(隊長作)

読書感想 (第204冊)   (2006年9月)  
由良三郎  『運命交響曲殺人事件』




由良三郎  『運命交響曲殺人事件』  文春文庫
  
  xaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxaxax
  
  かなり小馬鹿にして読み始めたんですが、かなり面白い一冊。
  指揮者も地域もボカして書いてあるんですが、推定信州のプロ気取りの
  アマオケがコンサートホールのこけら落としとして、日本随一の大物
  天才若手指揮者を招聘する。
  
  四十台なのに若手指揮者は天性の天才で、プロ気取りのアマオケ達の中でも
  足を引っ張ってる古株の親爺達をバッサバッサ補欠に落としていく。

  当然不満が出ますわな。

  不満どころか、アマオケ草創期からの古株までも追い落としちゃうんだから、
  若手指揮者は知らず知らずのうちに怨みを買ってゆく。
  アマオケの親爺達の恨みは恐いよ〜♪
  
  そしていよいよ、コンサート開始!
  曲はベートーヴェンの「運命」

  ジャジャジャ・ジャーン!

  とあの運命の動機がホールに鳴り響くはずなんですが、
  最後の「ジャーン!」と共に指揮台に仕込まれた大量の火薬が爆発。
  指揮台ごと指揮者は空高く吹っ飛びます。
  
  そのままお星様になりましたとさ...だったら笑えるんですが、
  ここから推理小説が本格化します。
  捜査一課長は大のクラシック好き。
  甥っ子に頭の切れるワトソン君みたいなのも現れて、誰が指揮者を
  爆死させたのか喧々諤々。
  
  でも考えて見て下さい。
  指揮台が大爆発を起こすわけですから、オーケストラ・メンバーも
  無事には済まない。
  特に弦楽器奏者トップメンバーは指揮台に最も近いですから被害も尋常。
  失明したり、亡くなったりと、そりゃもうかなり悲惨。
  補欠にされた古株もオーケストラとその仲間たちに恨みは無いワケで、
  そんな仲間まで巻き添えにする爆弾を仕込むだろうか?
  
  また、指揮者っていえば女、指揮者はモテるみたいなんですね。
  この指揮者にも女の影が...。
  
  随所にコンサートやオーケストラ、特にアマチュア・オーケストラの
  ドロドロしたお話がテンコ盛りで、昭和59年刊行の本なのですが、
  基本的には今と余り変わって無さそうなのが恐ろしい。

  アマオケやってる人には特にお薦め。
  クラシックやコンサートが好きな人も、十二分笑える、いや笑っちゃ
  いけないんだが、楽しめる、いや楽しんじゃいけないだけど、
  興味深々な一冊です。
  

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