読書感想 (第199冊) (2006年8月)
南條範夫 『被虐の系譜』 講談社文庫
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本書は、弊紙第112冊で採り上げた『南條範夫「武士道残酷物語」』と
収録作品が重複しているので、早いとこ読んじゃいました。
本書収録作品は以下のとおり。
「被虐の系譜−武士道残酷物語−」 ※
「時姫の微笑」 ※
「修蔵の四度目の生涯」
「梟首(さらしくび)」 ※
「未完の藩史」
全5編の短編集なのですが、うち3編(※)が「武士道残酷物語」と重複。
いろんな出版社から手を変え品を変え再販されている作家にはよくある事で、
たった1編でも未読の作品が混じってる短編集が出れば、買ってしまうのが
マニアと言うもの。
南條作品はまだまだ文庫化未収録作品は多いので、わたしゃ待ちますよ。
今回は重複していない2作品をご紹介。
「修蔵の四度目の生涯」
熱病によって記憶を失った侍の話。
ネタバレになるので、微妙な所がお話できませんが、その侍が記憶を
取り戻すことによって不幸な使命を思い出すのはよくある話。
ラストは四度目の人生に掛ける救いのある結末ですが、
南條作品としてはレベル低い。
「未完の藩史」
美濃郡上八幡三万八千石金森藩の不幸は、よく歴史悲話ものに出てくる。
戦国時代の織田家武将金森長近の末裔たちなのだが、
彼らは長近の血を引いていない。
江戸期の大名家の多くは、「家」を守る事こそ大事で、「血」は二の次であった。
血の繋がる庶子や甥姪がいても、徳川宗家や有力大名または
時の権力者である老中などの子息を有り難く養子に迎えたりして「家」を
栄えさせることに重点を置いている。
金森家は江戸前期に次々と不幸と自己責任の報いが重なるが、
その不幸続きが語られる。
不幸話を書かせたら天下逸品となる南條作品の一つ。
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