―――好きになれないあたしと、嫌いになれないあいつがいる。どーしたらいいのかも分からずにただもがいている。―――
早乙女乱馬が天道家に居候をはじめた日からはや3年が経っていた。
だけど本編の主人公は、乱馬じゃなく、天道あかねでもない。
本編の主人公は、天道家の次女なびき・・・・・。
とある日曜日の昼下がり。
商店街の喫茶店のテーブルに男と一緒に座っているなびき。
その男の名は、九能帯刀。
あかねとらんまに惚れてた男。
「なんの用だ天道なびき?」
なびきが九能と会う時はいつもなびきから誘う。
「実はね・・・・」
なびきが言いにくそうにしている。
九能も何の用かを考えてみる。
「そうかわかったぞ〜あかねくんの写真だな」
確かに、いつもなびきは九能にあかねやらんまの写真を売って小遣い稼ぎをしていた。
ふぅっとため息をつくなびき。
「あんたも相変わらずしつこいわねー。もう諦めなさいよ。結婚しちゃったんだし」
そうなのだ、乱馬のあかねは昨日めでたく祝言をあげた。
結婚前夜、あかねには多少のマリッジブルーというものがあったみたいだが。
どうやら、乱馬が何か言ったらしく翌日にはすっかりいつものあかねに戻っていた。
結婚式には良牙や右京シャンプーにムースたちが出席していた。
もちろん九能も出席していた。
だがやはりまだ諦めがつかないのだろうか。
「・・・・・・」
九能は黙っている。
なびきに痛いところをつかれたからだ。
「第一あたしはもう協力しないわよ」
どういう風の吹き回しだろうか。
お金を稼ぐには九能はいいカモになるはずなのに。
「て・天道なびきっ」
いつもは絶対に自分の金など使わないはずのなびきがテーブルにお金と写真を置いてイスから立ち上がった。
「結婚式の写真よ・・・お金は要らないわ・・・」
それだけいうと、なびきは店から出た。
店に残された九能は、なびきの置いていった写真をただ何も言わず見つめていた・・・。
「ただいまー・・・・」
家のドアを開け、居間へ行くとあかねと乱馬が妙にぎくしゃくしていた。
(祝言を挙げたというのに、何故こんなにもぎくしゃくしているんだろう・・・)
「あっお姉ちゃん。どこ行ってたの??」
あかねは助かったといわんばかりの笑顔でなびきに話し掛ける。
「ちょっと九能ちゃんにね・・・・。」
それだけいうとなびきは自分の部屋に戻った。
そしてベット寝転びに顔を伏せた。
(一瞬言いそうになった・・・。だけど言えない。言ったらもうあいつと一緒にはいられなくなるもの・・・)
だけど、このままの状況を続けていくのはもう限界だった。
ピンポーン
天道家の呼び鈴がなった。
「は〜いどなた〜??」
かすみの声が響く。
それにつられて乱馬とあかねも玄関に行く。
「九能先輩〜??」
乱馬の声に部屋の中で驚くなびき。
「乱馬にあかねくんか・・・天道なびきはどこにいる??」
「ああ、おねいちゃーん」
あかねの自分を呼ぶ声にしかたなく玄関へ行くなびき。
「なによ、なんか用??」
「ちょっと出られるか??」
「えっ??」
「いいからっ・・・・」
グィっ!!
なびきは九能に腕を引っ張られたまま、外へ出て行った。
つづく
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