四国カルストの最高峰を越え国指定天然記念物の地割れを訪ねる 天狗ノ森(1,484.9m)・黒滝山(1,367.1m)・大引割

愛媛県上浮穴郡久万高原町・高知県高岡郡津野町・同県吾川郡仁淀川町

2012年7月28日(土)  チャコ&門久

 

 

 

 

 

 

                                  〈天狗高原のハンカイソウの群落〉

 

 

 

盛夏、下界は何処も35℃前後の暑い日が続いている。

四国へ渡っての用件を終わらせた後、避暑には手頃な高嶺に上がるのが一番と考えて四国カルストまで車を走らせた。

四国カルストといえば、石灰岩が群立する放牧場を想起するが、

この日はまだ自然が残る天狗高原の東側のこの山域の最高峰・天狗ノ森から黒滝山、大引割に至るエリアを歩いてみた。

花々も多く、また珍しい植生や地質なども観察出来て、新たな興味も尽きない山行となった。

 

《山行記録》

国民宿舎天狗荘駐車場10:12・・・・10:35瀬戸見ノ森展望台10:37・・・・11:10天狗ノ森(1,484.9m)11:15・・・・11:41姫百合平・・・・12:23黒滝山(1,367.1m)12:25・・・・12:34迂回路分岐・・・・12:44四国の道合流点・・・・12:53ヒメシャラの並木・・・・13:08大引割(おおひきわり)13:13・・・・13:18小引割(こひきわり)12:23・・・・12:26大引割(昼食)13:52・・・・14:04ヒメシャラの並木・・・・14:18黒滝山分岐・・・・14:27黒滝山・天狗池分岐・・・・15:35国民宿舎天狗荘駐車場

〔総所要時間:5時間23分、昼食・休憩等:0時間46分、正味所要時間:4時間37分、歩行距離:10.1q、累積標高差:±790m、参考資料:「ヤマケイアルペンガイド12中国・四国の山」〕

 

10:12 国民宿舎天狗荘駐車場

   松山から国道33号線を高知方面に走らせて、久万高原町の柳谷大橋交差点から国道440号線に入り愛媛・高知県境の地芳峠まで険路を上った。地芳峠からは頂稜線上の県道383号線に入りカルスト地形の眺望の良い姫鶴平、五段城などを経由して国民宿舎天狗荘まで一気に走破した。天狗荘には広い駐車場があり、登山者も自由に使えるようだ。身支度を整えて駐車場の東側にある、キャンプ場(水洗トイレ完備)のバンガローの間を抜けて入山した。よく整備された登山道が緩やかに瀬戸見ノ森のピークまで上って行っていた。綺麗な森の中で、路傍には今が盛りとホタルブクロやウツボグサが至る所に咲き誇っていた。20分余で展望所のある瀬戸見ノ森のピークに着いた。ピーク上からは霧に霞んだ天狗高原や五段城方面が望めた。瀬戸見ノ森からは稜線上を行く道となった。明るい樹林の中の道で、その沿道には次から次に多様な花々が続き飽きることはなかった。花々を観察したり、写真に収めたりしながらのんびりと歩いて、出発後1時間足らずで天狗ノ森の山頂に着いた。

 

 

 

〈国民宿舎天狗荘の駐車場からスタート〉

〈バンガローの間を抜けて入山〉

 

 

 

 

〈天狗ノ森への尾根筋の道を行く〉

〈さながらホタルブクロ・ロード〉

 

 

 

 

〈気持ちの良い樹林を抜けて登り行く〉

〈瀬戸見ノ森から天狗荘、その背後に天狗高原を望む〉

 

 

 

 

〈瀬戸見ノ森の道標〉

〈これから行く天狗ノ森のピークを仰ぐ〉

 

 

 

 

〈オトギリソウ〉

〈苔生す石灰岩の尾根を行く〉

 

 

 

 

〈ツチアケビが花を結んでいた〉

〈タカネマンネングサに彩られた登山道〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ホタルブクロが鈴なり〉

 

 

 

〈ハンカイソウ咲く登山道〉

 

 

 

 

〈クロアゲハがハンカイソウの蜜を吸う〉

〈ギンバイソウ〉

 

 

 

 

〈ヒヨドリバナに止ったアサギマダラ〉

〈遅咲きのヒメユリ〉

 

 

11:10〜11:15 天狗ノ森(1,484.9m)

   天狗ノ森は四国カルストの最高峰というが、三等三角点が灌木の繁る石灰岩の多い登山道脇に建てられているだけのところであった。それでも晴れておれば周囲の眺望が得られるのであろうが、この日は雲が垂れこめた天気で、東方向にある石灰岩の掘削で山の形も失せた鳥形山の特異な姿もガスの中に消えていた。ハンカイソウが咲く山頂部の草原を下ると直ぐに樹林の中に入った。ここも綺麗な樹林で、特徴的なのはブナの樹が多くなってきたことであった。この山域のかつての樹林の在り様を彷彿させてくれるようであった。その樹林の中を30分程下ると姫百合平と呼ばれる草地の鞍部に出た。ヒメユリの姿が多く見られるのではないかと期待していたが、ここでは一本も見ることが出来なかった。後刻地元の登山者の方にお聞きすると、6月下旬頃にはこの辺りに多く咲くとのことであった。天狗ノ森の山頂直下の草叢にあったヒメユリは遅咲きのものであったようだ。姫百合平にあった道標では次のピークの黒滝山まで300メートルとのことであったが、これはどうも一つ手前の小ピークまでの距離のようで、実際の黒滝山はずっと先で姫百合平から40分程の時間を要した。この山域の指導標の距離表示は概して正確性に欠けるので要注意である。とは言え、この間の樹林も美しく、雨が多いのか登山道は苔生す石灰岩の中に延びていた。

 

 

 

〈天狗ノ森山頂〉

〈三等三角点〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈ハンカイソウ咲く稜線部〉

 

 

 

〈クルマバナ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈静かな森の中を下る〉

 

 

〈ブナが多くなってきた〉

 

 

 

 

〈姫百合平〉

〈姫百合平の鞍部に立つ道標〉

 

 

 

 

〈カラマツソウ〉

〈イチヤクソウ〉

 

 

 

 

〈ブナの美林〉

〈苔生す登山道〉

 

 

12:23〜12:25 黒滝山(1,367.1m

   黒滝山の山頂も石灰岩の間に頂上標が立つだけの、それがなければ山頂かどうか分らないところであった。ブナ林や灌木に囲まれており眺望はなかった。既に正午を回っていたので、この山頂でランチタイムを取ろうとも思っていたが、あまりにも湿気が多いところでもあったので先に進むこととした。山頂部を過ぎて直ぐに登山道は右に曲折して稜線部を外れて南側の山腹を長々と巻いている「四国のみち」に一気に下る筈であったが、途中で迂回路に入ってしまいちょっと回り道をしてから立派なその道に出た。「四国のみち」は実に綺麗に整備された道であった。その道が東側の大引割峠まで下っている。合流点から10分足らず行ったところで、この日の見どころの一つであるヒメシャラの並木に出合った。樹林の中に100本程のヒメシャラが群生しており、その一角だけが周囲と異なり赤茶けた色合いを呈していた。これだけのヒメシャラの群生は四国では珍しいという。そこを過ぎて、石灰岩の岩場やアセビの森などを抜けながら15分程下って行くと、この日の最終目的地の大引割に到達することが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈黒滝山々頂〉

 

 

〈山頂のブナの古木〉

 

 

 

 

〈よく手入れされた登山道を下る〉

〈山腹を巻く「四国のみち」に合流〉

 

 

 

 

〈ヒメシャラの並木〉

〈アセビの森〉

 

 

13:08〜13:52 大引割・小引割

   大引割、小引割の地割れを見て想像以上の大きさと、不気味なその深さに驚いた。その規模や成因等については側に立てられていた説明板に詳しいが、これだけのものが有史以前から残っている不思議に幻惑されるようでもあった。国指定の天然記念物というのは当然のこと、一見の価値のあるものである。大引割の側にベンチやテーブルがあったので、ちょっと遅いランチタイムとした。松山からの3人組の男性のグループが先着されており、我々の直ぐ後に同年代のご夫妻が来られて一時賑やかになった。松山からのベテランの男性から、この山についての情報を得ることが出来た。大引割で小一時間過ごすうちに、遠雷が聞こえ始め、一時梢を雨が打った。雨雲に上空が覆われて薄暗くなってきた中を「四国のみち」を引き返して天狗荘へ戻ることとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈大引割の割れ目を覗いてみた〉

 

 

 

〈大引割〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈小引割〉

〈小引割の割れ目内部〉

 

 

 

 

 

 

 

 

                                      〈大引割・小引割の説明板〉

 

 

 

 

 

〈大引割に立つ道標:天狗高原へ戻る〉

〈登山道を覆うブナの大木〉

 

 

 

 

〈ヒメシャラの森を抜ける〉

〈黒滝山への分岐点:ここは天狗高原を目指す〉

 

 

14:27 黒滝山・天狗池分岐

   大引割から30分余り上りの坂道を辿ると右には黒滝山への上り、左には天狗池への下り道が合流する十字路まで戻った。路傍にベンチなども置かれて、ちょっとした休憩所といった佇まいであった。ここからは、「四国のみち」はそれまでの上り基調から平坦な道となって、疲れた脚ながら快調に歩を刻むことが出来た。後半はまたやや上り基調となるが、見事に整備された広い道は野趣には欠けるものの周囲の綺麗な森の雰囲気と相俟ってこの上もなく気持ち良く、軽快に歩ける道であった。

 

 

 

〈黒滝山・天狗池への道が分岐する十字路〉

〈山腹を巻く「四国の道」を行く〉

 

 

 

 

〈名残りのヤマツツジ〉

〈木材チップを敷いた「四国のみち」〉

 

 

 

 

〈静かで美しい森が拡がる〉

〈ここにもホタルブクロが咲く〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈グリーンシャワーの道〉

 

 

〈オオヤマサギソウ?〉

 

 

15:35 国民宿舎天狗荘駐車場

   距離にして10キロメートル余り、時間にして5時間半に近い山行を無事に終えて天狗荘の駐車場に戻ってみると、周囲は午前中よりもなお雲が垂れ込めており、眺望が殆ど効かなくなっていた。国民宿舎に立ち寄って冷たいものを頂いた後、ハンカイソウの群落や放牧場などを見てから地芳峠を経由して帰路に就いた。カルスト台地の石灰岩の連なりの大眺望を楽しむのは次の晴れた時に取っておくこととした。

 

 

 

〈国民宿舎天狗荘の駐車場に帰着〉

〈雲た垂れ込めた天狗高原〉

 

 

 

 

〈ハンカイソウ咲く天狗高原の草原〉

〈こちらは放牧場〉

 

 

〔山行所感〕

   随分と久し振りに訪ねた四国カルストであった。標高1,300メートルから1,400メートルの天狗高原の山域はこの日の日中でも23℃前後の気温で、宿泊施設、キャンプ場なども整備されており避暑地としては持って来いのところである。山上まで道路も通じており、交通の便も悪くない。今回は、この天狗高原の東側の天狗ノ森、黒滝山の周辺をガイドブックを参考に歩いてみた。この山域にはブナやミズナラ、カエデ、ヒメシャラなどの自然林が見事に残っていた。カレンフェルが連なる牧草地というのが四国カルストのイメージであったが、今回は自然林に覆われた石灰岩の山域という、知らなかった四国カルストの一面をつぶさに見て歩くことが出来た。また大引割、小引割という有史以前の割れ目を初めて見ることが出来たのは楽しくも有益であった。多くの花々や植物、そして珍しい地球の造形に恵まれたこの山域は大変に魅力的な所と思えた。

 

 

 

 

 

 

 

〈この日の軌跡〉

 

 

 

 

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