは立岩ルートからしか十方山に登ったことがないということだったので、簡単に身支度をして先ずは十方山に向かうことにした。登山口の直ぐ先はかつて人が住んでいたと思われる石垣が残っている。そこを過ぎると初夏には林床に多くの山野草が眺められるミズナラを中心とした落葉樹の林となる。登山道が谷筋から尾根上に向かうべく直角に曲がると俄かに急坂となる。登り行くほどにブナの樹が多くなり、瘤のあるブナの樹を過ぎると直ぐに尾根に乗った。暫し緩やかな尾根道であるが、それも直ぐに胸突きの急坂に変わる。登山道の右側が杉の造林地に変わった。その急坂の途中に大きなミズナラの樹が待っている。この辺りの坂道はよく滑るところであるが、昨年までにはなかった木組みの階段が作られていた。この急坂を上り切ると、緩やかな傾斜の広々とした杉やブナなどの自然林が広がる。その中を歩くとこの道を採って良かったと心から思う感動の森である。

 

 

 

 

〈那須ルートのトレードマークの瘤ブナ〉

〈ミズナラの美林の尾根筋〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈急坂の途中にあるミズナラの巨木〉

 

 

 

〈植林地と灌木林の境目を直登する〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈急坂の先には平らかな森が広がる〉

 

 

 

〈急坂にこんな階段が設けられていました〉

 

 

 9:54〜10:02 藤十郎(1,192m)

  感動を呼ぶ森の最高点が藤十郎のピークである。ここで暫し休憩後を取った。ここからも暫し緩やかな傾斜の森の中を行く。新緑や紅葉の頃にはこの上はないとさえ思わる程に美しい森であるが、今では樹々は全ての葉を落としていた。少しずつ斜度が増していく登山道を幸せな気持ちで登って行くと、大きな岩の陰に前三ツ倉の道標を見出した。この日二つ目のピークである。その直ぐ先で登山道は内黒峠からの縦走路に合流した。「那須分れ」の合流点であった。

 

 

 

 

〈藤十郎の山頂〉

〈美しいブナ林を緩やかなに登り行く〉

 

 

 

 

 

〈前の週の雪が僅かに残っていた〉

〈前三ツ倉の頂上〉

 

 

10:24〜10:25 那須分れ

  「那須分れ」で右に道を採れば内黒峠へと向えるが、ここは一旦左へ採って十方山へ向かった。道標は40分の所要時間と告げていた。笹と灌木で覆われた緩やかな尾根上を行く牧歌的な道である。前三ツ倉のピークから一旦下ってから中三ツ倉から奥三ツ倉へと緩慢に登って行った。奥三ツ倉のピークを越えると論所の切り通しまで下りとなる。ここもブナの森の美しいところである。樹々の間から笹で覆われた十方山のピークが望める。論所から鞍部の水場を渡ると、あとは10分ばかり登り返し十方山の頂上に出た。

 

 

 

 

〈「那須分れ」で内黒峠からの縦走路に合流する〉

〈笹の中に延びる縦走路〉

 

 

 

 

 

〈奥三ツ倉のピーク〉

〈奥三ツ倉直下のブナの美林〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈奥三ツ倉直下から十方山々頂を仰ぎ見る〉

 

 

 

11:00〜11:35 十方山(1,318.9m)

  やや霞んではいるが晴れた日の午前11時の十方山の山頂は無人であった。こんな静かな十方山は久し振りであった。ただ本来は雨模様でもおかしくなかった気象条件ゆえに周囲の景観は霞んでどうしようもなかった。仰天さんと二人でちょっと早い昼食を摂っていると単独行の男性が立岩ルートを上って来られた。大阪から広島への単身赴任者で、赴任後2カ月間精力的に広島の山に登っておられるというお話であった。その彼によると、約20分位後に30人の団体が到着するとのことであった。やはり、十方山は人気の山で賑やかな方がよく似合う山なのである。

  我々は先がまだ長いので、昼食を終えて直ぐに出立することにした。「那須分れ」までは来た道を引き返した。奥三ツ倉への上りで十方山を振り返ってみると、山頂に沢山の登山者の影が見て取れた。団体さんが到着されたようであった。中三ツ倉で大きな音をたててチェーンソウで登山道脇の灌木を伐採しているのに遭遇した。話では町から頼まれての登山道からの眺望を良くするための伐採という。ここの後には奥三ツ倉付近も切る予定とのことで、内黒峠までの間の9地点を伐採する事業とのことであった。この事業については、暫く前の新聞報道で見たことがあった。暫く行く程に、丸子の頭手前の低い台地に下る斜面の灌木も綺麗に刈られており、そこからは以前に比べれば広々とした景観が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

〈十方山々頂〉

 

 

 

 

 

 

〈珍しく無人の十方山から霞む吉和冠山方面を望む〉

〈眼の前に市間山、立岩山、遥かに大峯山を望む〉

 

 

 

 

 

〈越えて来た奥三ツ倉のピークを眺める〉

〈まだまだ遠い内黒峠へ向けて出発!〉

 

 

 

 

 

〈論所近くの水場を越えて行く〉

〈中三ツ倉の灌木を伐採してビューポイント作り!〉

 

 

 

 

 

〈縦走路の下りから丸子の頭、恐羅漢山を眺む!〉

〈霞む臥龍山、深入山は遥かに!〉

 

 

 

 

 

〈笹原に延びる縦走路を行く〉

〈晴れた空にナナカマドの紅い実〉

 

 

12:44〜12:48 丸子の頭(1,236.3m)

  かつては仲々踏めなかった丸子の頭の山頂も、最近は縦走路からの道が付けられて容易くアプローチ出来るようになり喜んでいたが、この日は更に驚くに、四等三角点のある頂上の周囲の灌木が広々と切り開かれており、前三ツ倉や奥三ツ倉までが見えるようになっていた。これもビューポイント作りの一環のようであった。さすが恐羅漢山方向の樹々はブナやミズナラの大木が多いせいか切られていなかった。

  さてさて、この後の内黒峠へのルートは、さながら伐採地巡りのようなことになってしまった。丸子の頭を出てから一旦大下りして、ブナ林の美しい藤本新道分れ手前のピークに登り返したまでは何の変化もなかった。藤本新道を左に分けてから、カザゴヤキビレへ下って行くと、鞍部付近が広々と刈り込まれていて、丸子の頭や前三ツ倉方面を見返すことが出来た。さらに彦八の頭への上りでは恐羅漢山方面が広大に切り開かれ、彦八の頭手前のピークも戸河内の集落が眺望出来るように伐採されていた。

 

 

 

 

〈切り開かれた丸子の頭山頂部〉

〈山頂から前三ツ倉の山頂部が望めた!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈落ち葉の絨毯の上を行く〉

 

〈見事なブナの美林な中も抜けて行く〉

 

 

 

 

 

〈藤本新道分れ〉

〈カザゴヤキビレを彦八の頭へ向かう〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈伐採されたカザゴヤキビレ近くから前三ツ倉方面を見返す〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈彦八の頭への上り斜面の伐採地から恐羅漢スキー場を望む!〉

 

 

 

13:53 彦八の頭(1,151.9m)

  まだ那須から十方山へのルートを知らなかった頃には、内黒峠から十方山へよくピストンしたものであった。尾根筋の縦走路ながら樹々に囲まれて眺望に劣ってはいたが、タフな充実のロングルートの踏破という満足感があった。今でも好きなルートである。今回のビューポイント作りの伐採で、様子は変わってはいるが、基本的には静かな縦走路である。彦八の頭からフワフワの枯葉の絨毯の道をワル谷キビレに下り、彦八のピークに上り返していると、ここでも恐羅漢山側が伐採されていた。さらに進んだ彦八のピークも完全に切り開かれており、内黒峠に近い峠道や遥か戸河内の集落、天上山などが見て取れた。ミズナラの古木のある鞍部から最後のピークに上り返して、杉や桧の造林の中の薄暗い道を下って行くと、時には明るいブナ林などもあって、やがて待望の内黒峠へ出ることが出来た。十方山々頂から3時間15分程の時間を費やしていた。

 

 

 

 

〈彦八の頭を通過!〉

〈暫し平坦な尾根道が延びる〉

 

             

 

 

 

〈ワル谷キビレから彦八への上りのビューポイントからの恐羅漢山〉

〈彦八にも見事なブナの美林が!〉

 

             

 

 

 

〈彦八の山頂も伐採されていた〉

〈彦八から内黒峠越しに戸河内、天上山を遠望する〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈内黒峠への下りはブナ林の先に内黒山のシルエットを眺めながら〉

 

 

 

〈ミズナラの古木の足元を行く〉

 

 

14:51〜14:53 内黒峠

  さて内黒峠からいよいよ那須へのルートに入ることとなった。この日山上でお会いした地元の方から「内黒峠から100メートル程行ったガードレールの端っこ」に取り付きがあること、「取り付きから暫くは草深いが、下って行くとしっかりした道になる」との情報を得ていた。それに、広島山稜会さんのレポにあるように「金属製の電柱に沿って下って行け」ば問題なさそうであった。取り付き点は直ぐに分かった。その先は背の高いススキの繁る峠道の法面で、薄いながらも踏み跡があったのでそれを辿った。法面を下り切ると、テープに導かれて杉林の中に入った。深い深い林で、その林床についた踏み跡が何とか見て取れた。迷っても林の中に続いている電柱を追っていけば良かった。時には崩落した個所や荒れ果てた沢筋もあったが、まだ十分に通れる道であった(決して多くの人が通っているような様子はなかったが・・・)。ドンドンと下って行って谷筋にかかると、ここにも石垣群が見られた。それも谷の奥から下流方面へ重畳とした石垣の棚地が続いていた。相当な規模であった。ここにも今は放棄され杉が植林された入植地があったようだ。今も残る那須の集落と併せれば、相当の村であったのではなかろうか!やがて荒れ果てた車道跡に出て、下っていくと「うらおれ橋」を渡って那須集落の直ぐ上の風小屋林道に出ることができた。内黒峠から30分ほどで下りられると聞いていたが、2倍の1時間を超えていた。

 

 

 

 

〈内黒峠を越える県道〉

                 〈峠の十方山登山口にある加藤武三の碑〉

 

 

 

 

 

〈このガードレールの端が那須への径の取り付きだ〉

〈草深い法面を下ってから杉林へと突っ込む〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈時には道が崩落した個所も怖々と渡って行った〉

 

 

 

〈杉や桧林の中を電柱に沿って下って行く〉

 

 

 

 

 

〈荒れた沢筋の丸太橋を渡り行く・・・!〉

〈杉林を行く古径はやはり荒れていた〉

 

 

 

 

 

〈下り行くイタホシ谷は畳々たる石垣が続いていた〉

〈杉木立の中の山道をひたすら下る〉

 

 

 

 

 

〈かつて車道がこの辺りまで通じていたようだが・・・〉

〈この橋は「津波橋」という怖い名だ・・!〉

 

 

16:07 那須(風小屋林道出合)

  那須からの内黒峠道の登山口となる「うらおれ橋」とは、那須から丸子の頭方面へと延びている本谷のウラオレ谷に架かる橋といった意味である。この橋詰まで那須の集落から生活道が上ってきており、その先は林道風小屋線となって朝方車を停めた駐車場まで続いている。我々にもこの林道を上り返して車まで辿り着くという最後のアルバイトが残っていた、

 

 

 

 

〈7時間半のアルバイトの末に那須に還り来た〉

〈この「うらおれ橋」が内黒峠への登り口だ!〉

 

 

 

 

 

〈うらおれ橋詰から林道風小屋線が始まる〉

〈松葉の積もった風小屋林道を駐車場へと急ぐ!〉

 

 

 

〔山行所感〕

  那須から十方山に登り、内黒峠へ周回して那須へ下ることが出来た。長い間歩いてみたいと思っていたことを叶えられた満足感もある。ちょっとロングコースではあるが、これで那須の存在価値がまた増したようにも感じる。何せ車一台で、或いは独りででも周回して元の所へ帰れるのだから。また、内黒峠へ直接に歩いて登れるルートというのも良いものではないか、いや大切にしないといけないルートではないかと思う。内黒峠は広島の岳人にとって山への入口、原点ではないかと思ったりする。何より多くの人達に歩いてもらいたいルートである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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