読書感想 (第295冊) (2008年9月)
岡田暁生 「オペラの運命」 中公新書
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オペラそのものについても十分語っているが、
劇場や歌劇場の空間や変遷についても力点を置いて語っているのが特徴。
バロック・オペラから始まり、モーツァルト(オペラ・ブッファ)、
グランド・オペラ、国民オペラ、ワーグナーと、大きくポイントを絞って
変遷を語っている。
冒頭のバロック・オペラは王侯諸侯の贅沢趣味の一環だった背景が
語られてゆくが、このあたりは学者風、小難しく考察する文体、
といった感じが多く、ちょっと読むのを止めようかと思ったほど。
しかし次章のモーツァルト賛で俄然文章はイキイキ。
音楽が、オペラが、モーツァルトが、その全てが大好きである事が
滲み出るような流れがあり、急に面白くなる。
その次の国民オペラからは著者の持論が展開。
王侯諸侯からブルジョワに主権が移ったオペラ、その内容や
歌劇場の下卑た惨状とオペラ通の出現を活写。
「オペラを観る人々の歴史」という観点と移り変わりが上手く捉えられ、
その歴史を識るだけでも本書は参考になる。
ワーグナーが余りに巨大すぎて、最期はワーグナーを
考察すればするほど紙幅が割かれてゆく。
私としては、いよいよこのあとのプッチーニ、ショスタコーヴィチ、
そして大本命のプロコフィエフについて解説と考察を期待するわけですが、
プロコについてはほぼ出番なし。
関心も好意もないのでしょう。
まぁ、このあたりで、この学者の嗜好と見識の度合いが伺えた。
所詮は、エリートさんが書いた本。
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