白木山に対峙するロングコース 高鉢山(705.8m)〜高鉢槍(763m)〜安駄山(735.3m

広島市安佐北区狩留家町・同三田、東広島市志和町

2010年2月7日(日)    門久単独

 

 

 

 

〈高鉢槍から白木山塊越しに西中国山地の主峰を望む〉

 

 

昨年11月末に安駄山に登って、その静謐な山の佇まいに浸った。

その時にも、また2005年3月に高鉢山に登った時にも、高鉢山〜安駄山の間をいつか縦走しようと思った。

いつも参考にさせて頂いている「山歩きと山野草」さん(高鉢山・安駄山レポート)からもこの縦走路のご推奨を頂いていた。

前日に関門に遊んだ翌日のこの日、雪山に出掛ける元気は残っていないので、この縦走路に挑戦してみる気になった。

朝方ゆっくりと眠ったので、出発が随分と遅くなってしまい、

あの険しい急登が待っているこの山域を果たして明るいうちに歩き通せるかどうかの懸念はあったが、

単騎で勇躍チャレンジしてみることにした。

 

《山行記録》

狩留家駅9:45・・・・9:48鳴踏切・・・・9:49県道「狩留家駅口」・・・・10:02登山口(大椿林道)10:04・・・・10:14河内神社10:18・・・・10:24三差路(左へ)・・・・・10:48(衣類調整)10:50・・・・11:18尾根上・・・・11:46高鉢槍・安駄山方面分岐11:47・・・・11:50高鉢山(705.8m)11:58・・・・12:06南峰(726m)12:08・・・・12:10反射板(昼食)12:50・・・・12:53南峰(726m)・・・・13:02高鉢山(705.8m)・・・・13:04高鉢槍・安駄山方面分岐・・・・13:19(衣類調整)13:24・・・・13:48高鉢槍(763m)14:11・・・・14:48ピーク14:49・・・・14:52三角点(749.5m)14:54・・・・15:21中小田分岐・・・・15:53安駄山(735.3m)16:05・・・・16:23中小田分岐・・・・17:17大椿林道・・・・17:29車道・・・・17:32墓地・・・・17:48三田小学校・・・・17:54中三田駅 

〔総所要時間:8時間09分、昼食・休憩等:1時間42分、正味所要時間:6時間27分〕

 

 9:45 狩留家駅

  この日は縦走であるのでJR芸備線で出掛けた。出発は狩留家駅。遅い出発で、午前10時に近くなった山峡の駅に降り立ったのは私一人であった。無人の駅舎を出て、集落の中を抜ける旧道を暫し北に歩き、最初の角を右に曲がって芸備線の鳴踏切を渡り、その直ぐ先の押しボタン式の信号のある「狩留家駅口」交差点で「白木街道」(県道37号線)を渡った。そこからは自動車一台がやっとこさ通れるだけの狭い舗装された道が集落の中を抜けて山に向かっているのでそこを辿った。駅から15分程で集落を抜けて大椿林道に出合った。

 

 

 

 

JR芸備線狩留家駅〉

〈狩留家から見上げる高鉢山〉

 

 

 

 

 

〈県道37号線白木街道「狩留家駅口」交差点を渡る〉

〈集落の中を沢沿いに登り行く〉

 

             

10:02 登山口

  高鉢山の登山口は大椿林道脇にある。この林道は狩留家から志和口近くまでの長い区間を高鉢山〜安駄山の山塊の北面を縫うように取り付けられている。その路傍に広島県山岳連盟が設置した手書きの指導標が立てられていた。登山口から先は荒れた道筋となるが暫くは舗装道である。すぐに建設資材置き場の脇を抜けて廃屋の前を通り過ぎると山裾を巻いてきた大椿林道に再び出合った。その林道を横切ると、いよいよ杉林の中を登って行く道となって登山道らしくなってきた。細い渓流に沿って遡って行くと左手のやや高みに河内神社の小さな社殿が祀られていた。しばし参拝し登山の安全を祈願した。神社から数分で電力会社の巡視路が右に分岐し、そのまた直ぐ先で三差路に突き当たった。

 

 

 

 

〈大椿林道に面した登山口〉

〈登山口に立つ県山岳連盟の指導標〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈沢筋の「三差路」:指導標に従って左手の急坂へ〉

 

 

 

〈河内神社〉

 

 

10:24 沢筋の三差路

  この三差路の右手は沢筋の道、左手は杉林の中を行く急坂の道である。ここにも山岳連盟の指導標があって、それに従って左手の急坂の道を採った。この急坂はこの先の尾根に上がるまでの間長らく続き、しかも上に行く程に険しくなって行く。前日に遊び過ぎたせいかどうか、この急坂で足の運びがすこぶる鈍かった。ここは単騎であるので、慌てずに自分のペースでノンビリと登って行った。再び電力会社の巡視路を右に分け、その先で後を追って来られた単独行の男性に抜かれた。この男性が「腕時計を落とされませんでしたか?」と声を掛けて下さった。高度計と温度計として使っている私のGショックの腕時計を拾ってくれていて、ご親切にも声を掛けてくださったのであった。有難い限りである。ザックに取り付けていたのだが、いつの間には外れてしまったようだ。衣類調整の休憩も取ったが、相変わらず不調が続き、尾根上に出るのに河内神社から1時間を要し、更に尾根歩きに30分を要して高鉢槍・安駄山方面への分岐に達した。久し振りの高鉢山なので、暫し縦走路に背を向けて三角点頂上、南峰、反射板と全てに寄り道することとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈杉林の中の急坂を登る〉

〈杉と灌木の交った中を急坂が続く〉

 

 

 

 

 

〈尾根上に出て樹林越しに鬼ヶ城山〜白木山の稜線を仰ぐ〉

〈雪の残る尾根筋〉

 

 

 

 

 

〈倒木の多いのもこの山の特色(?)だ!〉

〈高鉢槍への道を左に分けて先ずは高鉢山山頂へ〉

 

 

11:50〜11:58 高鉢山(705.8m)

  5年前に高鉢山に登った時には急登と共に、尾根上の累々とした倒木群に苦しめられた。現在も5年前ほどは酷くはないものの、やはりこの山上には倒木が多い。高鉢槍への分岐のあるピークから浅い鞍部に一旦下って登り返すと標高705.8mの三等三角点のある高鉢山の山頂である。ここが正真正銘の山頂かというと、更にその先に標高726mのピークがある。南峰である。そこまで杉林の中を抜けて7〜8分はかかる。どちらのピークも樹林の中で眺望はないが、南峰の更に先に電力会社の2基の反射板があり、その周りはいつもきれいに灌木が伐採されており、いくらか眺望が得られる。この日はこの反射板の足元で昼食を摂りながら、久し振りの呉娑々宇連山や鉾取連山などの眺望も楽しんだ。昼食後、来た道を高鉢槍・安駄山方面への分岐点まで引き返した。

 

 

 

 

〈高鉢山々頂:右手奥に南峰が覗いている〉

〈高鉢山の三等三角点〉

 

 

 

 

 

〈杉の造林を抜けて南峰へ向かう〉

〈南峰山頂のヤマザクラ〉

 

 

 

 

 

〈南峰の先の中国電力の反射板の下で昼食〉

〈呉娑々宇山の右肩には海田湾が望める〉

 

 

 

 

 

〈志和の先には曾場ヶ城山〜水ヶ丸山の山塊が望める〉

〈目の前に呉娑々宇山が陣取る〉

 

 

 

 

 

〈長者山からの尾根の先には鉾取連山が続く〉

〈南峰〜高鉢山の間の杉林に湯坂峠へ下る踏み跡が延びる〉

 

 

13:04 高鉢槍・安駄山分岐

  高鉢槍方面への分岐点から先は初めて通る尾根筋であった。雪が薄く積もってはいるが、迷う心配はないほどに比較的よく踏まれた道が延びていた。緩慢な上りと下りを幾度か繰り返して、高鉢槍の直ぐ手前の志和小野池への下山ルートの取り付けのあるやや深い鞍部に下った。そこからはこの区間としてはちょっとしたアルバイト気分となる約10分間の登り返しで、登り行くと眺望がパッと開けて高鉢槍の山頂に飛び出した。

 

 

 

 

〈高鉢槍・安駄山方面への分岐〉

〈雪を軽くかぶった縦走路〉

 

 

 

 

 

〈尾根筋の木立の先に白木山を見ながらの歩行が続く〉

〈比較的よく踏み付けられた道筋である〉

 

 

 

 

 

〈鞍部にあったテープは志和の小野池を指し示していら〉

〈この斜面を下れば小野池へ通じるようだ!〉

 

 

13:48〜14:11 高鉢槍(763m)

  眺望が殆どないこの山域にあって高鉢槍の山頂は周囲360度の樹々が刈り払われて、別天地のような好眺望であった。この日は特に空気の透明度も高かったようで、遠く芸北や比婆の山々、更には四国の石鎚連山や赤石連山まで眺望することが出来た。何故今日に至るまでここに来なかったのか・・・と反省する程の素晴らしい展望台であった。麓からの登路の急坂は厳しいが、この眺望を楽しむだけの目的で来ても良い所であると思った。存分に眺望や峰々の同定を楽しんだが、大満足するまではまだまだ時間を要するようであった。明るいうちに安駄山までの縦走を成就して下山するにはギリギリの時間となったようであったので、後ろ髪を引かれるような想いもあったが先に進むこととした。

 

 

 

 

〈高鉢槍山頂と白木山〉

JR芸備線の走る白木町の谷間、遥か先には比婆の山々も見える〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈芸北の名峰をアップで!〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈呉娑々宇連山と鉾取連山〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈辿ってきた尾根筋を振り返る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈これから行く尾根筋の俯瞰〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈志和の里の遙か先には四国の山並が望めた〉

 

 

 

 高鉢槍山頂から見た安駄山までの道はまだ遠かった。一気に鞍部に下ると、ここからも小野池への下山ルートがあった。黄色のテープに「小野池北ルート」と記されてあった。・・・と言うことは先ほどの高鉢槍の向こう側のルートは「南ルート」ということか。そこから一つピークを越えて、今度は浅い鞍部に下った。右方向へ赤いテープが示していたが行き先不明であった。登り返すとまた雪に覆われたピークでサカキやアセビの木で覆われていた。749.5mピークと思われる頂点を過ぎても何の表示もなかったが、暫し下りに転じてから南に寄ったやや開け気味の空間に四等三角点があった。その先には大下りが待っていた。下り途中の踊り場で右に(元)志和の里へのルートが分岐にしていた。下りの急坂が続き、行く手には樹林越しに安駄山の山影が大きくなっていった。最低鞍部が中小田への分岐であった。樹皮に喰い込んだ指導標があった。この中小田分岐から安駄山々頂への道は有名な急登であった。通ったことにある人は誰しも「大変なところであった」と述懐するようだ!でも途中には穏やかな道もあった。 最後は胸突きの急坂になるものの、樹間の先にパッと空間が開けるとそこが安駄山々頂であった。

 

 

 

 

〈高鉢槍から凍てついた急坂を下る〉

〈のびやかな雰囲気の鞍部〉

 

 

 

 

 

〈アセビで覆われた749.5mピークの山頂部〉

〈四等三角点は山頂から数十メートル離れた南東側に建つ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈標識のある中三田分岐の鞍部〉

 

 

 

〈749.5mピークからの大下り〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈中三田分岐から安駄山へ急坂が続く〉

 

〈樹林の中を行く胸突きの急坂〉

 

 

15:53〜16:05 安駄山(735.3m)

  昨年11月以来の安駄山々頂であった。この日も他には誰もいない静かな山頂であった。アセビを中心にした灌木類に囲まれた山頂広場の真ん中に三等三角点があった。これで無事に安駄山までの縦走を成就したことになるが、下山ルートをどれにするかの課題が残っていた。順当なら昨年11月に辿った鳥井原への道を採るのであろう。 今回縦走を思い立った時にも当然のように鳥井原への道を思い描いていた。しかし縦走路を歩くに従い、中三田ルートも試してみる価値があるのではないかと思えるようになった。中三田ルートの新しい情報は持ちあわせてなかったが、古いレポでこのルートを登った記録があったことを思い出した。距離も短いし、暗くなるまでまだ2時間程あるので何とかなるだろうと、山頂から中三田分岐へと引き返した。

 

 

 

 

〈急坂を登り切ると安駄山山頂に飛び出る〉

〈安駄山々頂の三等三角点〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈下ること20分弱で中小田分岐だ!〉

 

 

 

〈安駄山々頂直下の急坂を下る〉

 

 

16:23 中三田分岐

  中三田分岐から急な踏み跡を辿り始めた。急傾斜面をえぐったような道筋であるが、もとよりここ何日も歩かれた形跡のない道筋であった。深くクッションの効いた落ち葉の中を快調に下って行った。その快調な道はいつまでもは続かず、やがて落ち葉の道からガレ場の道へと変わった。下る程にそのガレ場が荒れ始めて、やがて踏み跡もまったく確認できないような状態になった。相当な荒れ具合であった。なお下って行くとガレの間に渓流も現れ、一歩一歩ステップを切るのに右に左に用心を重ねなくてはならなくなった。 段々と時間も押して来る感じであったのが、慌てずに下って行った。長いガレ場歩きから解放されて渓流筋を離れる登山道に出た時には、もう大丈夫と思った。しかしそれも束の間、その後の登山道は倒木累々としてとても歩ける状態ではなくなった。登山道脇の籔を漕いで何とか大椿林道に出ることが出来た。そこからはやや荒れ気味ではあったが集落へと石畳の登山道が続いており、やがて三篠川に架かる橋を渡って、中三田駅へと向かった。

 

 

 

 

〈樹皮に食い込んだ中小田分岐の古い指導標〉

〈落ち葉に埋もれたような中小田への下山路〉

 

 

 

 

 

〈落ち葉の道からガレ場の道へ〉

〈荒れ果てた谷筋のガレ場〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈中小田分岐から1時間程でやっとダートの大椿林道に出た〉

 

 

 

〈倒木で通行不能の登山道(跡?)〉

 

 

 

 

 

〈中三田の集落へと下る石畳の登山道〉

〈車道に出る〉

 

 

 

 

 

〈中三田から安駄山を仰ぎて振り返る〉

〈この日辿った尾根筋〉

 

 

17:54 中三田駅

  遅い出発に、不調や稜線上の各所でのんびりとしたことなどから、午後6時近くになっての下山となった。三篠川を渡る時、川面にはこの日最後の夕焼けが映っていた。中三田駅も山峡の駅で、着いた時には無人の小さな駅舎にポツンと明かりが灯されていた。

 

 

 

 

〈三田小学校〉

〈三篠川を渡る〉

 

 

 

 

 

〈三篠川夕景〉

〈無人の中三田駅〉

 

 

〔山行所感〕

名峰白木山と谷を挟んでその南側に連なる高鉢山〜安駄山の山塊は、広島市の北郊にあって地味で静かな山域である。その稜線上に人が辿れる踏み跡があると巷間聞いてはいたが、なかなかに行くチャンスがなく、今回縁あって訪ねることが出来た。眺望がなかなかに開けないこの山域にあって、360度の大展望の得られる高鉢槍に立てた喜びは大きかった。天候にも恵まれての大眺望は、この縦走路を忘れ得ぬものにしてくれたと思う。

この山域に入るには、どこから入っても厳しい急登の洗礼を受けることとなる。眺望がないことに加えての難行苦行がゆえに、いつも静かな山域なのであろう。今回そんな中で、中三田ルートを下山路に採ってみたが、レポートに記したように、谷筋のガレ場の荒れ様やもう何年も手入れされていない倒木累々とした登山道など、とてもお勧め出来るようなルートではなく、反対に決して通行しないようにお勧めするところであった。高鉢山方面から安駄山へ縦走する場合の下山路は、迷わずに鳥井原ルートを採って欲しい。

この日山上でお二人の単独行の男性にお会いした。その内のお一人は、湯坂峠から登られて、志和小野池への南ルートで下山されるとお聞きした。志和側からも急坂であるようであるが、登攀する標高差は狩留家や三田側に比べて2〜300メートルは小さく、志和側以外から登る気はしないと言われていたのが印象的であった。いつか、志和側からも登ってみたいものだ。

 

 

 

 

 

 

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