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二人して生前の記念撮影。
目的のドリアンは、福山市は神辺町にある総合ショッピングセンター「フジグラン」にて入手した。切り分けられ、完全密封パックで販売されていた。値段は三百八十円だった。輸入果物のコーナーに置かれており、まるで私の来店を待つかのように籠のなかに一つだけ、残されていた。
ラベルの表記には、「アルコールと一緒に召し上がらないで下さい」とあった。アルコールと反応して、何か有毒なガスや成分が発生するのだろうか。
この場所は櫛田さんのお宅。ここが二人の棺桶となるのか、それとも美食のパライソ(天国)となるのか……。闇路か人外魔境の地に赴く気持ちになる。ちなみに下の画像の櫛田さん、鼻を摘んでいるのはご愛嬌。完全気密パックゆえ、この時点で噂となっている悪臭は一切感じられない。
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切り分ける。
この時点で初めて、匂いが感じられる。印象としてはメタンガス、温泉玉子一万個、硫黄の塊といったところ。
くさやが大好物の私にとっては(本当は何でも大好物なのだけれど)、「ふむ、この匂いならばどうということはないな」といったところ。片や櫛田さんも、「噂ほどではないなあ」という感想。
ナイフがすらっと入る柔らかさ。中には百円ライター三個分ほどの大きさの種がある。種の周りの果肉は筋張っており、この点はどの果物でも同じようなものだ。
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食べる。
匂いには少し圧されるけれど、ひとくち口に放り込んでしまえばどうということはない。
「何だ、結構イケるじゃん」「種の周りの筋張っているところは枇杷に似て、ちょっと渋くて青臭いので駄目だな」などと言いながら食べる。
口に入れた感じはむっちりねっとり、他の果物とは実に比べ難い。強いて例えるならば、クリームチーズとカマンベールチーズの中間。これまでに食べたことのない食感だ。味はクリーミーな甘さ。これもチーズに似ている。
味覚を語る上で欠かせないのが個人差。どんな人にも苦手な食べ物や味付けや食感はあるだろう。更にはアレルギーなども考慮しなければならない。
幸いにして私は、苦手な食べ物もなければアレルギーもない。味付けも、多少辛かろうが甘かろうが酸っぱかろうが、どうということはない。食感も堅かろうが柔らかかろうがお構い無し。言うなれば、味音痴なのだ。
そんな私がそれらを踏まえた上で、このドリアンなるものを語るとすれば、そのまま食べずヨーグルトに入れてみたりカナッペなどにしたら、難無く食べられるのではと感じられる。いずれにしろ、ちょっとした曲者だけれどなかなかイケる奴でもある。
追記
このあと二人は、外出先から帰宅された、普段はとても優しい奥様からこっぴどく叱られた。原因は……言うまでもない、ドリアンの残り香だった。
ドリアンは死して香りを残す。
次はシュールストレミングだ!
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