未踏の広島・島根県境尾根の雪上縦走 

恐羅漢山(1,346.4m)・旧羅漢山(1,334m)・ケンノジのキビレ・

焼杉山(1,225.2m)・ボーギのキビレ

広島県山県郡安芸太田町・廿日市吉和・島根県益田市匹見町

2010年1月30日(土)     仰天さん+門久 

 

 

 

 

 

 

〈焼杉山の南面からボーギのキビレ越しに京ツカ山・五里山の山塊を望む〉

 

 

 

日中は太鼓判で好天が約束された土曜日、仰天さんと恐羅漢山、旧羅漢山へ登ることにした。

それから先は時間があれば焼杉山、ボーギのキビレまで脚を延ばしたいが、

無理なら台所原を経由して下山すると決めていた。

山上の雪は前の週の高岳と同様によく締まっており快調に歩けた。

旧羅漢山で昼食を摂りながら検討した結果、この雪の状態では日没までには下山可能と結論付けて

初めての焼杉山への尾根道を辿ることとした。

 

《山行記録》

牛小屋高原9:28・・・・9:32かやばたゲレンデ(スノーシュー装着)9:40・・・・9:46恐羅漢スキー場北側支尾根取り付き・・・・9:56(衣類調整)9:59・・・・10:17主稜ルート合流10:22・・・・11:06恐羅漢山(1,346.4m)11:08・・・・11:34旧羅漢山(1,334m)(昼食)12:12・・・・12:29 1,271mピーク・・・・12:46ケンノジのキビレ・・・・12:58 1,201mピーク13:02・・・・13:18焼杉山(1225.2m)13:26・・・・14:19ボーギのキビレ14:21・・・・15:00マゴクロウ谷入口(細見谷)15:02・・・・15:05下山林道入口・・・・16:17水越峠・・・・16:25恐羅漢山水越峠登山口・・・・16:27十方山獅子ヶ谷登山口・・・・17:20二軒小屋・・・・17:39(広島山岳会車に乗車)――17:42牛小屋高原

〔総所要時間:8時間14分、昼食・休憩等:1時間12分、正味所要時間:7時間02分〕

 

 9:28 牛小屋高原

  牛小屋高原の駐車場にスキー客に交じって車を停めて登山仕度をした。夏焼峠へ向かう登山道はしっかりと締まって壺足でも歩けそうな位であった。かやばたゲレンデの下でスノーシューを装着した。暫し登山道を歩いて折れた橋で小沢を渡り支尾根筋に回り込んだところから、その支尾根を登ることにした。恐羅漢スキー場の直ぐ北側の支尾根で、取り付きは小さな杉林となっている。昨年2月に下山路として辿ったことのある尾根である。取り付きではトレースは確認出来なかったが、登る程に一週間程前の踏み跡らしい痕跡があった。快調に登れて30分程で主稜線上に出ることが出来た。

 

 

 

 

〈牛小屋高原登山口〉

〈ナツヤケのキビレ(夏焼峠)に向かう登山道〉

 

 

 

 

 

〈恐羅漢山スキー場北側の支尾根に取り付く〉

〈灌木の繁る支尾根を登り行く〉

 

 

 

 

 

〈支尾根から砥石郷山、遠く深入山を望む〉

〈登ってきた支尾根を見返す〉

 

 

10:17 恐羅漢山主稜線

  主稜線上には前日までのトレースが残っていた。尾根の西側には中川山や天杉山が綺麗に見えた。到達した地点はまだ標高1,140m程度なので、頂上まではまだまだ登らねばならない。晴れ渡った空の下、雪に覆われたブナ林の急坂を登って行った。途中で、北方向の眺望が開けた空間があった。素晴らしい芸北の数々の名峰たちが眺められた。標高1,300m近くになると、温かい日ではあったが、まだ霧氷を見ることが出来た。早朝にはこの辺りはかなりの霧氷があったのであろう、今は殆どが落ちて雪上にガラス質の結晶が数多散らばっていた。

 

 

 

 

〈恐羅漢山の主稜線に出る〉

〈恐羅漢山々頂に向かってトレースが延びる〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈稜線上のブナの美林〉

 

 

 

〈西方には天杉山が望める〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈数多くの名峰が望める北に開けた眺望〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈風花舞う霧氷の結んだ枝〉

 

 

 

 

 

 

〈恐羅漢山々頂北面の雪の斜面〉

〈恐羅漢山々頂直下から辿ってきた稜線を見返す〉

 

 

 

 

 

〈尾根筋の霧氷〉

〈霧氷散る稜線から遠く斑模様の深入山を望む〉

 

 

11:06〜11:08 恐羅漢山(1,335.4m)

  山頂北面直下の雪原を登って恐羅漢山に到達した。牛小屋高原から1時間半余の時間を要した。山頂はほぼ同時に登頂した単独行の男性と我々がいるだけの静かな世界であった。ここへ登って来るまでの間に眺望は十分に楽しんだので、まだ昼食には早い時間でもあり早々に旧羅漢山へ向かうことにした。恐羅漢山を後にすると、直ぐに雪原の先に旧羅漢山のマウンドのような丸い山頂部を見ることが出来た。夏には灌木の中をドンドンと平太小屋原の杉林の湿地に下って行くのであるが、雪の積もったこの時期は、高みの尾根筋を行く感じとなって何となく心地良い。それでも一旦杉林の中に入ってから旧羅漢山への緩斜面を登り返して恐羅漢山から30分もかからない時間で旧羅漢山の山頂に到達した.

 

 

 

 

〈恐羅漢山々頂〉

〈青空の下、僅かに残った山頂の霧氷〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈何度も、何度も、この絶景を観て登ってきた〉

 

 

 

 

 

 

〈台所原へ下る西斜面の霧氷の森〉

〈横川川の谷越しに内黒山方面を望む〉

 

 

 

 

 

〈恐羅漢山々頂の南側から旧羅漢山を望む〉

〈旧羅漢山への道筋から十方山を望む〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈旧羅漢山の北斜面から霧氷に包まれた恐羅漢山を見返す〉

 

 

 

11:34〜12:12 旧羅漢山(1,334m)

  旧羅漢山山頂の大岩は積雪で随分と低くなり上り易くなっていた。しかし眺望はその先の岩の方が良いので、これまた低くなっているその岩上にスノーシューを脱いで上がってみた。相変わらず広見谷を挟んで半四郎山、広見山が大きく美しい。その右のカマのキビレやジョシのキビレのその遥か先には、春日山が独立峰のような端正な姿を現していた。広見谷から吹き上げ来る風は山肌に霧氷を結んでいた。この冷たい風を避けるようにして樹の陰で昼食を摂った。ここでも単独行の男性が一緒であったが、その男性が去った後に別の男性の二人連れが上がって来られた。

  旧羅漢山でこの日の山行ルートを最終決断することにしていた。良い状態の雪を利用してこの先の焼杉山、ボーギのキビレまで脚を延ばすか、引き返して状態が良ければ台所原を回って下山するかの選択であった。決して早い出発ではなかったが、まだ正午であったので、焼杉山まで行っても日没までには牛小屋高原に帰り着くことが出来るだろうと、前者のルートを採ることにした。先ずは旧羅漢山の南にある1,271mピークまで水越峠登山口へ下るルートを辿った。ここまでは幾度も通ったことにあるルートであった。

 

 

 

 

〈旧羅漢山々頂〉

〈旧羅漢山々頂周辺の霧氷で覆われた灌木群〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈広見谷越しに半四郎山、広見山を望む〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈旧羅漢山南面直下からこれから行く焼杉山を望む〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈1,271mピークの先に十方山の稜線が横たわる〉

 

 

 

〈旧羅漢山南面の老杉と青空〉

 

 

12:19 1,271mピーク

  焼杉山、ボーギのキビレへは1,271mピークから方向を西に転じる。ここからは地図と磁石との睨めっこ状態と観念していたが、焼杉山までは目視で迷うことなく尾根をキープ出来そうであった。その上に持参したGPSが良き助っ人になってくれ、地図も磁石も出番なしといった感じであった。1,271mピークからケンノジのキビレへの下りは灌木の繁った広い緩斜面で、その灌木を縫ってどこでも歩けた。15分程で鞍部に下った。そこがケンノジのキビレ。雪原の中の二本の杉の樹が印象的であった。長居をする所でもないので、早々に次の1,201mピークへと登り返すことにした。ブナなどの若い樹の疎林の緩斜面を登ること約10分で、枯れた杉の古木が斜に構える山頂に着いた。

 

 

 

 

〈1,271mピークから西方に焼杉山の山頂部を望む)〉

〈広々とした緩斜面を下る〉

 

 

 

 

 

〈下ったところがケンノジのキビレ〉

〈ケンノジのキビレから1,201mピークへ登り返す〉

 

 

12:58〜13:02 1,201mピーク

  天気予報では午後から曇ってくるとのことであったが、この日の山の天気は午後になって益々良くなり雲ひとつない青空となった。旧羅漢山からこの1,201mピークまで1時間弱、あまりにも快調なペースにやや驚きもした。雪のない時期の籔漕ぎなら何倍の時間を要するのか・・・?さて、ここから焼杉山までは目視では目と鼻の先と言った感じであった。軽く一旦下って、雪原となっている緩斜面を登って行くと15分程で焼杉山の山頂に到着した。山頂に着くちょっと手前で、熊のものと思われるトレースを二本見付けた。桜の咲く頃の陽気がつい先日にもあったが、明らかに彼等はこの2〜3日前にここを闊歩したようだ。

 

 

 

 

〈1,201mピークの山頂〉

〈雪原の緩斜面を焼杉山へ向かう〉

 

 

 

 

 

〈焼杉山々頂直下はさながら広々とした雪原だ!〉

〈見返すと白々とした旧羅漢山が控えていた〉

 

 

 

 

 

〈東側遙かに十方山の山稜が横たわる〉

〈山頂はもう直ぐ!〉

 

 

 

 

 

〈これは冬眠を忘れた熊の足跡!?)〉

〈杉の樹の向こう辺りが焼杉山の山頂〉

 

 

13:18〜13:26 焼杉山(1,225.2m)

  雪原のような広やかな稜線部、そこから眺める麗しい西中国山地の峰々。そこをザクザクとスノーシューのクランボンで雪を切って進んで行く楽しさ、喜び!そんな心地で焼杉山の山頂に到着した。三角点は当然のことながら1メートル近い雪の下である。比較的若い樹々に囲まれた空間にその三角点が建てられているようで、二重三重にそこの樹の幹にテーピングが施されていた。その直ぐ側にブナの巨樹が一本堂々と立っていた。これが焼杉山の主であろう。その周りはとにかく広々とした平かな雪の原である。これでは、霧の中でなくても方向感覚がなくなりそうで、ボーギのキビレへの方向を掴むのにやはり暫し渋滞した。地図、磁石ではかなり慎重に見定める必要がありそうだ。ここでもGPSに大いに助けられた。ボーギのキビレへの下りの最初も広々とした雪原状の南面緩斜面で、右に半四郎山、広見山を、正面には京ツカ山から五里山の大山塊を、左には十方山の山稜を眺めることが出来た。ここでも心の高揚感に浸った。南面を下って行くとやがて尾根筋が細くなり、雪もやや緩めになっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈この辺りの雪の下に三角点がある筈〉

 

 

 

〈焼杉山々頂のブナの巨樹〉

 

 

 

 

 

〈焼杉山々頂部の雪原〉

〈山頂部から十方山を望む〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈焼杉山稜線部から半四郎山、広見山を望む〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈焼杉山南面から京ツカ山の山塊を望む〉

 

 

 

 

 

 

〈雪原をボーギのキビレに向け下る!〉

〈ブナ林の尾根筋〉

 

 

14:19〜14:21 ボーギのキビレ

  国土地理院の地形図には横川越と記されている峠がボーギのキビレである。今はこの峠を利用する人は殆どおらず、道筋も消えてしまっていると聞く。物好きな登山者が時折通るくらいなのであろう。その踏み跡も今は深い雪に埋もれていて定かではないようだ。今の峠付近は島根県側は杉の植林地、広島県側はブナやミズナラの自然林という佇まいであった。峠の源頭から沢の左岸を水越林道へ下ることにした。谷の名前はマゴクロウ谷。この谷間の中程までは先人の付けたテープもあり左岸の高みを順調に下って行けたが、後半は緩くなってきた雪面と幾度もの渡渉に労苦を重ねることとなった。やはり積雪期の渓谷歩きは出来ることなら避けたいものだ。ここの場合、果たして焼杉山から直接に水越林道へ出るルートを確保出来るであろうか?地形図ではちょっと長いが東側の尾根を下れるようにも思えるのだが・・・果たしてどうだろうか? 

 

 

 

 

〈ボーギのキビレ〉

〈ボーギのキビレから細見の谷に下り行く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈雪に埋もれたマゴクロウ谷〉

 

〈幾度も渡渉を繰り返す〉

 

 

15:00〜15:02 マゴクロウ谷入口

  ボーギのキビレから40分程の時間を要して水越林道の通るマゴクロウ谷入口に出た。そこにある樹に道標が付けられており、そこには「横川越 恐羅漢山 登山口」と記されていた。昭和52年のインターハイ大会でここから恐羅漢山への道が拓かれたというが、今にでは籔に埋まっており一般的ではないようだ。さて、無事に水越林道へ下ったとは言え、まだ牛小屋高原まで2時間以上かかる地点であった。しかもここから水越峠までは雪の中の上りである。雪も山上とは違ってかなり緩くなっていた。また、湧き水のある所などは林道から雪が消えており、スノーシューやワカンでの歩行にはかなりの障害となった。だが、何がどうであれ自らの力で歩いて行くしか方法はなかった。淡々と歩いて、マゴクロウ谷入口から1時間15分かかって水越峠まで登った。

 

 

 

 

〈マゴクロウ谷入口の道標〉

〈細見谷の流れに沿った水越林道〉

 

 

 

 

 

〈十方山々塊に入る下山林道の入口)〉

〈雪に埋もれた林道を水越峠への登り行く〉

 

 

 

 

 

〈細見の渓流と渓畔林〉

〈林道の半分を埋める雪崩れた雪〉

 

 

 

 

 

〈林道の雪の融けた湧水箇所〉

〈スッポリと雪が敷かれたような橋の上〉

 

 

16:17 水越峠

  尾根筋をバッサリと横から切り拓いた水越峠のその堀切はを見るからに圧巻であった。この峠までは今まで馴染みのない世界であったが、この先は旧羅漢山や十方山登山で幾度も通ったことにある所だけにここまで来るとかなり安堵した。それに、ここからは下り傾斜となり、雪も締まってきて歩くのも格段に楽になった。峠から1時間で二軒小屋に帰り着いた。

 

 

 

 

〈水越峠〉

〈恐羅漢山水越峠登山口〉

 

 

 

 

 

〈十方山獅子ヶ谷登山口〉

〈水越林道を二軒小屋に向かって下り行く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈除雪箇所が始まって二軒小屋は近い〉

 

 

 

〈杉の美林を抜けて行く〉

 

 

17:20 二軒小屋

  二軒小屋の駐車場に車を一台配しておけば良かったのだが、準備不足で車1台でここに来て牛小屋高原に駐車していた。まだ二軒小屋から牛小屋高原までの上りの道が残っていた。午後5時を回ってスキー客も家路に就く時間帯であったが、車道を牛小屋高原へと向かった。車で走るには何とも感じない道路の勾配であるが、歩いてみるとかなり厳しい傾斜が多かった。国設スキー場への道を左に分け、スキー客で賑わう恐羅漢山荘前を抜けて、牛小屋高原方面への上り道に入ったところで、軽自動車で来られた広島山岳会の方に声を掛けて頂き、牛小屋高原駐車場までその車に乗せて頂いた。草臥れていたので、声を掛けて頂いのは殊のほか嬉しいことであった。広島山岳会さん有り難うございました。

 

 

 

 

〈夕刻になって車も殆ど残っていない二軒小屋空車場〉

〈二軒小屋の道標〉

 

 

17:42 牛小屋高原

  まだ何とか明るさが残っている時間に牛小屋高原に帰り着くことが出来たが、ナイター設備のない恐羅漢スキ―場ゆえに、朝は満杯に近かった駐車場にはもう殆ど車はなかった。午後6時過ぎに牛小屋高原を発ったが、すぐに暗くなって横川川の谷間を走る頃には周囲は完全に暗闇に閉ざされていた。

 

 

〔山行所感〕

  焼杉山、ボーギのキビレは長い間一度は行ってみたいと思い続けていた山域であった。雪質と天気に恵まれたところから、今回思い切ってチャレンジし、その願いを成就出来て幸いであった。また単独では仲々挙行する勇気が湧かないものであるが、今回同伴して力をお貸しいただいた仰天さんに厚く御礼を申し上げたいと思う。  

  今回のように雪がしっかりと締まり、天気に恵まれれば、焼杉山周辺の山域は広々とした雪原が広がり、周りには大きな眺望が展開して、この上はないような楽しいフィールドとなる。 初めての山域であっただけに新鮮でもあった。 このレポートできちんとこの山域をご紹介でき、より多くの方々にこの山域の良さを知って頂ければまた嬉し限りである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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