あたしのは木原 晴香、17歳。
市内のとある学校に通う高校2年生。
あたしは明日結婚する――――・・・。
結婚と言っても式は挙げない。
婚姻届を提出するのみ。
父も母もこの結婚に反対はしなかった。
父が気にしているのは、あたしの料理の腕だけ。
そりゃ、まともに家事の手伝いなんてしたことないわよ。
でもまあ、なんとかなるでしょ。
肝心のお相手はというと・・・・・。
「おはよー」
学校へ登校する為に歩いている晴香に声をかけながら走りよる少年。
「おはよっ」
そう、先ほど走りよってきたこの男こそ明日からあたしの夫となる男、飯田 伸哉。
あたしより一つ年上の18歳。
そして、あたしの幼馴染。
まさか、あたしだけは幼馴染なんてお決まりのパターンなんかにはまるまいと思っていたのに。
見事、こいつにおとされてしまった。
そんなことを考えながら晴香は横目で伸哉をみた。
どうやら晴香の視線に気づいた伸哉は晴香の方を見た。
「今日で最後だな・・・。」
伸哉のセリフにうなづく晴香。
何が最後かというと、晴香は今日で学校をやめる。
別にやめる必要はないんだがはるかの強い要望に誰も口だしできなかったのだ。
「ほんとうによかったのか??」
「うん、これでよかったのよ。」
そう、これでよかったの。
だって、これはあたしの夢だから。
そりゃあ友達とかに会う機械が減るのは少し悲しいけど、別に会おうと思えばいつだって会えるもの。
学校に着くと友達が2人のところにやって来た。
「晴香ぁ」
少し悲しそうで情けなくて、そんな声で晴香の名前を呼ぶ。
「おはよう。」
「今日で最後でしょう。」
「うん。でもいつだって会えるじゃない。ね??」
友達をなぐさめるかのようにやさしい顔で笑いかける。
一番つらいのは晴香本人なのに・・・。
「俺、先に行くわ。」
そういって先に行こうとする伸哉の制服のシャツを引っ張る晴香。
「いいじゃない。一緒に行こうよ」
「ああ。」
甘えるようにいった晴香に笑顔で答える伸哉。
学校をやめる理由は実はもう一つある。
これは誰にもいっていないけれど・・・・。
『伸哉』の為―――――・・・。
そういってしまうと恩着せがましく聞こえるかもしれないけど、でもあたしは伸哉に迷惑かけたくないもの。
「でもさー、飯田さんって強くてかっこいいしね、やるじゃん晴香」
友達の一人がいった。
『強くて』というよりも『強くなった』といったほうが正しい。
昔は、よく泣いてた伸哉がいつ頃からか泣かなくなった。
理由はわからない、だけども何かがあったのだろう。
強くならざる理由が。
「晴香、君も俺が強くなったから結婚する気になったんだろう?」
さっきの友達の話を聞いてか、伸哉が振り向き少し寂しそうな瞳で言った。
「なんで?どうしてそんなこというの?」
「じゃあ、何で結婚する気になったんだ?」
「好きだからでしょう。それ以外に何があんのよ・・・・バカ・・・」
伸哉があまりにも悲しいことを言うので、晴香の目にも涙がうっすらとうかんでいる。
「そっか・・・そうだよな・・」
伸哉のほっとしたようなこの日の笑顔をあたしはきっと一生忘れないだろう・・・。
そして次の日、あたしは飯田 晴香になった・・・。
END
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