ドラゴン
世界中の神話にその名は存在します。
ある時は神に近い存在、ある時は英雄に退治される醜悪な怪物。
彼らに共通するのは、ミもフタもない言い方になりますが皆どでかい爬虫類であるということ。
なぜ、世界中で爬虫類がこんなにも神格化されているのか。
それは後に考えるとして、今はもっと軽くいきましょう。
今日、俺がここで語りたいのは、全世界のドラゴンで最強は誰か。
神話をちょっとでもかじっている人間ならアホかと思うかも知れません。
確かに、生まれも育ちも設定さえ違うドラゴン達を競わせるなんてムチャもいいところです。
それでも俺は幻想生物論はじめのコーナーとして、ドラゴン最強決定戦を開催します。
最強論はあらゆる創作物に存在する。ガンダムでもキン肉マンでも誰が強いかは、しょっちゅう議論される話題です。
皆、それほど誰が最強かに興味があるということ。
そして、神話に興味の無い人でもドラゴンの名なら知っている。
そのドラゴンで最強論を行うこと・・・誰にでもとっつきやすい話を最初にもっていきたかったのです。。
ルールはバトルロイヤル形式で、でっかい瓶に出場選手を全部詰め込んで生き残った者が勝ち。単純明快。
代表選手は・・・いちいち書いていったらキリが無いので優勝候補だけ載せてしまいます。
バジリスク
ドラゴンか微妙っぽいがギリギリ代表に選抜された。
睨みつけた相手を石化してしまう瞳を持つため、一対一では無類の強さを誇る。
トーナメントなら優勝の可能性もあっただろうが、今回のルールでは1体を石化したあたりで後ろから潰されて終わるだろう。
それでも小ささを利用して上手く立ち回ればひょっとする。
龍
中国や日本に伝わる神に近い存在。
正直、雨を降らしたり雷を起こしたりではパワー不足なのだが、なんと言っても日本代表の神である。
奇跡のパワーをみせてもらいたい。
ヨルムンガンド
世界を一回りして自分の尾を銜えることのできる巨体。このスケールは反則級である。
強力な毒が武器だが、そんなもん出さんでも、ちょいと動くだけで大抵の敵は脱落すると思われる。
雷神トールと相打ちになった。
絶大なパワーを持つドラゴン達の中でもさらに強力な面々ですが(他にも優勝候補たりえるドラゴンがあれば教えてください)
俺が優勝を予想するドラゴンはこの内の誰でも無い。
ヒュドラ
このドラゴンが俺の予想する最強のドラゴンです
知らない人のためにヒュドラの説明をさせて頂きます。
ヒュドラはレルネの沼に潜む、無数の首を持つドラゴンだ。そのうちの1本は不死である。
首を斬っても、そこから2本の新しい首が生えてくる。毒が主な攻撃方法。
と、ここまではあまり強そうなイメージが無い。たしかにしぶとそうだが、それまで。
ゲームや漫画でも大抵、中盤のザコキャラポジションです。
さて、ヒュドラの説明をするには欠かせない人物がいます。ヒュドラを退治したと言われるヘラクレスである。
そう、ヒュドラは退治されたのだす。こんなやつが最強なのでしょうか?
とりあえず、どのようにしてヒュドラが退治されたのかを説明していきましょう。
超人ヘラクレスは諸事情でヒュドラ退治を命じられた。
レルネの沼でヒュドラと戦うヘラクレスだが、その毒と切っても生えてくる首に苦戦する。
そこでヘラクレスは、「自分がヒュドラの首を斬った後に、傷口を素早く松明で焼き潰してくれ」と連れに命じる。
作戦通り焼き潰された傷口はこれ以上再生することは無く、全ての首を斬った後に残った不死の首を大岩で押しつぶして封印するのだった。
以上。正直弱い。
しかし、ヒュドラの脅威はここからであった。
ヘラクレスはヒュドラの毒に目をつけ、ヒュドラの血を自分の矢に浸す。こうして強力な毒矢を作ったのだ。
この毒矢はヘラクレスの危機を何度も助けた名アイテムであったのだが、この毒矢が悲劇を生んだ。
ケンタウロスの友達の所へ遊びに行ったヘラクレスが、ケンタウロス秘蔵の酒に手を出してしまったため、ケンタウロスと抗争に陥る。
毒矢で次々とケンタウロスを射るヘラクレスだが、誤って自分の師でありケンタウロスきっての賢者ケイロンを射ってしまうのだ。
ケイロンは不死であったがために、ヒュドラの猛毒に苦しみ続けることとなる。
ちなみに、ヘラクレスの友人であったケンタウロスも誤って毒矢に触れてしまい即死してしまう。
うっかりさん多いな、おい。
毒の威力上がってるよ!!
ちょいと刺さっただけで死んでしまう毒なら、それを使ってくる敵と長時間戦ったヘラクレスは何故無事なのでしょうか。
さすが超人ヘラクレス・・・と言いたいところですが、実際のところ、映画によくある主人公特権な気がします。
主人公は無数の銃弾を全て回避するのに、モブの人々はぽんぽん死んでいくーってやつ。
今も昔もヒーローは変わらんね。
ケイロンの看病をするヘラクレスだが、ヒュドラの毒を回復する手段は無い。
泣く泣くケンタウロスの棲家を後にして、ヘラクレスは旅に戻るのだった。
その先で出会ったのが、荒野で貼り付けにされている男である。彼の名はプロメテウス。
神の怒りに触れてしまい貼り付けにされているのだが、周囲にはカラスが飛び回りプロメテウスの体をついばんでいる
プロメテウスは不死であるが故に、この苦しみに一生耐えねばならないのだ。
これを見たヘラクレスは神に懇願します。
「私の友人には不死のケンタウロスがいます。彼の不死を代償に、どうかこのプロメテウスを解放してやってください。」
めちゃくちゃ虫のいい願いですが、何故かそれが受け入れられ、
ケイロンは不死では無くなり「ありがとう、ヘラクレス」と静かに息を引き取っていく。いわゆる安楽死というやつですな。
そして毒矢でカラスを撃ち殺すのでした。何の八つ当たり!?
赤で書いたとこー。テストに出るよー。
そうです、ヒュドラの毒は間接的にとはいえ不死を殺したのです。
不死にギブを言わせるこの武器は、無敵のボディ持つドラゴン達を相手にするには、非常に効果的なのです。
やがてヘラクレスは妻を娶って幸せになる。だが、その幸せも長くは続かなかった。
ヘラクレスの妻に惚れたケンタウロスの生き残りが、彼女をさらったのだ。
逃げていくケンタウロスを毒矢で撃ち殺すヘラクレス。ケンタウロスは死に際、ヘラクレスの妻に囁いた。
「私は本当にお前を愛していた。私の血をとっておくがよい。私の血には夫の浮気を防ぐ効果がある。
夫が浮気をしそうになったら、彼の服にこの血を塗るといい。これが私のお詫びの気持ちだ」
えらく微妙な効果を持つ血だが、それは真っ赤な嘘。
毒矢を受けたケンタウロスの傷口から流れる血は、ヒュドラの猛毒がたっぷりと混ざった血であったのだ。
案の定、ヘラクレスは浮気をし、妻は夫の服にケンタウロスの血を塗りつける。
その服を着たヘラクレスは全身を服に縛り付けられた。ヒュドラの毒にこんな効果があったのかは分からない。
恐らくは、ケンタウロスの怨念の力も含まれていたのだろう。
この苦しみに耐え切れなかったヘラクレスは、自ら炎の中に飛び込み自害する。
十二の難行を成し遂げた英雄の、あっけない最期であった。
はい、浮気はいけませんね。マジで。
これまた超間接的にですが、ヘラクレスを殺してしまいました。
そしてヒュドラは不死、まだ生きています。
今頃どこかで、風化してきた岩を押しのけ、勝利の雄叫びをあげているかもしれませんね。
天へと昇ったヘラクレスにも聞こえるように・・・。
気がつけば、ヒュドラの毒は、人の欲や業の中心にいつも立っていました。
彼らが毒を利用しているように見えて、毒の方が彼らを利用して楽しんでいたかのような。
ヘラクレスの話には不気味なヒュドラの影がずっとまとわりついていたのです。
間接的に・・・と書きましたが、この結果が起こったのは必然であると俺は主張します。
以上が、俺がヒュドラを最強だと思う理由です。
不死さえ殺す能力があり、自らも不死。これだけで例の決定戦を勝ち抜くには十分ですが、
生き物の運命さえ容易く弄ぶその能力。
これこそが竜の王者に最も相応しい気がしてきませんか?
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